遅ればせながら、世界でも資産額トップ3に必ず入ってくる中国工商銀行(ICBC)の香港支社ICBC(Asia)で個人の銀行口座を開設してみた。
なぜ今更?という感じだが、冷静に考えてみるとHSBCやCITIといったかつての有名どころは既に世界のトップ銀行の座を中国系の中国銀行/中国建設銀行/中国農業銀行/中国工商銀行などに奪われて久しい。
そして、最近になって米国のFATCAやOECDのCRSなど世界的な金融統制・管理規制が強化され、香港やシンガポールの銀行も、スイスのプライベートバンクですら情報の機密性を維持できなくなってきている状況の中で、中国系銀行の信頼性が相対的に高くなってきているということは認めざるを得ない。
世界の銀行総資産ランキングをみてみると、
The Industrial And Commercial Bank Of China(中国工商銀行、ICBC、http://www.icbc.com.cn/icbc/)、
Bank of China(中国銀行、BOC、http://www.boc.cn/en/)、
China Construction Bank(中国建設銀行、CCB、http://www.ccb.com/en/home/)、
Agricultural Bank of China(中国農業銀行、ABC、http://www.abchina.com/en/)
の国有4大銀行が上位を独占している。
【世界の銀行総資産額ランキングトップ10】
1位 <中国> 中国工商銀行(ICBC)
2位 <中国> 中国建設銀行
3位 <中国> 中国農業銀行
4位 <イギリス> HSBC Holdings
5位 <中国> 中国銀行(BOC)
6位 <アメリカ> JPMorgan Chase & Co
7位 <フランス> BNP Paribas
8位 <日本> 三菱UFJフィナンシャルフループ
9位 <アメリカ> Bank of America(BofA)
10位<フランス> Credit Agricole Group
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_largest_banks
(wikipediaより2015年統計)
今回ICBC(Asia)を選んだ理由は特になく、別に中国銀行でも中国建設銀行でも良かったが、中国農業銀行だけはなんだか名前がかっこわるいせいで気が進まなかった。
今回の開設を後押ししたのは、AEEXやICGLの情報を流してくれている香港・中国の裏社会筋のアドバスで、「あまりHSBCに傾倒しすぎない方がよい」と言われたことと、最近私の所にもHSBCから電話があり、今年に入ってからの送受金履歴とその相手との関係などを聞かれたことでHSBCに対して弱冠の不安を感じたというのが主な要因である。
よく行くHSBCのコーズウェイベイ支店の近くにICBCの支店があるので、取り敢えずそこに行ってみた。
香港居住者である私の場合、必要な書類は以下のものであった。
*香港ID
*日本のパスポート
*香港の住所証明(英文)
*日本の住所証明(英文)
また、開設に関しては行員との英語のやりとりで開設理由をちゃんと説明できる必要がある。
通常なら、SavingsとかInvestmentとか答えるのが常套句だが、驚いたことに「Tax evasion」=直訳すると「脱税」になるが…「Asset transfer for the purpose of tax evasion」とうのは違法行為ではないので立派な口座開設の理由になるらしい。
しかしながら、「Tax avoidance」=「節税」という言葉のほうが適切であるように思われる。
日本居住者の場合は、日本のパスポートと日本の住所証明(英文)だけで可能だが、英語もしくは中国語で行員と会話ができ、正当と思われる口座開設理由を説明しなければならないというのはハードルが高いように思われる。
これに関しては、支店や対応する行員によっても相当な差があると思われるが、ケースバイ・ケースということになるだろう。
少なくとも私の印象では、今月から口座開設の英語に関するチェックが厳しくなったHSBCの代わりにICBCで開設するというのはより難易度が高いように感じた。
口座の種類には以下のように3種類あり、それぞれHSBCで言えばPersonal Integrated Account、Advance、Premierのような位置づけである。
[INTEGRATED Account] 最低預金額HK$10,000
[E-AGE Account] 最低預金額HK$100,000
[Elite Club Account] 最低預金額HK$800,000
おそらく香港居住者でないと難しいように思われるが、口座開設と同時に「Xplore VISA Signiture Card」というクレジットカードを申請することができる。
必要な書類は、納税証明か、収入証明か、10万香港ドル以上の資産証明(銀行のステイトメントで可能)。
たった10万ドル(約130万円)以上の残高を示す銀行のステイトメントで良いというのは、かなりハードルが低いように思われる。
ATMカードとPINは、その場ではもらえず、後から郵送になる。
海外への発送は難しいと思われる。
インターネットバンキングの使い勝手は、それほど悪く無さそう。
電卓型のセキュリティーデバイスはその場でもらえて、アクティベートもしてくれる。
唯一気になるのは、HPへのアクセスが海外からは非常に繋がりにくいというのがわかった事だ。セキュリティーがきつすぎる為だろうか?
海外からネットバンキングにアクセスできないようでは使い物にならない。
とりあえず暫く使ってみて、将来自分にとって香港のメインバンクとなり得るかを探ってみたいと思う。
何よりも重要なのは、米国や欧州からの圧力に対してどれだけ顧客サイドの利益を尊重できるかというところだ。
HSBCはあまりにも露骨に世界のマネーロンダリングに関わりすぎてスケープゴートと化してしまった感が否めない。