「馬鹿道(ばかどう)」は、来るべきAI社会において、失われる可能性のある我々人類の価値を見直すためのひとつの考察である。
馬鹿はどこまで行っても、徹底した馬鹿でなければならないので、「賢い馬鹿」というのがいたとしてもそれは食えない。
しかし馬鹿道は、その人間の本来の知能の低さ基本条件とするものではないので、頭の良いひとであっても、馬鹿道においては完璧な馬鹿でなければならない。
どれくらいIQの高い人であっても、記憶や計算、統計的な分析において、AIに敵うことはないだろう。
つまり、ひとは愚かであってはならないが、頭の良さ=IQの高さを追求してもAIには勝てない時代がやってくる。
今ですら、なんでもグーグル先生に聞けば殆どのことが分かる時代になっているのを考えると、10年後には、さらに進化したスーパー・グーグル先生が出現していて、なんでも聞けば膨大なデータの中から最適な解を教えてくれるようになるだろう。
馬鹿道における馬鹿リーダーのリーダーシップは、その論理の正しさや説得力によって成り立つものではない。
馬鹿リーダーに求められるのは、高度な思考能力ではなく、馬鹿なほどに人間らしく、自己犠牲もいとわない無償の愛に満ちあふれた魅力だろう。
そして、あまりの馬鹿ぶりに周りが心配して助けてくれるような大バカでなければならない。
結果として馬鹿リーダーの周りには馬鹿を馬鹿にしない「馬鹿道」を理解できる賢い仲間が集まることになる。
別の見方をすれば、超超優秀な人材というのはなかなかひとに受け入れられない。
しかし、馬鹿リーダーは馬鹿故に人材を受け入れる度量が大きい。
というか、馬鹿なので普通では考えられないようなリスク人材をも受け入れてしまう度量がある。
秦を倒し、漢王朝の始祖となったチンピラ出身の劉邦も、優秀な部下に恵まれていたからこそ天下をとれたと言われている。
貴族の出で、武勇に卓越し兵書も読み、勇気、体力抜群の項羽が、ならず者上がりの字もロクロク読めない劉邦になぜ敗れたか・・・・・・
項羽と劉邦の違いを比較したサイトがあり興味深いのでリンクを張らせていただく。
自身無双を誇り、その軍も当たるところ敵なしだったにも関わらず、最後には滅びてしまった項羽。
一方で、何度も敗走を繰り返しながらも、最後には天下を取った劉邦。
なぜ、こんなに結果に差が出たか、13の視点で比較。
https://www.fyi-ta.com/leadership/kouryu_main.shtml#0
結局、馬鹿道におけるリーダーシップというのは、寛容さ、気前の良さ、愛嬌、自然体、他人を認めるといった、馬鹿道の本質に近いところにあることがこの比較で分かる。
ビッグコミックに連載中の高橋のぼるさんの「劉邦」という漫画は劉邦という男がどうやって天下を取るに至ったかをコミカルに描いている。
馬鹿道の教材としても興味深く参考になる。