ハワイで加入できるアメリカの生命保険 | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!




海外の生命保険についての情報はまだあまりネット上には存在しない。

保険業法の関係から、勧誘サイドの問題だけでなく、加入者の違法性についてもデリケートな為かもしれないし、それだけ日本国内で巣くっている保険業界の闇が深いためかもしれない。

日本の生命保険の運用性が、海外の生命保険と比較して著しく低いようだということに薄々気付いているひとは居るかもしれないが、具体的にどれくらいの差があり、どこからどうすれば加入可能なのかについて知っているひとは殆どいない。

つまり、迂闊に手を出すことのできない「禁断の果実」なのだ。

特に、今はほぼ手に入らなくなってしまったバミューダ籍の生命保険は今となっては貴重な代物と言える。

かつては、トランスアメリカ、サンライフなどの生命保険でバミューダで証券が発行される商品(ユニバーサルライフ)が香港のIFA(仲介ブローカー)経由でも手に入ったが、今は日本居住者が入手可能なものはもう存在しない。

さかのぼること9年前、2007年4月税制改正により、それまでは具体的な規定がなく、一時所得の扱いとなっていた海外の生命保険受取金が、みなし財産のとなる生命保険金の中に含まれることとなり、海外の生命保険金は、国内の保険金と同じように相続又は遺贈により取得したものとみなされて相続税の対象となるようになった。

それ以前は、海外の生命保険の死亡時受取金はみなし財産として相続税の対象となる生命保険金の中に含まれておらず、相続財産ではなく一時所得として所得税及び住民税の対象とされていた為、これを利用した節税対策が富裕層の間では密かに行われていた。

 一時所得となる場合、受け取った保険金額から支払った保険料及び50万円を控除し、さらに2分の1にしたものが課税所得となるので、相続税に比べ税率を半分程度に抑えることが可能になる場合があり、相続財産が多額の資産家の場合には所得税の対象となるような保険に入っておくことで節税対策が可能だったわけだ。

この2007年の税制改正により、富裕層にへばりつく節税コンサルタントが海外の生命保険を相続対策のツールとして活用することはなくなった。

もちろん、当時から海外の生命保険に加入する場合の保険業法第186条の規定は存在し、内閣総理大臣の許可を得ずして加入することは法に触れる行為であったことは言うまでもない。

海外の生命保険には、Whole Life(ホールライフ)とUniversal(ユニバーサル)という大きく二種類の生命保険保険が存在し、この当時節税対策に利用されていたのは、Universalという形態の保険で、最低でも死亡保障が1億円以上というものだった。

おそらく現在でも死亡保障額が10億円以上ある海外の生命保険に加入している日本人の富裕層は数千人から1万人は居るのではないかと推測される。

10億円の死亡保障があるUniversal保険の一括払い保険料は年齢が50歳以下なら3億円に満たないだろう。

3億円を一括で支払った保険証券の担保バリューは、支払った直後の解約返戻金およそ2億5千万円の80%程度当時は認められていたので、それを担保にプライベートバンクから2億円の借り入れが可能であった。

つまり、プライベートバンクに1億円以上の預金をして、それを追加担保にすれば10億円の死亡保障が付いた海外の生命保険に加入する保険料3億円を理論上借り入れることが可能だった。

これが、俗にいう「プレミアム・ファイナンス」という手法だ。

ところが、2008年のサブプライムショックでAIGのようなS&PでAA以上の格付けを持っていた保険会社がこけるような事件があり、生命保険証券の担保率が80%から50%に落とされてしまう事態が発生し、それ以前にプライベートバンクからの借り入れで保険料を支払っていたプライベートバンク顧客に追い証が発生した。

タイミング悪く2007年ごろにシンガポールのINGプライベートバンクが日本人富裕層顧客向けにこのプライベート・ファイナンスのスキームを売りまくっていたので、この事件により多くの顧客がトラブルを被ったと聞いている。

2009年以降、昨年に至るまで、このような歴史の中で、海外の生命保険を活用した節税プランやUniversalライフを活用した巨額な保障の海外生命保険ビジネスはなりを潜めていた。

ところが、最近になってこの亡霊が復活し始めている。

とあるアメリカの生命保険会社「パシフィックライフ=Pacific Life」が、米国LLC設立によるLLC名義での日本居住者加入を受け入れるというものだ。

加入条件は、最低死亡保障USD 1mil(1億円)以上、2.5億円以上の資産及び2,500万円以上の年収証明を持つ人対象という一般人には結構ハードルの高いUniversal保険だ。

日本国内のコンサル、税理士、監査法人、香港のIFA、シンガポールの金融機関など、いろいろなところから、「ハワイで加入可能なアメリカの生命保険」というものが紹介され始めている。

この話の根っこには、50年以上も日本居住者向けにアメリカの生命保険を仲介してきた日系人が経営するハワイの保険ブローカー2社が絡んでいる。

契約条件は、米国テリトリー(グアム、サイパン、ハワイを含む)現地にて現地のライセンスブローカー経由で契約すること、LLCの設立及びその名義での契約、現地での健康診断の受診がマストである。

富裕層にとって、このチャンスを逃す手はない。

もちろん、米国LLC名義で加入したとしても、被保険者が日本居住者である限り、保険業法186条を回避することはできない。