立ち上げたデザイン事務所の営業で、自分の父親くらいの中小企業の社長が、私の主な営業の相手だったが、その前に立ったとき、いつも裸でいるような心細さを感じた。
そのとき、会社という組織が、今まで洋服のように私を守ってくれていたことに気づくことになる。
「○○社の進藤です」と自己紹介をすれば、邪険に扱われることなどまずなかったが、ただの進藤となったら、話を聞いてもらうだけでも一苦労だった。
SEのときのような大企業など、鎧を着ているようなものだったなぁと実感した。
しかし、その洋服や鎧を自ら脱いで裸になってしまったのだから、これは裸でいても心細くないよう、自分を強くするしかないな、と思い、そこで、デザイン業務の傍ら、自分の内面に向き合い始めることにしたのである。
まずやったのは、過去の出来事を振り返り、自分がどう感じたか、どうしたか、そしてどうなったか、遡ることだった。
その課程で、解決する術を持たず、傷ついていた子供の頃の自分を見つける度に、想像の中で、もう大丈夫だよと声をかけ、癒やしていった。
当時は知らなかったが、その過去を振り返る作業は『内観』というものだったようで、子供の自分を癒やすという行為も、後にカウンセリングの手法として効果的なのだと知る事になる。
こうやって振り返って見ると、私は何かあった時に、自分でも知らず知らずのうちに、法則に適った対策をとっていたようで、非常にラッキーだったと思う。
内観は1年半くらい続き、思い出したくなくてしまい込んでいた事も思い出したりして、きつい作業だったが、ある日霧が晴れたようにスッキリとしていて、『あぁ、抜けたんだ・・・』と思う日が来た。
過去を全て振り返ってみると、全てが必要なことばかりだった。
そして、バラバラに見えていた出来事が、実は繋がっていたことに気付き、こう思う。
『あれ? なんだか、流れのようなものがある・・・』
以来、その流れに乗ろうと、意識するようになった。
流れを意識するようになると、それがはっきり分かるようになった。
『今は何をするとき』というタイミングが常に示されていて、それを受け取れるようになったのである。
あのとき、営業をしたおかげで、今のところに到達する道筋ができたのである。
私にとっては、非常に大きな転機だったと思う。
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