なぜSUNLIFE香港だけ信託名義保有義務期間が2年になったのか? | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
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サンライフ香港の提供する生命保険や養老年金商品、投資商品を契約する際には、自分がトラストオーナーの香港トラスト(信託)を設立して、信託名義での契約をしなければならないが、当初は契約後1年経過後に信託名義から個人の名義に変更することが可能だったのに、今年になってから2年間は信託の名義を保持しなければならなくなった。

 

信託の設立には基本的に費用がかかるが、もともとUS200ドル/1年で全てを保険会社が負担してくれていたが、今はUS500/2年分となり、IFAによってはその一部を負担してくれている。

 

何れにしても、香港への渡航の必要が無くなったので、費用的には大したことは無い。

 

しかし、謎な部分は、同じ香港の保険会社であるFTLifeや、FUBON香港に関しては、まだ信託の保有期間が1年でよい事になっており、今のところサンライフ香港だけが2年信託を要求されているというところだ。

IA(保険管監局)の指導によるものだとすれば、FTLifeやFUBON香港に関しても同様に2年の信託保有期間が要求されるべきなのにそうではなく、サンライフ香港だけというのは、サンライフが独自に何らかの回避策として取ったものだと考えるしかない。

 

状況をもう一度整理しておくと、そもそも2年前の2018年6月以降、それまでは香港への渡航によって物理的に香港で契約することでのみ、日本では契約ができない日本では認可登録されていない海外の生命保険に加入することができたものが、渡航による契約が打ち切られたことに端を発する。

いわゆる「FLY TO BUY」というものができなくなったのだ。

 

日本居住者の香港への渡航による、香港の生命保険への加入が打ち切られたのは、PIBAとCIBという香港での保険販売ライセンスを発行する組織が統合された香港IA(Insurance Authority)いわゆる保険庁のような機関からサンライフ及びFTLifeに対して、日本の金融庁保険局からの情報提供に基づき、日本居住者の受け入れ停止勧告が出されたせいであると言われている。

 

なぜ、大した数の契約者もいない日本居住者の受け入れ停止勧告を非公式ながらIAが行ったのか?

私は、日本の金融庁の圧力だとは思っていない。

それは発端ではあるが、IAはPIBAとCIBを統合した後、ありとあらゆる保険商品の認可や販売に関するプロバイダーやIFAに対する規制強化を行っており、新生IAの権力を見せつけるためには、今までなあなあで通ってきていたような事にも容赦なくメスを入れなければならなかったのだろう。

渡航による外国居住者(香港非居住者)の受け入れ問題は、旅行者を一時的に香港滞在者として契約を成り立たせていた経緯があり、香港の保険業法的にもグレーな感じであったのが問題だったと考えられる。

 

その直後、香港でトラスト(信託)を設立し、信託名義で加入することが可能となったのは、香港トラストが契約者である限りにおいては、そのグレーな部分を契約時には回避できるということでIAの顔が立つようにしたのだと思われるが、既にアメリカの生命保険では一般的になっていた自国の国内業法回避のための付焼刃的な対処と言える。

 

トラストは保有していると毎年維持費がかかってしまうので、もともとは1年で解散して個人に名義を変更するという手筈であった。

 

ただ、最初から判っていたことではあるが、香港トラスト名義を日本居住の個人名義に変更した時点で、日本居住者名義の証券になってしまい、日本居住者が買っていたことが保険管監局のデータ上明るみに出る。

 

おそらくは、2018年の6月以降にサンライフ香港の保険を契約した日本居住者の数は前年と比較しても倍くらいはあったのではないかと思われる。

渡航の必要がなくなったため、逆に売り上げが増加したのだ。

 

つまり、トラストの解散と個人への名義変更が始まった1年後の2019年7月以降には突如として以前よりも圧倒的に数の多い日本居住者保有の証券が発生したことになる。

 

この現象は、FTLifeに関しては驚くほどの数字が上がってはこなかったが、サンライフに関してはIAが驚くほどの数字であった可能性はある。

 

そして、そのことがIAからサンライフにだけ指摘があったとしても不思議はない。

「もともと、いつまで日本居住者の受け入れを続けるつもりだと因縁をつけたにも関わらず、増えてるってのはどういうことだ!??」といった感じだろうか。

 

それに対して、こいつはやべえと信託保有義務期間を今年から2年に延長したというのが推測ではあるがおおよそ事実に近いように思われる。

 

しかし、もしそうだとすると、今から2年後の2022年には、再び大量の日本居住者保有証券が名義変更により出現し、問題になることは想像に難くない。

 

同じような問題が2022に起こったら、今度は信託保有義務期間をさらに延長して3年とか4年にするのだろうか?

 

そのような可能性もあるし、それまでに受け入れが完全に停止されてしまう可能性もある。

 

いずれにしても、いまサンライフの情報を知っていて検討をしているひとは今年中に信託2年縛りで契約をしておいた方が良いだろう。

 

昨年以前に信託1年縛りで契約していた人は、今のところ個人名義への名変は順調に行われているようなので、こういった場合には契約したもの勝ちという昔からこの業界ではありがちな状況と思われる。