安楽死で死亡保険金は下りるのか? | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

 

ひとが寿命を全うして死ぬ場合以外の死は、事故や殺人や戦争や災害や病気などによって死ぬ(殺される)場合と、自ら命を絶つ(自殺の)場合がある。

 

安楽死は、回復する見込みのない病気で苦しんで生きるより自ら死を選択するケースだが、医師の手を借りずに、自ら死を選んだ場合は自殺となり、それを身内の人間に頼んだ場合は、助けた人間が自殺幇助という犯罪を侵したことになる。

 

コロナ渦以降この数年に渡っては日本だけではなく、恐らく世界中で自殺や自殺幇助というのが増えているに違いない。

 

ただ、死を望んでいないにも関わらず死んでいくひとも疫病や飢えや災害や戦争によって増えているなかで、自殺が増える原因としては、やはり病気や老いの衰えを苦にして自殺するひとが多いのではないかと推測する。

 

若い人の場合は、将来の希望が持てない閉塞感とか、いじめとか、ネット上の誹謗中傷などが原因で増えているのかもしれない。

 

報道規制の関係で、日本でも自殺の報道は、有名人のケースでもあまり具体的には報道されないが、毎日50人以上のひとが自殺している現実がある。

月で言えば1,600人~2,000人くらいが毎月自殺しており、その個別の原因を考えると看過できない問題だと言える。

 

男女比で言えば男性の自殺者は女性に対しておよそ倍以上となっている。

 

この自殺の中には、病気を苦にしたものも含まれるが、ある意味安楽死が法的に認められていない日本においては、唯一の安楽死が自殺なのかもしれない。

 

歌舞伎俳優の市川猿之助さんが、ご両親に対する自殺幇助事容疑で逮捕された事件が記憶に新しい。自殺は犯罪では無いが、自殺幇助は犯罪だということが印象に残る悲しい事件だ。

 

日本の生命保険の場合、基本的に自殺の場合には死亡保険金が支払われないと聞いているが、香港の生命保険では、自殺免責期間の1年を過ぎていれば保険金は支払われる。

 

余り深く考えたことがなかったが、日本の生命保険で自殺の場合に保険が支払われないことの根拠には、保険法の第五一条「保険者の免責」にその事が規定されているからだ。

 

(保険者の免責)
第五十一条 死亡保険契約の保険者は、次に掲げる場合には、保険給付を行う責任を負わない。ただし、第三号に掲げる場合には、被保険者を故意に死亡させた保険金受取人以外の保険金受取人に対する責任については、この限りでない。

 

一 被保険者が自殺をしたとき。
二 保険契約者が被保険者を故意に死亡させたとき(前号に掲げる場合を除く。)。
三 保険金受取人が被保険者を故意に死亡させたとき(前二号に掲げる場合を除く。)。
四 戦争その他の変乱によって被保険者が死亡したとき。

 

ただ、保険契約によっては自殺免責の免責期間が設定されているものもあるようで、その場合には免責期間を過ぎていれば自殺でも保険金は支払われるようだ。

 

猿之助さんの場合、ご両親がもし保険にはいっていて受取人が猿之助さんだった場合には三に該当するので受け取れない可能性が高い。

 

安楽死の場合は、どうなのだろう?

 

日本の場合は今のところスイスやオランダのような安楽死は認められていないが、保険金目当ての安楽死(どうやって証明するのかわからんが)や保険金の受取人による安楽死(自殺幇助?)と見做されない限りはおりるような気もする。

 

戦争や内乱が起こってそれに巻き込まれて死んだ場合には、海外の保険であっても下りない場合が殆どだろう。

 

ウクライナやパレスチナの戦争で死んでいく人たちは、殆どが保険の対象にならない。

いきたいと願っているのに殺されて保険も下りない人たちが沢山居る中で、自ら死を望みその貴重な命を絶つ人たちもいる。

 

人間はもともと自分の意思で生まれてくる訳でもなく、自殺か安楽死でなければ死に方も基本的には選べず、自分がいつどのように最後を迎えるかは分からない。

 

それでもいつかは誰にも平等に死は訪れる。

 

その予想も付かない死を担保するために加入するのが生命保険というものだ。

 

自殺はそもそも犯罪では無いが、安楽死も合法となるかもしれない未来において、自殺や安楽死でも死亡保障の有効な生命保険に加入したほうがいいような気はする。

 

また、これからは死にたくてもなかなか死ねない時代になっていく気がする。

 

人間の肉体は加齢と共に間違いなく朽ち果てていくが、医療の発達により先進国に住む我々の寿命は長くなってく傾向にある。

 

しかし、病院で寝かされたまま長生きしても、完全にボケて生きていることすら分からなくなって生きていてもあまり嬉しい感じはしない。

 

QOL (Quality of Life)と尊厳死問題は永らく議論されているが、脳死がヒトの死かどうか?すら分からない今、臓器移植問題も絡んで、尊厳死や安楽死は簡単には認められない医療業界の闇の扉となっている。

 

死にたいときに、綺麗に安らかに死ねる権利のようなものが認められる日が来るのだろうか?

 

新しく上市された香港サンライフの生命保険「サンプロテクト」と「サンガーディアン」は、「ライフブリリアンス」が100歳までの保障だったのに対し、無限保障となっていて満期が無い。

 

どちらの商品も加入から25年で解約返戻金と死亡保障が同じになり、その後は同じように増え続けていくので、100歳を超えて長生きする(死なない)場合には、きっと役に立つことだろう。

 

しかし、自分が死んだときにいくらのお金を残す必要があるのかを考えて、死亡保障のついた生命保険に加入すること考えるのはいつも憂鬱だ。

 

特にお金持ちの人は、沢山の課税財産を持ったまま死んでしまうと、残された遺族に過重な相続税負担を強いることになり、海外ではそれを補填するために巨額な生命保険に加入することが一般的だが、税金を払うために保険に入るというのもまた憂鬱この上ない。