その保険は本当に必要? | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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50代グダグダちょい悪おやじMr.Gの趣味と海外投資に関するコラムです。
香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

 

日本人が世界でも類を見ない保険好きな人種であることについて述べたが、実際には保険好きなのではなく、結果として多くの人が必要以上に保険を買わされる歪で特殊なマーケットが長年かけて作り上げられたからに過ぎない。

 

政府による厳しい規制下において認可販売される保険商品は、日本でしか販売されず、日本人しか買わない完全なガラパゴス商品となっている。

 

【9割もの世帯が「生命保険」に加入している理由】

公益財団法人「生命保険文化センター」が3年毎に公表の「生命保険に関する全国実態調査(2018年度版)」によれば、生命保険加入世帯率は88・7%に及び、ほぼ9割の世帯が加入しています(世帯の年間払込保険料平均は38・2万円)。

 

加入目的を見ると、「医療費や入院費のため(57・1%)」、「万一の時の家族の生活保障のため(49・5%)」が圧倒的に多く、そのせいか、医療保険の加入率は88・5%にも及ぶのです(世帯の平均普通死亡保険金額は2255万円)。

 

日本人の「保険好き」が窺えるが、日本の生命保険料が欧米の同内容の商品と比較して2、3倍も高いことは、スポンサータブーでマスメディアも報じることはない。

 

また、保険は「相互扶助」と理解している人が多いが、公的な健康保険制度と異なり、営利を目的とする民間会社が提供する保険の場合は、「相互扶助」と呼べる代物ではない。

 

保険料は、万一の時の保障に充当される「純保険料」と保険会社のコストや利益に相当する「付加保険料」に分かれるが、日本の大手生保の「純保険料」相当部分は、「付加保険料」よりもはるかに少なく、3、4割程度しかない。

 

つまり、毎月払う保険料の6、7割が店舗や人件費、広告費などのコストと保険会社の利益に消える。

ネット生保でも「純保険料」相当分は7割強にすぎず、同内容ではないが、「共済」の場合は「純保険料」相当部分は9割強にも及ぶ。

 

病気や怪我で高額医療費がかかっても、公的健保の「高額療養費」制度でカバーされ、平均所得の人でもほぼ数万円程度の負担で済むため、現実には医療保険も要らない場合が殆どだ。

 

生命保険というものは、日本以外では投資商品という位置づけの金融商品であるということをもう一度考え直した上で、日本国内の特に生命保険については、整理した方が良いかもしれない。

 

最終的に残すべき日本国内の保険は、掛け捨ての医療保険くらいかもしれない。

 

その医療保険に関しても、入院日額いくらとか、ガンと診断されたらいくらというような一般的なものではなく、臓器移植や免疫療法など自由診療(保険適用外の治療)であっても費用を負担してくれる費用負担型の医療保険が本来は必要だ。

日本の医療システムは完全に健康保険依存でスポイルされており、自由診療やそれをカバーする民間の医療保険は残念ながらあまり進んでいない。

いずれにしても、もしもの時に生き延びる為には相応のカネが要ることは確かだが、その数千万円から1億円くらいかかるかもしれない治療費をカバーしてくれるような保険は日本にはない。

 

生命保険に関しては、保険業法によって呪術廻戦ばりの領域展開がなされており、基本的に日本居住者は日本国内で登録されたガラパゴス保険商品しか購入できないが、どうしても自分が死んだ後に残された人へ残すべき死亡保障が必要な場合には、買えるならば海外の生命保険を買った方が良いには違いない。

 

自分が死んだときに残しておかなければならないお金というのは、自分の収入が途絶えたときの家族の生活費を想定するひとが多いだろうが、その場合に必要な保障額は2,000~3,000万円くらいあれば十分であろう。

 

ただ、自分がいつ死ぬかは分からないので、保障がどこかで消滅する定期保険はあまり意味がない。

 

日本の生命保険は保障コストが高すぎて、終身でそれだけの保障を日本国内の保険でカバーするには、死亡保障と同じくらいの金額を支払わなければならない。

 

100歳までの確定死亡保障があり、保障額も長生きするほどに配当が累積して増え続けるサンライフ香港のライフブリリアンスでも、50歳くらいなら確定死亡保障の50%くらいの保険料が発生する。

ただ、いくら支払おうが、損益分岐点の13年を過ぎた後は、解約返戻額は増え続けるので損はない。

しかもUSドル建てで4%台の利回りが期待できる貯蓄型の保険でもある。

 

今後の円安やインフレの進行を考えると、20年後30年後の円建ての保障などあまり役に立たない可能性すらある。

 

殆どの人にとって不要な生命保険だが、人が死ぬ限りは生命保険という金融商品がなくなることはない。

 

どれでも保障が必要な人は、USドル建ての海外の生命保険で長生きのリスクに対応したものでなければあまり持つ意味はないかもしれない。