海外の銀行口座を経由せずオフショア金融商品を別の商品に転換する方法 | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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50代グダグダちょい悪おやじMr.Gの趣味と海外投資に関するコラムです。
香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

 

オフショア積立プランやオフショア保険商品を契約している人は、満期や解約時に資金を受け取る時の為にわざわざ海外の銀行口座を開設する場合が多い。

 

それは、満期時に数千万円以上のまとまった金額を日本の銀行で受け取ってしまうと、銀行から金融庁経由で税務署にも情報が流れ、税務申告を余儀なくされたり、脅しの問い合わせを税務署から受けたりして痛くもない腹を探られるのを避ける為だが、税金をできれば払いたくないし払うつもりもないというひとも多かったと思う。

 

昨今では、CRSの情報交換により、海外の銀行口座に隠したつもりの預金も、オフショアで積立をしてきた運用資産も、海外の生命保険も、それが例えスイスのプライベートバンクであろうが、CRSで交換される情報網からは逃げられなくなっている。

 

ただ、違法に隠した現金などストック資産ではなく、積立などで運用中の利益が確定していない証券資産については、引き出しや解約をしない限り課税の対象ではない。

 

ファンドによる積立運用の場合、満期が来て解約し、どこかの銀行で受け取って利益が確定したときには課税の対象となる。

海外の銀行で受け取ろうが、日本の銀行で受け取ろうが、それは同じである。

 

生命保険の場合、被保険者が死亡して受け取りが発生したとき、もしくは保険の所有者が解約をして自分で受け取った時に課税が発生する。

 

いずれの場合も、証券を解約せずに運用し続ける限りは課税はなく、名義を子供や孫に換えていった場合についても、解約しない限りは利益は確定せず課税もない。

 

円安の進むいま、海外の投資資産を解約して日本円で受け取り、利益を確定してしまおうという行為は、利益を確定して税金を今納めようとしている行為であり、政府にとっては誠に有り難いことだと言える。

日本の銀行で受け取られた海外資産に逃げ道はない。

 

私個人的には、いくら円安だろうが、ドル建ての運用が伸びてなかろうが、物価高によって生活資金が枯渇していようが、政府として国民に対する十分な社会保障を提供できなくなっているばかりか、市民の生活かインフレによって困窮することに対して何の対策もなく無力で、しかも更なる増税を強いる国家に対して、そのような気前の良いボランティア活動をする必要はないように思っている。

 

投資をしているひとは、一般的に、投資対象の価格が上がっていれば、今後更に上がるとしても利益確定に走り、下がっていれば、今後更に下がるかもしれないと思って損切りをする傾向にある。

 

その許容範囲には、個人差があるが、プラスマイナス20%まで我慢できるひとは案外少ない。

 

CPI(消費者物価指数)だけを見ていると、日本のインフレはまだ大したことがないように思えるが、現実の物価高感は、政府の補助金が入っているガソリンの価格ですらこの1年で12%、3年では40%くらい値上がっている。

 

海外ブランド品などは倍くらいの値段になっているものも多い。

 

それでも、10%の消費税を考えても、海外ブランド品は現在のところ海外より日本の方が安い。

それだけ海外のインフレ進行の速度が早いと言える。

日本では、円安の進行の方が、物価の上昇よりも早く進んでいるから、海外の人にとってみれば日本は安い状況となる、

 

つまり、日本人が感じている日本の日本円での物価は、政府の公表値よりも実際には高くなっていると思われるが、それでも海外よりはまだインフレが進行していないということなのだ。

 

アメリカのラーメンは、消費税とチップを考慮すれば20米ドル=3000円近くするし、香港のラーメンは100香港ドル=1800円だが、日本ではまだ税込み1000円で食べられる。

 

この程度の物価で生活が困窮しているのであれば、今後物価が倍になったらどうなるのだろう?

物価が今の倍になるとしたら、その時には為替も1ドル=300円くらいになっているかもしれない。

経済の成長していない日本という国の日本円という通貨はどんどん国際的な信用を失い、そして腐っていき、それと同時にそこに住む日本人は、もし円しか持っていなければ、どんどん貧しくなっているのだ。

 

米ドル建ての海外資産を今手放すことは、そこから生き残れる僅かなチャンスを捨てる事になる。

 

オフショア積立や保険などを解約するのは最後の手段と考えるべきだろう。

 

あまり知られていないことだが、海外の金融商品や保険商品には、解約金を一旦どこかの銀行で受け取らずに同会社の別の商品に乗り換えることが可能なものもある。

 

多くの人たちが15年程前からやってきた、フレンズプロビデントやRL360(ロイヤルロンドン)、ハンサード、スタンダードライフなどの提供するオフショア積立商品は、解約すると自分名義の銀行口座で受け取らなければならない。

 

例えば、フレンズプロビデントの積立を今解約すると10万ドルくらいあるとして、それを解約して、その資金をサンライフ香港のサンジョイなど別の会社の一括運用型養老年金保険などに載せ替えようとする時には、いちどフレンズプロビデントを解約し、その解約金をどこかの銀行で一旦受け取り、そこから送金かクレジットカードでサンライフに支払うというプロセスになる。

 

HSBC香港など海外の銀行口座を持っている人であれば、このプロセスはそれほど面倒くさくはないのだが、日本の口座しかない場合は、日本の銀行口座で海外送金を受け、多くはそこで円転されるので日本円で受け取り、かつ銀行には海外からの着金履歴が残るので、利益が含まれる場合には税務申告は免れず、更に、日本の銀行から海外の保険会社に送金するかクレカ決済する際に為替のロスも発生する。

 

CRSうんぬん以前に、海外送金で日本の銀行にお金が入って来た場合は、完璧に情報は補足されて逃げ場を失う。

 

正直なところ、せっかく長年かけてオフショアに移転してきた虎の子の海外資産を日本の銀行で受け取ってしまうのであれば、そのまま日本の金融機関で腐らせるか、腐る前に使ってしまうかしかない。

 

もちろん、満期時を含め、いつかは解約をする日がやってくる訳なので、それまでに海外の銀行口座を持っているのに越したことはない。

 

しかし、以下に紹介する会社の投資商品であれば、解約金を銀行に入れずにそのまま同社の別の商品に充当することが可能なのだ。

 

ファンド積立商品を提供しているオフショアのプロバイダーでは、私の知っている限りでは、以下の2社が自社商品間の銀行口座を経由しない資金移転を可能としている。

 

①Sun Life HK(サンライフ香港)全商品

 

満期になった生命保険や、養老年金保険をサンライフの別の商品に転換可能。

一旦解約をして、別の商品を契約する事になるので、日本の税務上は利益が一旦確定することになるが、CRSでどこまでトレース可能かは不明。家族間などで第三者支払いが可能な範囲であれば、名義も変わる場合があり得る。もちろんタックスIDは紐付きにはなる。

 

例えば、自分が契約していたライフブリリアンスを解約して、その解約金を銀行で受け取らずにそのままサンジョイの契約に充てることが可能。

足りない分をカードや送金で補填したり、余った額を銀行で受け取ることも可能。

 

②ITA(インベスターズトラスト)全商品

 

エボリューションやS&P500などの積立を解約して、その資金を銀行を経由せずに一括投資商品のプラチナムやアクセスポートフォリオやフィックスドインカムなどに充当することが可能。

 

今のところ、銀行を経由せずに商品転換が可能なオフショア金融プロバイダーは上記2社しかない。

 

積立などを解約して、海外に口座がないため日本で受け取るしかないと思っているひとはこのような銀行を使わない乗り換えも可能だと知っておいても良いだろう。

 

もちろん、海外の銀行口座を持っていないひとは、今からでも開設できるうちにしておいた方が良いことは間違いない。