オフショア積み立ての手数料比較 [ITA vs RL360]の真実 | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

 

時々自分でもこんがらがって分からなくなることがあるので、自分への備忘録として整理してリブログしておきたいと思う。

 

相変わらずITA(インベスターズトラスト)の手数料がRL360(ロイヤルロンドン)よりも安いと考えているひとが多いようだが、多分正しい理解ではそれほど圧倒的に安いとは言えない。

たぶん、ファンドのユニット数で計算され、ファンドのユニットで手数料が差し引かれるという概念が理解しにくいのだろうが、結論から言えばそれほど変わらないか、場合によってはRL360のほうが安くなる場合もありうる。

積み立て金額やファンドの利回り、ボーナスなどの影響を考えると複雑ではあるが、エクセルで簡単に計算することは可能だ。

 

一般的に、ITAのエボリューションとRL360のRSPのどちらが良いか?みたいなネット上の比較では、「RL360のほうが歴史があり信頼性は高いが、ITAの方が圧倒的に手数料が安い」というような表現が見受けられるが、この理解は間違っているし、そのような理解をして商品の説明をするひとに商品の相談をしないほうが良いかもしれない。

 

このような誤解が発生する原因は、ITAの他社とは異なる分かりにくい手数料の表記の仕方にあると思われるが、ちゃんとしたIFAの担当者であればITAの手数料が他社と変わらない理由をちゃんと説明できるはずだ。

 

RL360°のRSPの場合、初期口座の時価総額に対して、毎月0.5%(年間6%)が徴収される。

 

25年契約であれば2年間が初期口座となり、初期口座だけから6%が引かれるので契約期間が長ければ長いほど、徐々に手数料が割安になっていく。

 

月500ドルの25年契約であれば、初期ユニットは24ヵ月であり、その間の総支払額は12,000ドルということになる。

 

これに関しても、この12,000ドルでこの24ヵ月間に購入されたファンドの時価総額に対して年間6%の手数料が、25年間毎年月割りでファンドのユニット数で相殺されていく仕組みだ。

 

仮に、Aという1種類のファンドのみを延々25年買い続けた場合、最初の2年間に買ったAファンドが平均買い付け価格100ドルだったとすれば、Aファンド120シェアが手数料の原資となり、金額ベースではAファンドの価格x120シェアx年間6%が毎年25年に渡って徴収されるが、実際にはファンドシェアで相殺されるので、単純にAファンドx120シェアx6%=Aファンド7.2シェアが、もしスイッチング無く同じひとつのファンドを買い続けるとしたら、毎年購入されるAファンドのシェア数から差し引かれる。

 

もし、AファンドがBファンドにスイッチングされる場合には、その時の時価でAファンドx120シェアがBファンドx?シェアに変換される。

複数のファンドにスイッチングされる場合も同様の計算になり、いずれにしてもファンドのシェア数で相殺されるが、金額ベースでは純粋に初期ユニットの時価総額の6%が25年間徴収されるという計算になる。

 

これを、この初期ユニットの2年だけで考えると6%の手数料は高いように思われるが、25年間の間には徐々に全体に対する手数料負担比率は少なくなり、10年で1%、20年では0.5%くらいになってくる。

 

一方、インベスターズトラスト社のエボリューションは少々理解が難しい手数料体系になっている。

 

まず、初期口座(25年契約の場合23.88ヶ月)時点で所有しているファンド数が確定される。

金額が確定するのではなく、約2年の間に購入された特定のファンドのファンド数が確定するというところが重要である。

 

ファンド数=ユニット数となっていて、このユニット数を基準として年1回の基準日にユニット数×ファンド価格に対して手数料が徴収される。

 

手数料率は10年目までは上記の確定ユニット数に対して年1.9%がユニット数で相殺され、11年目以降は年0.35%が相殺される。

 

もしこの%が、ファンドのユニット数(時価総額)に対してではなく、積立累積金額=総支払額に対してであれば、ITAの手数料が実際の運用が良いほどにRL360などと比較すると安いということになるが、実はそうではない。

 

23.88ヶ月≒2年であるが、3年目以降は年数に比例してユニット数が増えていく。

これも分かりやすくするために、特定のAファンドだけをスイッチングせずに買い続けるとした場合、

23.88ヶ月目に確定したユニット数がAファンド60ユニットであれば、3年目は90ユニット、4年目は120ユニットとなる。

 

金額では、Aファンドのその時点の評価価格xユニット数x1.9%が最初の10年間毎年発生する手数料で、11年目以降はそれが0.35%となる。

 

これもRL360と同様に、実際にはユニットで相殺されるので、スイッチングが全く無いとすれば、Aファンドの2年間で確定したユニット数60ユニットを基準に、その累積ユニット数の1.9%、例えば3年目であればAファンド90ユニットの1.9%=1.71ユニットが手数料として相殺される。

 

とても難しく感じると思うが、時価総額の算定タイミングや手数料割合がRL360°と異なっているだけであり、ITAの場合、結果として支払う手数料の総額は、最初の24ヵ月に購入したユニットを全て失うのにぼぼ等しくなるように計算されている。

 

25年間の運用が毎年ほぼプラマイゼロの場合には、ITAとRLの手数料はほぼ同じ、運用結果が2年目以降尻上がりに良くなっていく場合にはITAのエボリューションの方が手数料の負担率は高くなる。