理不尽に思える「美味しんぼ」批判 | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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小学館の雑誌『スピリッツ』に連載されている漫画「美味しんぼ」(おいしんぼ)の中に、東京電力福島第一原子力発電所を訪れた主人公らが原因不明の鼻血を出す場面があり、地元の福島県双葉町が「風評被害を生じさせている」として、小学館に対して抗議文を送ったそうです。


抗議文の冒頭に於いて、「作中に登場する特定の個人の見解が、あたかも福島の現状そのものであるような印象を読者に与えかねない。県としても大変危惧している」と指摘し、 また、全県民を対象にした健康調査や甲状腺検査など、健康面への不安に応える取り組みに加え、県産の農林水産物についても除染やモニタリング調査などによる安全確保で、「ようやく本県への風評も和らぎつつある」と強調。

その中で発生した今回の問題に対し、「県民、そして本県を応援いただいている国内外の方々の心情を全く顧みず、深く傷つけるもの」と強い言葉で抗議した。

 一方で「美味しんぼ」やそのほか小学館の出版物に関し、医療、教育、科学などの関係各機関から科学的知見や多様な意見、見解を綿密に取材、調査した上で「偏らない客観的な事実を基にした表現とするよう強く申し入れている」とした。


これは、確かにデリケートな問題であり、漫画の表現とは言え、福島の現状が危険な状態であるという印象を与えている事は否めない。


私個人は、特にこの「美味しんぼ」というグルメ漫画のファンでもないが、『ビッグコミック・スピリッツ』という雑誌を長年に渡り愛読している関係で「美味しんぼ」は毎回読んでいる。


今回の福島シリーズは、グルメ漫画としては原発事故の問題に深く首を突っ込みすぎたのかもしれないが、どう読んでも作者の意図は、被害を受けた福島の支援をする立場であり、どちらかと言えば、すばらしい食文化を持った福島を無茶苦茶にしてしまった原発や東電や政府に対する福島県民の怒りや反発を代弁しようとしている感じはある。


確かに、鼻血の表現など、本当にそんなことが日常茶飯事に起こっているかのような印象を与えるが、そんなことがあったとしても別に驚くようなことでもないわけだし、抗議をしている双葉町が「絶対にそんなことはない」と言い切っていないようなところも逆に気になる。


相手が漫画であるというところに微妙さは隠せないものの、何か事実に近づこうとして、事実に近いかもしれないことを公にしようとする全てのものを、排除しようとする理不尽さを感じさせる事件だ。