IFAはマニアックなオフショア金融商品をサポートしてくれる専門のメンテナンス会社 | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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50代グダグダちょい悪おやじMr.Gの趣味と海外投資に関するコラムです。
香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

 

オフショア籍の金融商品や保険を購入する際に、その仲介代理店となるIFA(Independent Financial Advisor)の選択が重要だという話しは既に聞き飽きているかもしれないが、それは紛れもない事実である。

 

IFAの選択基準というものは、一般の方にはわかりにくい。

それはオフショアの投資商品や保険商品というものが、我々が通常理解しているものとは異なる特殊性をもっており、それを取り扱うIFAと呼ばれる金融商品の仲介を行う海外の企業も、極めて専門的でかつ特殊な業界だからかもしれない。

 

それは、古い空冷のポルシェをポルシェに乗ったことのないひとが初めて購入するときに、「購入後一体どこの整備工場で面倒を見て貰うか?」という問題を購入する前に解決しなければならない事に似てなくもない。

 

積立型年金商品(Savings Plan)であれば、#フレンズプロビデントや#RL360(#ロイヤルロンドン)、#ITA、#スタンダードライフ、#FTLife(旧アジアス)、#サンライフ香港といった商品プロバイダーがあり、証券発行国はマン島、ケイマン諸島、香港といったタックスヘイブンである。

(※フレンズプロビデント、スタンダードライフは日本居住者からの申し込みを受けつけていない。)

 

生命保険に関しては、日本居住者が現在購入可能なものが、サンライフ香港と、ケイマン諸島のPan American Lifeしか残されていない。

 

世界という市場で日本居住者が購入可能な商品がこれだけしかないというのは、極めて限定的な選択肢と言えよう。

 

間口が狭くなるほど、こういった限定的でマニアックなオフショアの金融商品が持つ魅力と運用性に惹かれる人間は相対的に増えてくる。

 

10年以上前であれば、#マンインベストメンツや#スーパーファンドを筆頭に、オフショアで組成されるヘッジファンドが全盛であり、毎年新しいファンドが上市されていたが、それも今となっては魅力のないアイテムとなってしまった。

 

ちなみに私が保有していたスーパーファンド・ゴールドは、10年経ってプラス10%で売却することにした。

 

思い返せば、3年目あたりでプラス30%以上の時に売っておくのがいちばん良かったことになる。

 

その後はずっと7年間マイナスで、昨年にやっとプラスに転じた。

 

こういった当時流行り物だった単一ファンドを10年くらい前に買っていたひとが、解約しようとしてIFAにコンタクトをとっても、当時の仲介IFAが既に存在しないとか、連絡が取れないというケースが実は多いように思う。

 

幸い私が世話になっている香港のIFAは、私が客になった2013年から15年間変わらぬサポート提供してくれているので今回は問題なかった。

 

しかし、15年のスパンで過去を振り返ってみると、このような趣味性の高いニッチな金融商品を取り扱っている、IFAやその中継会社、個人の紹介コンサルタントの多くは、既にまともに活動をしていないか形態が変わって別のことをしていたり、個人の場合はどこに居るのかすらわからないといったケースが目立つ。

 

個人の紹介者ならともかく、IFA自体すら今後どうなるかわからなくなってきたというのが最近の傾向だ。

もちろん、IFAが無くなったとしても、契約自体は商品プロバイダーとの直接契約なので有効だが、メンテナンス業者を失うとそれを維持していける顧客は少なくなってしまうだろう。

 

香港のIFAでは唯一香港の株式市場で上場を果たしていたConvoy(コンボイ)ですら役員が不正疑惑で逮捕されてしまった為、取引停止のままだし、保守的な経営で定評のあったハリスフレイザーも、グループ全てを香港上場企業であるMason Group Holdings(0273.HK)に売却することになり、今後のIFAとしての運営方針が明らかになってはいない。

 

私が永年世話になっているGRANDTAG社も、昨年3年越しの香港での上場計画を断念し、コンプラ的にどうしてもグレーな部分が払拭できないIFAビジネスに依存する経営体制を、プライベートバンクとの提携業務に移行することによってまき直しを図り、OTCマーケットを経てNASDAQ市場への上場を目論んでいるが、IFAのビジネスでは上場が困難であるという結論に達している。

 

このように香港のIFAが、香港に居住しない外国人向けに香港を含むオフショアの金融商品を流通させるビジネスモデルは明らかに岐路に立っていると言わざるを得ない。

 

特に、日本人という手のかかる面倒くさい客を相手にするということは、それなりに儲からなければやってられない。

 

日本人の市場をメインでやってきたIFAほど、以前ほど積立商品が売れないのと、虎の子の生命保険がいつ打ち切りになるかわからないリスクに直面していることで、より不安定な状況だと言える。

 

日本居住者のなかで、投資市場の0.1%にも満たない僅かなオフショア投資愛好家にとって、長期に渡って信頼しうるIFAと確実に繋がっていることは命綱だったが、その選択肢はさらに狭まってきた。

 

私は、空冷のポルシェなどビンテージのクルマやバイク、ビンテージのロレックスなどを収集しているが、そのような趣味は、それをメンテしてくれる信頼できるメカニックとの関係がなければ維持していくのはほぼ不可能に近い。

 

そして、自分にとって大切な資産であるそれらの管理を任せられる本物のメカニックにはそう易々と出会えない。

 

オフショアの投資商品も、特に20年以上に渡る積立プランや生命保険など、20年間にわたってメンテをしてくれる有能なメカニックが付いていなければ維持していくことは同じように難しいだろう。

投資商品の場合は、ポートフォリオサービスや、登録事項の変更手続き、停止減額解約、一部引き出しなど事務的な手続きを除いて商品のメンテナンスはぼぼ不要だが、投資している人間のメンタルがいちばん壊れやすい。

 

空冷ポルシェというマニアックなスポーツカーを飼育したければ、空冷ポルシェの整備に長けた、しかも自分よりは若い技術者が居る専門の整備工場をまず見つけなければならないのと同じく、マニアックなオフショアの投資商品を購入するにあたっては、まず長期に渡って(自分の心の)サポートを受けられるオフショア商品の整備工場たるIFAを見つけなければならない。

 

そして、そのIFAと友好な関係を築き、保有する投資商品や保険商品に関して、少なくとも自分だけはより良いケアが受けられるように努めることが好ましい。

 

IFAとの付き合いと言っても、現実にはIFAの一担当者との付き合いになる場合が殆どだろう。

 

しかし、海外の企業において3年以上同じ会社に勤めていることは無能を意味するので、殆どの担当者は3年以内に辞めてしまう。

 

HSBCでも同じ事が言える。

 

折角仲良くなっても、担当のマネージャーはすぐ辞めてしまう。

 

つまり、担当者との人間関係だけでは不十分であり、IFAという企業組織としっかり付き合い、組織的に自分をしっかり顧客として対応してもらわなければならない。

 

ここで、香港のIFAに関して一般的なことを言っておくと、残念ながら殆どの会社は、組織的にアフターサービスを提供する体制ではない。

 

つまり、一般的なIFAの営業組織では、契約を担当した人間にアフターサービスの責任も帰属するので、それを会社として組織的にエリア毎に提供するという概念そのものが存在しないのだ。

 

たとえば、日本に住むあなたが、日本に居る紹介者から香港のIFAを紹介されて契約をした場合、あなたの担当は日本の紹介者になり、紹介者がその後もアフターサービスの窓口となるのが一般的だ。

殆どのIFA担当者は、繋がっている紹介者にアフターサポートを丸投げする。

 

そのような体制を持ったIFAの下の紹介者から購入したあげく、紹介者と連絡が取れなくなって難民化するというのが一般的だ。

 

そのような事態を避けるために、海外のIFAに直接問い合わせて直接購入することで、IFAという企業体にアフターサポートの責任をきっちり背負ってもらうということが重要になる。

 

相変わらず、ポートフォリオ・サービスの運用成果というエサに釣られて既存の契約を契約したIFAから別のIFAに移管するという方が多いように見受けられるが、ポートフォリオ・サービスの運用結果など水ものなので、どこに移管しようがそんなに変わるものではない。

 

むしろ、初期仲介の手数料を得ているIFAから、他のIFAに移管することにより、初期仲介手数料を得ていない移管された側のIFAにとってはあまりメリットがないので、サポートに関しての義務感は相当薄れるというリスクを気付かずに負うことになる。

 

この観点から、最初のIFA選択は非常に重要だと言われる。

安易に離婚はできないということだ。

 

IFAを選択する際に、最も重要なポイントは、そのIFAが組織的に自分の属する市場をサポートしてくれる体制を持っているかどうかであり、ポートフォリオマネージャーの戯言はいずれにせよ将来のパーフォーマンスを保証するものではないのでどうでもよい。

 

情報を得る段階では、特定の信頼しうる情報ソースが重要だが、実際に購入する際に仲介を依頼するIFAは、個人ではなく会社や組織であったほうがいい。

 

日本側にアフターサービスを提供する施設や人材を投下しているIFAは殆ど無いが、もし運良くそのようなIFAに仲介してもらえるのであれば、その人達と良い関係を維持することが好ましいだろう。

 

いつか日本居住者を相手にしてくれるIFAが無くなってしまっても、最終的にはその人達との繋がりがあなたを助けてくれることだろう。

 

ひとと繋がり、組織と繋がり、その関係を大切に維持していくことでのみ、あなたの資産は次世代へと引き継がれていくことがようやく可能になるのだ。