IFAビジネスの終焉を予見した4年前の記事 | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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50代グダグダちょい悪おやじMr.Gの趣味と海外投資に関するコラムです。
香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

 

4年くらい前から海外投資商品を仲介するいわゆる「IFAビジネス」の限界と終焉を予見していた私はなかなか先見性があったと自分で自分を褒めてみる。

 

そもそもIFAは、売り上げ至上主義に流されて紹介者に依存する体制から抜け出せず、コミッションの大放出をした挙げ句、社内に留保可能なサポート事務業務運営経費すらままならなくなってしまっていたし、日本も中国でもそうだが、強化され続けるローカルの業法や規制を回避するために、そのリスクも紹介者に丸投げをしてきた結果、適切な商品のプロモーションやマーケティングが売り手重視で全くコントロール出来なくなってしまった。

 

当時の役員による不祥事から株式が取引停止となったCONVOYという香港最大手IFAはまだ取引停止のままだし、そのCONVOYが出資していたNWB(Nippon Wealth Limited)は、今夏に6年間の短い香港でのビジネスに幕引きをするようだ。

Japan asset manager Nippon Wealth ends Hong Kong services - Nikkei Asia

 

MASON(メイソン)という香港上場会社にグループ会社を売却したHarris Fraiser(ハリスフレイザー)は、今でも予想に反し日本市場向けにグレービジネスを継続しているが、上場会社のコンプライアンス管理が厳しくなると、海外への金融商品のクロスボーダー取引というのはいずれ問題になるかもしれない。

 

フレンズプロビデント全盛期から日本顧客の多い、JAF(ジャンボアライアンス)も親会社のBMIで何らかの不祥事があったらしく、その絡みなのか今年の2月以降サンライフ香港(Sunlife HK)の日本居住者からの信託による契約の郵送による受け入れが出来なくなったようだ。

 

PA(プレミアトラスト)に関して言えば、これも一昨年役員の資金流用疑惑といった不祥事が発生したときにやべぇなと思ったが、

CIMA places Premier Assurance Group in controllership - Cayman Compass

According to the US court filing, CIMA became aware that on 25 Sept. 2019, the SEC had settled cease-and-desist proceedings against Falcon and Cornide, the founders and shareholders of the Cayman insurer, for using investment funds to obtain personal loans and for failing to disclose their personal interest in transactions in which they used additional investment funds.

Audrey Roe, the head of CIMA’s compliance division, stated in an affidavit filed with the US bankruptcy court that the Premier Assurance directors had misrepresented the scope of the SEC investigation and failed to disclose that they were personally subject to investigation.

Roe said there was sufficient evidence that the SEC investigation uncovered the two directors were effectively using Premier Assurance Group as “a piggy bank” by loaning themselves money from its assets.

 

昨年の9月にはPremier Assurance Group SPC Ltd.というケイマン法人がKPMG監査法人の管理下に入り、実質破綻?

Premier Assurance Group SPC Ltd.: Public Notice (offshorealert.com) 

September 23, 2020

Public Notice by the Cayman Islands Monetary Authority announcing it has appointed Jeffrey Stower and Jason Robinson, of KPMG, to assume control of Premier Assurance Group SPC Ltd. and "found Jorge Eduardo Falcon and Leonardo Cornide, two of Premier's directors, not fit and proper to hold the position of director of a licensee".

 

このケイマン法人はケイマンで保険会社のライセンスをもった、Premier Assurance Group LLC傘下の会社で、BVI(ブリティッシュ・バージン・アイランド)のトラスト(信託)プラットフォームであるプレミアトラストの運営母体だったと考えられるが、ケイマン法人の清算課程においてケイマンのライセンスをプエルトリコに移してプレミアトラストの運用は継続される方針のようだ。

 

今年になってから、投資家には①そのまま投資を継続する(プエルトリコ籍に変更?) ②解約をする のどちらかを選択するよう告知が来ているようだが、私なら迷わず解約する。

但し、数年の積立で解約すればもちろんペナルティーは発生するし、2年分はほぼ帰ってこないと思われるので、実際にはそのまま投資を継続するひとが多いだろう。

 

こういった特定の事件によって、オフショアの金融プロバイダーはひとくくりで相当評判を落とすこととなるが、PAの場合は当初からそういった危険な匂いがあった。

 

最近出てきた「ドミニオンキャピタル」というガンジー籍の会社も、歴史の浅さでは不安が有るが、ガンジー信託という論理的には信頼性の高いプラットフォームをオンラインで世界に提供しようという試みがうまく市場にハマるかどうかはまだ未知数だと言えよう。

 

プロバイダーからIFAへのビジネス依存度は、ITAの導入したオンラインシステムによって画期的に減少したが、ドミニオンキャピタルのの狙っているフィンテックの導入がどこまで本気なのかによってIFAの今後の立ち位置もさらに変わってくると思われる。

 

紹介者を経由せずに直接IFAとすらやりとりできない低レベルの顧客に対して、プロバイダーがオンラインで直接サポートを提供するシステムが実現するまで、少なくとも日本ではまだ10年くらいかかりそうだ。