RL360(ロイヤルロンドン)の積立をするべきでない人とは? | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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50代グダグダちょい悪おやじMr.Gの趣味と海外投資に関するコラムです。
香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

 
マン島、ケイマン諸島などタックスヘイブンに登記された生命保険会社が提供する「オフショア積立プラン」なるものの話しを、どこかの金融セミナーや、投資セミナーや、投資勉強会で、誰かFPや投資コンサルタントや、投資アドバイザーや、投資助言会社のアドバイザーから聞いて興味を持つ人が、検索で私のブログにたどり着くケースがあるように思いますが、今回は敢えて、どのような人がそのような長期に渡る積立の契約を”すべきでない”かという観点で書いてみたいと思います。
 
具体的な商品としては、マン島の(ロイヤルロンドン)が提供するクアンタム(QUANTUM)やケイマン諸島のITA(インベスターズトラスト)が提供するエボリューション(EVOLUTION)もしくはS&P500インデックスというようなものが主要なアイテムだと思われますが、それ以外にも香港籍のサンライフ(SUN LIFE)が提供するサン・アーキテクト(SUN ARCHITECT)やFTLife(旧アジアス)のオスカー(OSCAR)、また香港アテナベストのメティスグローバル(METIS GLOBAL)、シンガポールAMICIのみ取り扱いのあるコーンヒル(CORNHILL)、ケイマン諸島のプレミアアシュアランスグループ(Premier Assuarance Group)が提供するBVI籍のプレミアトラスト(Premier Trust)などの場合もあるでしょう。
 
いずれの商品も、ひっくるめて同じようなタックスヘイブンのプロバイダーが提供する「オフショア積立プラン」、「オフショア積立年金プラン」、「オフショアファンドラップ口座」などと呼ばれる、オフショア籍のファンドを長期積立で購入していく投資商品です。
 
このような商品の話しを聞いて面白そうだと興味を持ち、やってみたいと思うひとの心理はどのようなものなのでしょうか?
 
普段投資というものに関わりがないようなひとが、たとえ肩書きや有識者と思われるひとであろうとも、初めてあったようなひとからこのような聞いたことのない海外の会社や商品の話しを聞いて、なぜやってみようかと思えるのでしょうか?
 
全く理解できない謎めいた部分です。
 
たとえ多くのIFAで受け入れの最低ラインとされる月US500ドルの25年契約だとしても、合計契約金額はUS15万ドル=1700万円(1ドル=114円)というまあまあ高額な買い物です。
 
しかも、投資というものの自分にとっての必要性を今までは感じていなかったひとの「投資など自分には必要ではない」という思考が、突如として「自分は投資をすべきだ」に反転しているわけですから尋常ではありません。
 
そう考えると、話しを聞いた後で冷静になり、ネットで色々と調べ始めたり、色々な人に聞いてみるといった行動パターンは理解できますが、それでネガティブな記事を見て不安になって止めるというような心の弱い方は最初から投資そのものに適正がないように思われます。
 
既に始められた方が、あとから不安になってネットで調べるというケースも少なからずあることから推測すると、多くの方があまり商品の内容やメリット・デメリットを理解せずに契約までしているようにも思えます。
 
私は、基本的により多くの日本人の方が、このようなタックスヘイブンの投資商品を積極的に学び、活用していくことを望んではいますが、それでもできないと思うひとはやらない方が良いと思います。
 
「できないと思うひと」というのは、「契約し、それを石にかじりついてでもやり通す自信がないひと」です。
 
残念ながら、継続出来ないひとは長期積立をやっても意味がないばかりか、必ず損をします。
 
出来るか出来ないか?は、そのひとの意志に関わってくる問題であり、できないと思うひとは100%できないでしょう。
 
むしろ、「やるんだやらなければならない!」という強い決意がなければやらない方がいいと言っても良いかもしれません。
 
そもそも、日本国内で生計を立てておられる殆どの方々は投資をしていません。
皆さんが、一般的に最も多くの支払いを生涯において積立のような形でさせられるのは、国によって強制的に徴収される税金と社会保険料であり、これを回避できるひとは収入のない人だけです。
 
根本的な問題は、その強制支払いをさせられる年金、医療保険、介護保険という社会保障の三本柱が全て破綻しつつあるという現実であり、それらは今後も強制的に徴収され続けるにも関わらず、そのベネフィットの享受を将来期待できないということです。
 
日本に暮らす方々にとって、それは平等に起こるうる不幸な出来事であり、払ったもののベネフィットを享受できないかもしれないという理不尽なシステムのなかで生き残るためには、自分でお金を貯めていくしか方法がありません。
 
払うべきものを払った上で、さらに貯金をしていかなければならないのです。
しかも、日本国内の金融機関に眠らせておいても全く増えないばかりが、日本円という先細りな通貨に依存することにも不安は残ります。
 
そこが、海外の聞いたこともないような会社が提供する投資商品を活用までしなければならない最も大きな理由であり、そのような状況を果敢に打破しようと試みる方々にとって、オフショア積立プランは、日本国内で提供されている変額年金や定額積立の株や投資信託やETFの口座と比べてもはるかに魅力のあるものに違いありません。
 
このように聞くと、誰もがオフショアの積立プランをやった方がよいように聞こえますが、現実は毎月US500ドルの積立資金を25年間捻出できるひとはそう多くはありません。
 
年収の15%~20%が通常考え得るそのひとの投資に回せる余剰資金といわれています。
15%だとすると、年収が400万円あればできる勘定ですが、まずこれは少なくとも税金と社会保険料を差し引いて最低でも400万円なければ無理でしょう。
 
現実問題として、日本で生活をしていくコストは想像以上に高く、もし普通に結婚をし、子供を2人もち、ローンで自宅を購入し、それなりの教育を子供たちに提供するとなると、年収800万円くらいあったとしてもたった500ドルの積立資金がを25年間捻出し続ける事は困難かもしれません。
 
つまり、究極的には長期積立を継続するための選択肢は以下の2つに集約されます。
 
1)とにかく必死で働いて必要なお金を稼ぎ続ける
2)一般的に支出が必要と思われることを犠牲にする
 
どちらも将来の為に必要な事ですが、多くの方はこれが出来ません。
出来ないひとは積立は続かないし、やるべきではありません。
 
やらなかったからといって、殆どの投資をすらしない世の中の99%の人たちとオフショア積立をしなかったひとの未来はそんなに変わりません。
 
つまり、世の中の殆どの人が、オフショアの積立投資をやらなかった人と同様に、将来にリスクを抱え持っており、その解決策を持っていないので同じ運命だということです。
 
世の中の大半の人たちと同じように考え、同じように行動しようとするのは集団行動の理論からみてもごく普通のことです。
 
反対に、集団行動から外れたとしても、集団が全て滅ぶ状況で生き残れる保証があるわけではありません。
 
まとめますと、
 
RL360(ロイヤルロンドン)やITA(インベスターズトラスト)に代表される、オフショアの積立年金プランをやらない方がいい人というのは以下のような方だと思います。
 
*月500ドル程度の積立が少なくとも10年継続出来る資金も収入もないひと
*長期に渡り積立を継続する自信のないひと
*政府に自分が搾取されているという実感もなく、生き残ろうという意志のないひと
*日本の金融機関や日本円を心底信頼していて将来になんの不安もないひと
*騙されやすく、常に騙されるという被害妄想が強いひと
*運用がマイナスになることに耐えられないひと
*海外の会社や外国人を信用できないひと
*英語アレルギーのひと
*自力で情報収集とその識別ができないひと
*信頼できるひとや情報を見極める能力も自信のないひと
 
ITA(インベスターズトラスト)の「S&P500インデックス15年」という積立商品は、毎月USD200ドルという少額からでき、15年間一度も停止や減額、引き出しをせずに継続した場合は15年後に元本の140%が最低でも保証されるという魅力的な商品ですが、200ドルだから出来るだろうと甘く考える人ほど、200ドルの積立ですら続かないということがあります。
 
ちなみにITA(インベスターズトラスト)のエボリューション(EVOLUTION)はカタログ上US150ドルから出来ますし、RL360(ロイヤルロンドン)のクアンタム(QUANTUM)はUS320ドルからできますが、多くのIFAが500ドルからしか受けない理由は、手数料の負担額から考えて少なくとも500ドルくらいはやらないと運用としてやる意味すらないからです。
 
手数料効率から考えると、本来はUS1,000ドル以上の積立が10年以上可能な人向けの商品といっても良いのかも知れません。
 
仮に10万円だとしても、25年積み立ててようやく元本は3,000万円です。
 
商品にかかる手数料などを無視した複利の計算をするならば、1億円を25年後に作るためには、最低でも毎月10万円の積立を25年間継続し、年平均10%で回らなければなりません。
 
年平均10%が成り立たないのであれば、もっと沢山の積立をしなければなりません。
 
年平均5%の利回りを地味にめざすのであれば、毎月20万円を25年間積み立てなければなりません。
 
さらに、25年間という長期が年齢的に無理であれば、たとえば15年で1億円を作るためには、年平均10%だとしても毎月25万円以上の積立ができなければ成り立たちません。
 
この計算は、単なる計算であり、それ故絶対です。
 
但し、現実は、価格の変動するファンドで運用をする限り、毎月毎年の運用結果が常にプラスであることはあり得ず、平均利回りは、25年なら25年間続けてみなければ結果がわかりません。
 
それゆえ、平均利回りを導入したシミュレーションには限界があるといわざるを得ません。
 
ポートフォリオマネージャーが、もし毎月単位でプラスだけを目指し続けるとすれば、毎年10%以上の成果を25年続けるということはほぼ不可能に近いでしょう。
 
USドル建てのインデックス投資であれば、年4%程度の平均利回りは比較的容易に実現できるかもしれませんが、20年を越えて平均で5%以上を目指すのは難しいかもしれません。
 
このように、常に期待するリターンが大きいほどにリスク要因も大きくなるわけですが、25年などという長期に渡る積立投資をもし確実に25年間続けて行くとして、しかも5%以上の結果的平均利回りを期待したとしても、相当額の毎月の積立額を黙って払い続けなければならず、1万円や2万円の積立を30年しようが焼け石に水というのが悲しい現実です。