「クレカ投資」とか「クレカ積立」というらしいが、クレカ決済で毎月積み立てで株や投資信託などを購入するのが流行だそうだ。
というか業界的には流行らそうとしているのは確かだろう。
まぁ、ポイントが付くというところが若い人には受けるのかもしれないが、それならRL360やITAのオフショア積立の方が良いのではないか?と正直思う。
マン島のRL360とかケイマン島のITA(インベスターズトラスト)とか、聞いたことも無い全く知らない人の方が今でも多いわけだから仕方ないが・・・。
積立NISAやiDeCoのセールスも順調に伸びているようで、ここ数年の間に日本国内ではまず積立投資の地ならしが行われ、今後はクレジットカード決済による「クレカ積立」が一般化しようとしている。
日本証券業協会の陰謀というか戦略はなかなか手が込んでいるし、積立投資の普及には10年くらいかかっている。
さらに、海外では既に一般化している「バンキングや投資のモバイル化」というトレンドも遅ればせがら日本でも進行しているようだし、政府も金融のIT化を推進する方針であることはまちがいない。
クレジットカードやデビッドカードのような電子決済サービスと、投資が結びつくことによって、投資口座開設や入金が簡易になり、結果としてゴールは、スマホのアプリで完結するような金融サービスのプラットフォームを定着させるという事だろうが、日本の場合には金融商品取引法による規制が足かせとなって、なかなか前に進まないようだ。
ちなみにHSBC香港など海外の銀行口座を持っている人は既に感じていると思うが、海外の銀行では投資口座も含めてスマホのアプリで管理するのが当たり前になりつつあり、セキュリティーデバイス機能のアプリへの強制移行が良い例ではあるが、そういったテクノロジーについて行けなければお金を動かすのが難しくなってきている。
先日も、楽天カードによる楽天証券が先行していたクレカ積立の後追いで、マネックス証券とSBI証券がクレカ積立を上市するというニュースを取り上げたが、過当取引防止のため、原則として信用取引以外の信用供与を条件とする有価証券売買等の受託などは、過当取引を防止するため金商法第44条で禁止されており、これをクリアするためには決済上限が10万円を超えないという例外の範囲で行わなければならないため、カードによる決済の上限が月5万円となっている。
コロナ渦に苛まれて1年経った今、日本は空前の「投資ブーム」に突入しようとしているのかもしれない。
先日も「タカシマヤの投資信託」というメール広告が流れてきて、何かと思えば高島屋カードとSBI証券が提携した、高島屋カードで積立投資ができて、高島屋ポイントが貯まるというものであった。
日銀とGPIFの買い支えの甲斐あってか、30年ぶりに日経平均株価は3万円超えとなり、ビットコインは500万円越えとなり、この1年はコロナ引きこもりでみんな暇だったのと、一部では金余りもあってか、投資熱が高まっているというのはあるかもしれない。
1年を振り返れば、何もせずに株やビットコインでも買っておくのがいちばん良かったという後悔の念もあるのだろう。
アホらしくて真面目に仕事などしてられない気持ちはわかる。
しかし、このタイミングで若い人が軽いノリでこのブームに乗って国内で「クレカ投資」など始めるのはちょっと考えものだ。
冷静になって考えてみて欲しい。
積立NISAであれiDeCoであれ、クレカ積立であれ、月々2~3万円の積立に何の意味があるのか?
毎月5万円の積立だとしても、それを老後に役立てるのであれば25年間きっちり払って元本はたったの1,500万円にしかならない。
因みに、25年間毎年10%年複利、非課税で運用できたとしたら5,000万円になる計算だが、2%位であれば非課税でも2,000万円にも届かない。
基本的に積立投資は長期にわたる定額貯金のようなものなので、そもそも元本が30年やっても1,000万円にも満たないような積立では老後の資金の足しにはならない。
積立投資ゲームは、もし月5万円程度までの拠出可能金額であれば、途中の運用結果がプラスであれマイナスであれ、25年以上払い続けなければ勝ちの可能性は低く、やる価値がない。
しかも、25年先のドル円の為替がどうなっているかは誰にも分らない。
それこそ、その途上でハイパーインフレのような事態が起こったなら、紙くずで紙くずを買い続けるという羽目に陥りかねない。
その可能性を考えると、たとえクレカ決済が可能になっても、円建てで5万円以下の積立投資を今から日本国内でやる意味は見いだせない。
20年以上前から普通にクレジットカード決済できたフレンズプロビデントやRL360、ITAなどが提供するオフショアの積立プランをUSドル建てでやるほうが遙かにマシだと思う。
私にとっては、オフショア積立(Savings Plan)こそが、本家本元の「元祖クレカ積立」である。
30年後にUSDで10万ドルもっているのと日本円で1,000万円もっているのでは、30年後の為替がどうなっているかを想像すれば、USDの10万ドルの価値は、いま考えられる1,000万円の10倍や100倍の潜在的価値があると言えなくもない。
クレジットカードによる積立投資というものが日本でも一般化することは悪くないが、それを今から国内の証券会社で円建てでやる事、さらに月に最大5万円までしかできないという業法上の足かせは、その魅力を半減させている気はする。
少なくとも投資をしながらポイントを貯めたいというようなあざとい動機があるのであれば、海外のドル建ての積立投資や海外の貯蓄型ドル建て生命保険をクレカで決済するというあざとさも持って欲しいものだ。