果たしてIFAは運用会社だと言えるのだろうか!?IFAの業務本分をよく理解しよう! | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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50代グダグダちょい悪おやじMr.Gの趣味と海外投資に関するコラムです。
香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

 

ITAやRL360などオフショアの金融商品を自ら購入する場合には、通常IFA(Indepent Financial Adovisor)と呼ばれる海外の仲介会社を通じて購入することになるが、日本に住む日本居住者の場合、日本に居る代理店(紹介者)を通じてそのIFAを知り、契約をする場合が多いことだろう。

 

つまり、

 

海外のIFA → 国内の紹介者 → (日本居住の)顧客 という情報の流れが一般的だ。

 

日本国内では、紹介ルートが階層化してMLMっぽくなっている場合もあり、国内の親玉が投資助言代理の資格を持った会社である場合もあるが、最近の傾向では保険の代理店やそこに帰属するFPが裏家業として紹介をしている場合が多い。

 

顧客としては得られる情報が正確である限り、どこから情報をもらおうが構わないし、その情報に対して対価を払うこともやぶさかではないが、最終的な契約の仲介は海外のIFAに直接頼む方が良いのは明白である。 

 

最近では、日本に居る代理店(紹介者)と海外の正規IFA(親ブローカー)の違いについて理解しておられる方も増えてきたように思われるが、IFAそのものの役割についてはまだ正確に理解されていない方が多いように感じられる。

 

RL360やITA、香港のSunLifeやFTLifeなど海外(オフショア)の生命保険会社が提供する金融商品は、日本国内ではどれも販売できない国内未登録の金融商品なので、それを販売したり仲介することはたとえ金融庁の有資格業者であっても違法行為となる。

 

報酬なく100%善意の紹介はかろうじて合法と言えそうだが、仲介コミッションの一部を報酬として受け取って業として紹介するのは違法ということになる。

 

海外のIFAが直接日本居住者に対して営業行為を行うのも当然違法行為ということになる。

それゆえ、海外のIFAは違法性のある営業活動をローカルの紹介パートナーに丸投げをし、自分たちのビジネス活動の海外での違法性を排除している。

 

最近では、香港もPIBAとCIBがIA(Insurance Authority)に統合されてから、IAによる香港IFAのクロスボーダー取引に関する規制も厳しくなっているようで、香港の金融商品や生命保険を香港のIFA経由で外国居住者が購入する場合にかつては一般的であった「Fly to Buy」という香港に渡航し現地で契約する手法も制限を受け、香港でトラスト(信託)を設立して信託名義で加入することによって香港の内国規制をかろうじて回避している。

 

このあたりの流通の仕組みは、営業的な観点からすると致し方ないという部分はあるが、契約書の作成や事後のサービス、支払いのフォロー、保険の受け取り請求の手続きに至るまで事務の全てを日本であれば日本のローカルの紹介者に丸投げするのはどうかと思われる。

 

ここで私が強調しておきたいのは、IFAの本分は、成果を自慢できる投資運用部分ではなく、仲介に関わる業務であるという部分だ。

 

その事務をローカルの紹介者に丸投げして、IFAの運用がどうのこうのという話は、売りにくい商品を紹介者がより売りやすくするためのプロモーション上のギミックに過ぎないと理解すべきだろう。

 

特に、RL360のRSPやITAのEVOLUTIONのようなファンドラップ型積立年金プランに関しては、100種類以上ものファンドリストからファンドを選択して定額で購入していきながら長期的にオフショアファンドによるポートフォリオを構築していくという商品の構造上、そのファンドの選択や切り替えなどの管理を、自分で出来ない人のためにIFAがポートフォリオサービスというポートフォリオの管理代行サービスを提供しているのが一般的であるが、過度にIFAのポートフォリオ管理サービスが運用の全てであり、IFAは運用会社であるというような表現に対しては違和感を感じざるを得ない。

 

まずIFAの本質は、基本的に金融商品を仲介して手数料をもらうビジネスであり、ポートフォリオ・サービスのようなファンドの選択管理に関する一任サービスは、もともと日本人のように自己管理ができない顧客向けへのオプションサービスだと理解した方がよい。

オプションサービスではあるが、通常時価総額に対して年1%の手数料が発生するので、保有時価総額が大きくなればIFAにとっては重要な収益源となる。

 

"IFAは運用会社である"という表現に対する違和感は、IFAの本分が仲介業務であるというのを打ち消すほどの誤解を招きかねないところにある。

 

運用会社というのはファンド会社のように投資家の資金を預かって運用を行う会社のことを言うので、顧客の資金を預からず、ポートフォリオの管理だけを請け負う会社を運用会社であると理解するのは危険である。

 

実際には、香港のIFAでも、ポートフォリオサービスを提供する会社は、IA(香港保険管監局)のライセンス下で仲介を行う会社ではなく、SFCという投資運用関係の資格を持った別会社で行われることが一般的だが、最近ではRL360(マン島籍)やITA(ケイマン諸島籍/プエルトリコ籍)といった香港でも認可を受けていないオフショア金融商品の仲介に関しては、仲介そのものも香港のライセンスに縛られないBVI(ブリティッシュ・バージン・アイランド)法人が行っている。

その場合には、ポートフォリオサービスを実際に行っているポートフォリオ・マネージャーのはいったい誰なんだ?という疑問が沸くが、大抵は香港に在住する香港IFAに帰属する誰かがやっているという具合だろう。

いずれにしても、収益性に対してさほどの労力を費やしているとは思えない。

 

結果としてポートフォリオが運用成果を左右することは事実だが、ポートフォリオ管理=運用とは言いがたい部分はあるにも関わらず、なぜ巷では「IFAは運用会社であり、運用成果はIFA次第である」というような誇張した言われ方をするのだろうか?

 

それには紹介者や紹介会社が、「運用結果に関して絶対に関わりたくないが、良い運用成果を期待させて売りたい」という心理が働いているに違いない。

 

日々価値が変動するファンドのポートフォリオの運用結果は、20年という長期で見れば、常にその時々でプラスもマイナスもあり得るものであり、だれも満期時の運用結果について保証はできない。

 

ただ、このオフショアセービングプランの良いところは、ポートフォリオは派手にスイッチングが繰り返されて、短期的な収益が出ていなくとも、そこそこ適当な最低限の管理(緊急時の退避や買い戻し、リバランシングなど)さえ出来ていれば10年以上の長期的な成果では相当運用の安全性は高いという点だろう。

 

しかしながら、現状殆どのIFAで過去10年くらいを振り返ると、当初謳われていたような毎年複利で10%というようなシミュレーションとはかけ離れた成果しか出ていないため、紹介者の運用成果に対するスタンスはより慎重にならざるを得ない。

 

それでも、この積み立てプランを売っていくためには少なくとも年6%くらいの数字は期待させないと誰も買ってくれないとういう現実がある。

 

是非買いたいと思わせるためには、それなりの期待値を投資家に抱かせなければならない。

 

そのツールとして、IFAがオプションで提供する「ポートフォリオ管理代行サービス」に責任を押しつけるのが最も簡単な手法なだけだ。

 

顕著なものは、過去のトラックレコード(運用成績記録)というものだ。

 

過去の実績に関しては、RL360(ロイヤルロンドン)やITAが普及し始めたのはフレンズプロビデント撤退後の2012年9月以降なので、信頼できるトラックレコードは7年くらいしかないはずだ。

 

フレンズプロビデントに関しても、長い人でようやく15年くらいだと思われるが、それらをひっくるめて過去20年の平均値を出せば、どこのIFAでも年10%以上あるに違いない。

 

ただ、現実には特定の商品で20年のポートフォリオサービスの実績などそもそも存在しない。

 

むしろ、ポートフォリオサービスの実績期間の短いIFAほど、実際にマイナスを出していた時期を適当にねつ造することが容易である。

 

こんな適当な数字を当てにしてIFAを選んだ日には、後できっと後悔することになるだろう。

 

いずれにせよ、過去のトラックレコードは、将来の運用を保証するものではないと心得るべきだ。

 

日本においてこのオフショアセービングプランの歴史を振り返ってみると、紹介者が効率よくこの商品の良さを伝えるために運用性をあまりにも肉盛りしすぎたという歴史は事実だ。

 

私自身も17年前は年10%位の運用が延々続くと期待していたし、実際に当時は当時の新興国ファンド価格はどれを見てもそれくらい普通だった。

 

その為にIFAのポートフォリオサービスの良さを過剰に宣伝するのが定番となってしまった。

 

その運用性はオフショアファンド全般の価格変動に左右される部分が大きく、最大10種類まで分散できるセービングプランの場合は、ポートフォリオを頻繁に組み替えるほど、より悪い結果になりがちであった。

 

オフショア金融商品で歴史上、日本で最も普及したのは、フレンズプロビデントをはじめ積立型の年金プラン=オフショアセービングプランと呼ばれるファンドラップ型積立商品だが、マン島やケイマン諸島といった庶民には本来縁の無いタックスヘイブンに登記された保険会社が提供する毎月少額からオフショアファンドのポートフォリオを組んで積み立てすることが可能な完成されたプラットフォームであり、20年くらい前から日本に住む日本人の一般庶民でもそのような高度なオフショア積み立てプラットフォームを活用できるということが海外投資を楽しむ会の「ゴミ投資家シリーズ」などの書籍で明らかになったものである。

 

比較的少額から始められ、クレジットカードによる支払いが可能ということもあり、10年ほど前に急速に普及した。

 

2000年頃にはまだ、香港のIFAは日本市場を開拓どころか認識すらできておらず、2003年に私が自分の契約のために渡航し訪問したIFAでは私が日本からコンタクトしてきた最初の日本人だと言われたくらいだ。

 

タックスヘイブンの投資商品を購入するには、世界中の日本以外のどこかにあるIFAと呼ばれる代理店を見つける必要があるが、当時はその代理店すらどこの国のどの会社に連絡すれば買えるのかという情報すらなかった。

 

ありがたいことに、今は時代も変わってネットでググれば当時とは比べようもないたくさんの情報が手に入るし、IFAのサイトも日本人との取引があるところは日本語のサイトも用意されている。

 

2010年頃の日本市場におけるフレンズプロビデント全盛期に味をしめた香港のIFAは、日本国内にネットワーク系紹介者組織を抱え持ち、業法上のリスクはすべてその紹介者に丸投げをすることで、かの貴重なオフショア積み立てプランや禁断の海外生命保険などを日本人に売ってきた。

 

MLM(マルチ)式の紹介システムは2012年頃には破綻をきたし、その乱売の結果フレンズプロビデントもハンサードも日本居住者の契約受け入れを停止、RL360とITAの時代に突入した経緯がある。

 

残された貴重な選択肢であるRL360やITAですら、今後はどうなるかわからない。

 

本物の金融業界の世界では、顧客を選ぶのは提供側であって、個人レベルのゴミ投資家が最低限の金融リテラシー持たない場合には容易く切り捨てられてしまうだろう。

 

IFAは単なる卸問屋なので、その時にその国に売れるものだけを取り扱っていて、扱えなくなったらまた別の商品を探すといった姿勢で、その業務体質はおおよそ刹那的である。

 

ポートフォリオ管理代行サービスに関しても、10年後20年後に同じIFAの同じポートフォリオマネージャーがやっている可能性はほぼゼロだし、その時の運用成果に責任など誰も取ってはくれない。

 

せめて同じIFAが廃業せずに続けてくれている事を望みたいが、それすら危うく感じる今日この頃だ。

 

ただ、IFAが無くなろうともRL360やITA、サンライフやFTLifeはおそらく50年後も100年後も存在している可能性が高く、仲介会社がなくなろうとも契約そのものはプロバイダーがある限り保全される。

 

業界は、このセービングプランというビジネスに関しては、まだ10年前のフレンズプロビデント・バブルを引きずっているかのように思われ、この後に及んでポートフォリオ・サービスの運用の良さを売りにする神経が疑われる。

 

運用どころか、IFAの役割は、最初の仲介の窓口としてどうしても必要である部分だけを残してどんどん薄まっているような気がして残念でならない。

 

IFAの方々も大変だろうが、ここは基本に立ち返って本来やるべき仕事はしっかりしてもらいたいものだ。

 

なんだか、IFAに対する愚痴になってしまったが、契約に当たりIFAを選択しなければならない投資家の立場からすると、どれだけ基本に忠実な仕事を延々とやっているIFAなのか、IFAの体質というものをさらに深いところまで見極めなければならないという事のようだ。