土曜日。
昼前に起きて、軽くお腹を満たしてから
洗濯機を回す。
洗い終わった洗濯物をベランダに干しながら
隣の部屋の様子を伺ったけど、
窓にはカーテンが引かれたままで、
中の様子は全く分からなかった。
それからスーパーで出向いて、
手土産に500ml缶のビール6本ケースを
買った。
約束の六時少し前、
また玄関のドアの前で時計の針が六時を
指すのを待って、インターホンを押した。
すぐにドアが開いて、ニノが人懐こい笑顔で
迎えてくれる。
「いらっしゃいませ~」
相変わらず段ボール箱だらけの
無機質な印象の部屋。
手土産を渡して促されるままに
こたつに座った。
こたつの上にはIHコンロが置かれて
既に鍋がぐつぐつ言っていた。
「いい匂い…」
思わず呟くと、ちょうどキッチンから
戻ってきたニノが
「お口に合うといいんですけど」って
言いながら箸とビールを渡してくれる。
軽く缶を合わせて乾杯すると、
「もう食べれると思いますよ」
「あ、ありがと…」
ニノが俺の皿に肉と野菜をひととおり
取ってくれて、ふたりではふはふ言いながら
食べた。
「あちっ」
熱々の肉に苦戦する俺を見てニノが
ふふって笑う。
口元に手を当てて笑うそのしぐさが
可愛く見えて、うっかり見惚れたのを
ごまかすために肉を無理やり口に詰めた。
こたつで向かい合って、飲みながら鍋。
それがこんなに楽しいなんて…
目の前には、ちょっと頬を赤らめて
楽しそうに笑うニノ。
他愛ない話で笑い合えるのが嬉しくて。
ああ、やっぱりご近所付き合いって最高だ!
ひととおり飲んで食べて、
心もお腹も満たされて、
「ごちそうさま」
手を合わせてから、
ふと気になってニノに聞いた。
「あの…材料費とか、俺も出すよ」
なんかやたら高そうな肉が入ってたし
全部ニノに出してもらうわけには…
と、思ってそう言ったんだけど、
ニノは笑って首を横に振った。
「いいんです、臨時収入があったので」
「臨時収入?」
「ええ、大野さんのおかげで。
だから鍋は、そのお礼」
そう言って彼は、
綺麗な顔でにっこり笑った。