FIREコンセプトに潜む危険性について | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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50代グダグダちょい悪おやじMr.Gの趣味と海外投資に関するコラムです。
香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

FIRE 最速で経済的自立を実現する方法

 

「若いときには、リスクのある人生を選択すべきであり、投資のリスクを取ってはならない。」

一生懸命考え得る限りの知恵を絞って人を蹴落としてでも、まずはビジネス(仕事)で収入を得続けて生き残らなければならず、もし将来に向けて投資的なことをするとすれば月10万円を25年間オフショアで積立てるくらいの覚悟が必要だ。

 

FIRE(Finacial Independence Retire Early)という言葉が流行っているが、月10万円程度を25年間積立てできない人が25年後にリタイアできる確率は極めて低い。

 

それが現実であり、株やFXや仮想通貨でリスクを張って短期的な利益を追求すれば全てを失う恐れがあるし、月に2万円程度の積立NISAやidecoなどたかが2万円でもどうせ30年も続かないし、やる意味も無い。

 

FIRE的には「年間支出の25倍の貯蓄」が早期リタイアが可能というコンセプトと、投資元本の4%以内に生活費が抑えられれば資産を減らさずに暮らしていくことができるという「4%ルール」というのがあるそうだが、その2つのルールは、年間支出を抑えて質素にシンプルに暮らし、より多くを投資に回して早期にその目標を達成するというゴールに若者たちを誘導している。

つまり、FIREの実現のカギは「節約と投資」ということになる。

 

確かに、コロナ渦を経験する中で、今まで当たり前のように浪費してきた多くのものが不要であることに気付き、生活の質を考えてシンプルに生きることを学んでいるので、実は豊かに生きるためにお金はそんなに要らないと思えるのも事実だ。

 

インフレ率が今後どう変動するか?日本円という通貨の為替がどう変動するか?など30年先を考えると予期できないが、仮に今とさほど変わらない貨幣価値において年間300万円で暮らすとしても6,000万円以上の貯蓄は必要だし、6,000万円の貯蓄があっても4%ルールで言えば240万円に生活費を切り詰めなければ元本を切り崩すことになる。

 

こうしたFIREムーブメントを投資ブームへと導く風潮は、FIRE第一人者であるグラント・サバティエ氏の本来提唱する「節約により支出を抑えたシンプルで心豊かな生活を送ろう」という趣旨を離れてやや危険な様相を呈している。

 

節約により投資に回せる資金比率を上げるというのは悪くはないが、その場合に投資すべき対象は比較的安全で低リスクな長期積立であるべきであり、その必要金額も25年契約だとしても月に10万円以上やらなければ元本ですら3,000万円に満たない。

 

25年かけて3,000万円を6,000万円にできる可能性がある積立投資商品は少なくとも日本には存在しない。

 

国内の金融機関や日本円という通貨は、30年スパンでみればどうなっているかわからないので、海外の安全な金融機関でUSドル建ての資産を構築するべきだろう。

 

そういった絞り込みで、海外のファンド積立商品を調べてゆけば、歴史的にも信頼性の高いマン島というタックスヘイブンのRL360(アールエル・サンロクマル)という金融プロバイダーのRSPという商品しかたどり着くべき正しい選択肢はないということには気付くはずだ。

 

それでも、月10万円以上の積立を25年間続けるとすれば、それが十分可能な収入を25年間は働いて確保するしかなく、25年はFIREできない。

それを10年で実現しようとすれば、毎月30万円以上の積立が必要になるだろうから、手取り年収1,200万円以上を10年間維持しなければFIREは実現しない。

 

節約だけではこのような拠出金を捻出することは難しいだろう。

 

これは今回のようなウイルス感染の拡大や地震などの天災、有事などいかなる環境変化に見舞われようとも、継続して相応の収入が維持できなければFIREを安全に実現できるだけの投資は継続できない。

 

今30歳の人が、毎月10万円以上をを25年間積立し続け、それが6,000万円になれば55歳でFIREが実現するということで、それが今考え得る最も賢明で確実な行為だと思われるが、もちろん保障は無く、しかも25年以上の時間が必要であることを考えると早期とも思えないし、実現も容易くはないだろう。

 

このFIRE幻想から抜け出して絶望的な現実に目を向けなければ、殆どの人は生き残ることはできない。

 

そればかりかFIREブームに乗せられて、節約したお金を、いま上がりきっている株式に投資して全てを失うのが最悪のシナリオかもしれない。