【海外奮闘記】プログラマーになるはずだった高校生がスーツ職人になるまで⑩ | プログラマーになるはずだった高校生がスーツ職人になるまで

プログラマーになるはずだった高校生がスーツ職人になるまで

ビスポークテーラーになるまでの海外奮闘記です。表面的なファッションではなく、ストーリーのあるファッションを愛した結果、ロンドンで修行することに。職人文化の発展と継承を願い、現在大阪の西天満にてオーダーサロンを経営しています。スーツは「生活芸術」です。

-Kitonでの生活-

 

 

 

キトンで働いている間は勉強ということなので給料が出ません。

またまた貧乏生活の始まりです…。

 

しかし、食べ物に困るということはありませんでした。

 

キトンの工場には食堂があり、料理は全て無料でいただけます。

更に物凄く美味しいのです。

 

《キトンの食堂》

 

 

お昼のチャイムが鳴ると、みんな食堂に走って行きます。

ごはんをもらうために並ばなければならないので、みんな我先にと走るのです。まるで高校生が購買部にパンを買いに走るような感じでした(笑)

 

《並ぶキトンの人々》

 

 

《配給の様子》

 

 

荒川は食堂のおばちゃんに何故か気に入られて、毎回山盛りのパスタやニョッキを取り分けてくれました。

 

残すとおばちゃんに悪いので、荒川は全部残さず食べていました。

「ボーノ、ボーノ」と言うと、喜んでくれて、「これも持っていけ!」と沢山オマケを付けてくれるのでした。

 

《いつかの食事。食べかけですみません。》

 

 

-Kitonの人々-

 

 

昼休みにはごはんを食べながら、みんなで楽しくいろんな話をしました。

 

荒川はキトンに働きに来た初めての日本人だったので、みんな興味を持ってくれました。

 

その中でも、下ネタ大好きおじいちゃんのジェナーロとはとっても仲良くなりました。下ネタは全世界共通ですね。

 

《いつもこのメンバーでお昼ごはん。右手前がチーロ、左手前がジェナーロです。》

 

仕事に対してもみんな真面目で、いつもおしゃべりしながら楽しそうに働いています。

 

職場の雰囲気はとても良いものでした。

 

金曜日だけは、16時からパーティーが始まります。

ピザやフォカッチャを広げて、毎週プレミアムフライデーです。

メリハリのある仕事ぶりですね。

 

ナポリの人々は人懐っこく、人情味に溢れていて、なんとなく大阪の雰囲気とよく似ています。

ごはんが美味しいところも一緒だなと思いました。

 

荒川は、この暖かみのある雰囲気が好きで、後々自分のお店を出す際に大阪にすると決めたのも、ナポリでの経験が一因かもしれません。

 

 

 

-ナポリに来てからの異変-

 

 

 

そんなナポリでの生活に、お金が無くても痩せ細ることなく、むしろどんどん太っていく荒川…。

 

困ったことに、美味しい料理に加えて、ナポリには禁断の飲み物があったのです…。

 

 

皆様は、ナポリのエスプレッソの飲み方を知っていますか?

 

イタリア人はカフェが大好き。

みんなすぐに「キャッフェ!」と言ってこまめにカフェ休憩します。

 

特にナポリはエスプレッソの聖地です。

ナポリでの日々にエスプレッソは欠かせません。

 

そして、そのナポリ流の飲み方とは、エスプレッソの入ったあの小さいカップに、たっっぷりの砂糖を入れて飲むのです。

 

砂糖でドロドロのエスプレッソ…なんとこれがめちゃくちゃ美味しい!!

 

この甘〜いエスプレッソを1日に5回飲みます。

 

困ったことにキトンの工場内にはLAVAZZAの自販機があり、なんとエスプレッソを60セントで飲めるのです。

 

気が付けば、荒川が日本から着てきたYシャツはパッツパツに。ボタンが弾けそうです。

 

自分のお腹を見て、ナポリの陽気なおじいちゃんたちのお腹がぽっこりしている原因はこれだと確信しました。

 

こうして、ナポリの人々の優しさとナポリ文化の素晴らしさが荒川のお腹を育んでいったのでした。

 

 

 

– 創業者チーロ・パオーネのコレクション-

 

 

 

Kiton の工場には、創業者チーロ・パオーネが好んで集めたコレクションが数多く飾られています。

 

《チーロ・パオーネのプライベートコレクション。Kitonは基本的に撮影NGなので、このブログの写真はちょっぴり貴重かも?》 

※撮影許可は頂いております。

 

《廊下にずらりと並ぶコレクションたち》

 

 

ここには、英国ファッションのアイコン、ウィンザー公爵(イギリス王室の皇太子)が実際に着用していた服が展示されています。

「王冠を賭けた恋」等、ヨーロッパ屈指のプレイボーイで有名なウィンザー公はイタリア人に人気だとか…。

 

《ウィンザー公のテイルコート》

 

ウィンザー公には、

 

・シングルブレステッドの時はボタンの1番下は留めない(イングリッシュドレープ)


・彼が愛用していたシャツの襟がウィンザーカラーと呼ばれるようになった


・スーツにスエードの靴を合わせることはタブーとされていた中、スエードの靴をコーディネートに取り入れた


・プリンスオブウェールズ(グレンチェックにブルーのラインが入ったチェック柄)は彼が皇太子の時に愛用していた

…等の逸話があり、


現在も彼が好んだファッションは自然と沢山の人々に愛されています。

 

《ポケットに特徴的なカットがなされているものもあり、流石は20世紀のファッションアイコンだなと思います。》

 

《見えづらいですが、肩のラインがかなり後ろに振ってあります。古い作りですね。》

 

 

《ウィンザーワイドカラー》

 

 

お洒落とモテ度は比例するのでしょうか…。
 

いずれにしても、切っても切れない関係であることは間違いないですね。

 

身だしなみに気を遣うことは決して無駄ではないと思います。

 

 

 

続く。

 

 

【サルトルリサルタス公式HP】

https://sartorresartus1971.co.jp/

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