アニメ「葬送のフリーレン」がエモくて素晴らしい件 | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

 

オープニングがTOASOBIの「勇者」、エンディングがmiletの「bliss」「Anytime Anywhere」と音楽だけでも制作側がこのアニメにかける意気込みが感じられるが、今期後半からTV放映の始まった「葬送のフリーレン」はなかなかの出来映えだ。

 

音楽はバイオレット・エヴァーガーデンのEvan Callが担当。アニメーション製作はMADHOUSE。

 

昨年までの優秀作品である「メイドインアビス」とは異なるアプローチでひとの生き方や人生における価値観、愛情や冒険といったテーマを淡々とそしてエモーショナルに描いている。

 

ストーリーは、主人公のエルフ族フリーレンを含む4人の勇者が10年の月日をかけて魔王と戦った冒険の終わりから始まる。

 

フリーレンは、エルフ族故に長寿であり、仲間の勇者達が年老いていくなか、フリーレンだけは変わらず若いまま時は過ぎていく。

 

軽く1000年は生きるエルフにとって、人間の人生100年や、共に冒険をした10年の歴史など一瞬の出来事に過ぎず、くだらない魔法を集める趣味以外にあまり人間に興味を持てないフリーレンだが、50年後、すっかり年老いた勇者ヒンメルと再会したフリーレンは、僧侶ハイターや戦士アイゼンとも連れ立って50年に1度のエーラ流星を再び観賞する。

 

まもなく勇者ヒンメルは亡くなるが、彼の葬儀でフリーレンは自分がヒンメルについて何も知らず、知ろうともしなかったことに気付いて涙する。

その悲しみに困惑したフリーレンは、人間を知るためと魔法収集のために旅に出る。

 

それから20年後、フリーレンは老い先短いハイターを訪ねる。ハイターは魔導書の解読と戦災孤児のフェルンを弟子にすることをフリーレンに依頼。4年後、フリーレンは魔導書の解読を終え、フェルンは1人前の魔法使いとなる。ハイターを看取った2人は諸国を巡る旅に出る。

 

時間軸の異なる長命種エルフのフリーレンの目線から、人間の人生や冒険の価値について考えさせられる名作である。

 

2018年公開の劇場版アニメ『さよならの朝に約束の花を飾ろう』という、『あの花』と同じの岡田麿里作、P.A. WORKS製作の作品も、時間軸の異なる主人公の目線で描かれた作品という点では共通しており、そこで見いだされる時を超えた愛情が心を打つ。

この作品においても歳を取らず時代を超えて生き続ける「イオルフ」という種族の主人公マキアは、種族の運命として誰かを愛すればもっと孤独になると教えられているにも関わらず、人間の子供を拾って育てることを選ぶ。

 

フリーレンも、マキアも長命で死なないことから、常に去って行くものを見つめる側であり、常に孤独と向き合わなければならない。

自分とは比べようもない短命な人間との関わりをなるべくなくすことや、愛情を持たないことによってその孤独を日常的に受け入れている。

 

普通に考えれば、不老不死や1000年の寿命を持った種族の目線で、人間の100年程度の人生は短すぎてその価値を見いだすことは難しい。

 

しかし、生まれてすぐ亡くなってしまった子供のことをずっと忘れずにその人生の意味を考えずには居れない母親のように、自分よりは遙かに短い人生の中で、凝縮され、世代を超えて受け継がれる愛情や、冒険や、その意味に “死なない” 主人公達は気付かされ、その主人公の目線から限られた命しか持たない我々も新たに「その限られた命をどう燃やし、引き継いでいくか」の大切さを思い知ることとなる。