つみたてNISAの大躍進に潜むリスク | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

Mr.Gの気まぐれ投資コラム

50代グダグダちょい悪おやじMr.Gの趣味と海外投資に関するコラムです。
香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

このたった3年間で、つみたてNISAの口座数と買い付け額は政府の目論み通り大躍進している。

公的年金の破綻問題をネタにして若年層への不安を煽り、国民に民間のつみたて年金プランを普及させる「マインドセット」計画が見事に成功していると言えるだろう。

しかし3年前の買い付け額はたったの1,700億円だったのが、既に1兆円超えというのは驚きだ。

 

2021年6月末時点で、つみたてNISAの口座数は前四半期比15.5%増の約418万口座、買付額は同18.3%増の約1兆658億円(2018~2021年の利用枠で買付があった金額の合計)となった。

 

一方、一括NISAの口座数は同1%増の約1,237万口座とやや頭打ちだが、買付額は同3.3%増の約22兆9,097億円(2014~2021年の利用枠で買付があった金額の合計)と金額的には相当のボリュームが既に達成されている。

2021年6月末時点のつみたてNISA口座数の伸び率を年代別に見ると、20代が前四半期比21.9%でトップとなり、30代が15.9%、40代が14.4%と続いている。

若年層の間で、年金など将来の資金への不安を背景に、長期的な資金運用の手段として、つみたてNISAを活用する動きが強まっている。

 

iDeCoの加入者数に関しても、2018年には120万人程度であった個人型iDeCo加入者、2021年10月には220万人に達し、金額的には3兆円を超えている。

一方、確定拠出型年金(企業型)の加入者は、2021年3月で750万人、資産額16兆円となっている。

 

以前にも書いたが、若年層をつみたてNISAのような民間の金融商品に積極的に取り込もうとする政府の目論見の裏側には、“どうせ続かないもの”という前提があるということを忘れてはならない。

 

ご存じのように、積立が続かなくて損をしてもそれは最初からわかっていることだし、投資家の自己責任ということになる。

 

公的年金の場合は、(払ってない人も居るものの)ほぼ強制的に払わされているので、政府にはそれをちゃんと運用して将来国民に払い出しをする責任があるが、それでも破綻することはあり得る。

 

その破綻する可能性を徐々に認知させ不安を煽ることで、それを“続かない前提”の個人年金に振り替えて責任を回避しようとしているようにしか私には見えない。

 

つみたてNISAやiDeCoといった、政府と金融機関がグルで開発した金融商品が、本当に生き残ろうとする全体の0.1%にも満たないリアル・サバイバーの戦略的ツールにはなり得ない。

 

MLMや、抱き合わせ投資詐欺の撒餌に成り下がってしまったRL360やITAといったオフショアの積立型年金は、本来は間違いなくリアル・サバイバー向けの本物のツールだった。

 

そのオフショア積立プランという有益なツールが、結果として詐欺まがいのアイテムとして酷評される昨今の風潮は残念でしょうがない。

 

問題は、それを活用する人たちが、誰かにマインドセットされなければできない依存癖を持っていた事だと感じる。

 

生き残る人は、生き残ろうとする強い意志と覚悟が無ければ生き残ることはできない。

 

たとえ政府でないにしても、誰かにマインドセットされて行動するのではなく、自分の中で覚悟を決めることができて初めてツールの意味が理解できるし、適切な活用も可能になる。

 

20代、30代の若い世代の人たちには、30年先の世界がこのままではどうなってしまうかを想像して、新しい価値観や生き方を創造していってほしい。

 

その為に考えなければならないことや学ばなければならないことは沢山あり、誰かや何かの奴隷になっている場合ではない。

 

しかし、同時に、世の中の99.9%のひとは考えもせず学びもしないということも知っておいて欲しい。

 

生き残る0.1%を目指すのか目指さないのか?その覚悟はキミにはあるのか?それがいちばんの問題だろう。