ハンサード続けるべきか? | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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50代グダグダちょい悪おやじMr.Gの趣味と海外投資に関するコラムです。
香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

今月に入ってから、アブラハムとハンサードの事しかほとんど書いていない・・・。


これだけ大騒ぎになると、逆に本質を見失いそうだが、「日本人が海外やオフショアに投資する世界」において、これがあとから考えれば、この出来事が役割を担った歴史の1ページだったことがわかるときが来るような気がする。


今回は、ネット上で意見を主張するブロガーが、行政に先駆けてアブラハム社のビジネスについて糾弾しており、あたかもそれを受けて動いたかのように証券取引等監視委員会(SESC)から行政処分勧告が出されたというのも話題のひとつではあるが、わたしのようなひねくれ物は常に物事の黒幕を探し続けてしまう。世の中はそんなに簡単ではない。


SESCは随分前から同社を検査していたようなので、この数ヵ月で突然起こったことでもなさそだ。

お世辞抜きにも、金融庁寄りだったアブラハム社をこのような形で追い込まなければならなかった金融庁に圧力をかけたのは、実は日本証券業協会だったのではないだろうか?


証券業協会としては、アベノミクスの波に乗り、鳴り物入りのNISA拡販という後には引けないプロジェクトを遂行するなかで、あれほど大々的に海外ファンドを宣伝された日には我慢できないという状況だったに違いない。


投資助言業ごときに1種の資格を持つ証券会社のビジネスを邪魔されてたまるか!という空気があっても不思議はない。


しかも、NISAの口座拡販がうまくいっていないとすればなおさらだ。


いずれにせよ、今回の事件によって、投資助言業の会社が、海外ファンドを裏で販売することで生計を立てるというビジネスモデル?は今後成り立たなくなった。


1種や2種の資格を持っていようとも、実質的に国内未登録の海外ファンドを販売することはできないし、既存の国内金融機関が、よほどTPPで懲罰的自由化でも迫られない限りそんな儲からないことを積極的にやるとも思われないので、国内で金融庁の管轄下にある会社が海外・オフショアファンドを斡旋するという可能性は無くなったと言ってもいい。


依然として、日本居住者が海外のファンドに自ら投資することに全くの違法性も規制もないことを考えると、そういった能力のある自立した投資家だけがこの市場に参画することができる元々の閉鎖的な世界に逆戻りするだけのはなしだ。


さて、前置きが長くなったが、本題となっているハンサードを継続すべきかどうかという課題に入りたいと思う。


行政処分が正式に決定したアブラハムプライベートバンクが誇大に宣伝していたとされる「海外ファンドお取り寄せサービス」というコンセプトの「いつかはゆかし」と命名された独自の投資スキームの実態は、マン島籍の生命保険会社ハンサードのアスパイアという積立型の投資商品であることが明るみに出たが、「いつかはゆかし」契約者にとっては、今後このハンザード社との投資契約を継続すべきかどうか?という課題が切実な問題となるだろう。


アブラハム社がフレンズプロビデントからハンサードにシフトしたのは2011年の末ごろからであろうと推測されるので、ハンサード社アスパイア契約者のほとんどは、まだ契約してから2年以内であると推測される。


開始から2年は初期ユニットということで、早期した場合1円も帰ってこないことは周知と思う。


TVなどで派手に宣伝が行われ始めたのが昨年の12月であるから、その後に加入したひとであればまだ1年経っていないだろう。


違法販売を理由に積立金の全額返金を要求しようという動きもあるようだが、ハンサード社に対して全く無力であることはもちろんのこと、アブラハム社に弁済を求めてもそれが返還される可能性は極めて低いように思う。もちろん助言料やDVDの購入費用などは返還される可能性はあると思うが・・・。


明確な根拠はないが、過去の例を見れば、たとえそれがAIJやMRI、121ファンドや、アービトラージのような詐欺の場合であっても投資金そのものは帰ってこない。


それらすべての詐欺に於いても仲介者は存在しているが、その複数存在したであろう仲介者から弁済を受けた例も聞いたことがない。


投資金の返還を求めることが仮に難しいとした場合に、継続するか否かの判断は難しい。


損得を考えると、代理店を移管してでも満期までやるか、少なくとも5年~10年は継続することを勧めたいところだが、契約期間が30年など長い場合で、積み立ての金額が5万円程度でしかもまだ数ヵ月しか積み立てしていないような場合であれば、解約して全てを清算しても大した被害ではない。


しかし、すでに2年近くやっていたとすればそれを全てふいにするのは惜しい。


ハンサードの初期ユニット(24ヵ月分は)満期までどこで解約をしても100%ペナルティーとして取られてしまうので、続ける場合には「初期ユニットは満期まで手を付けない」覚悟が必要だ。


24ヶ月目以降の部分は、いつでもノーペナルティーで引き出しが可能なので、10年やれば8年分は流動性がある。


今回のように金融庁の検査が入ってしまうと、個人情報が金融庁に開示されないという保証もないのでそれも気持ちが悪い。


くれぐれも代理店が信頼できないということと、自分の契約自体をどう損の無いように保全するかということをごっちゃにしないことです。


行列ができる前に助言契約を解除することと、解約ではなく移管先を探すのが賢明でしょう。