「え、なにそれ、どういうこと」
「こっちが聞きたいよ、だって電話かけたの夜中よ?
そんな時間に女の人といるんだもん、誤解するよ」
携帯の液晶をこすりながら凝視する潤。
「もしかしてこの着信?」
そこには着信履歴一覧がほとんど私の名前で埋まっている画面。
潤が指しているのは、あの日の日付と夜中の時間の履歴。
「うん…、多分。だけどそれくらいの日付と時間だった。
そしたら女の人が出て、潤なら横で寝てるって…」
「当たり前でしょ。こん時実家帰ってたもん。多分それ姉ちゃんだよ」
は?
「……嘘にもほどがあるよ」
「嘘じゃねぇよ!」
間髪いれず反撃される。
「この日は、母さんの誕生日で祝いに実家帰ってそのまま泊まったの!」
「お姉ちゃんと寝たの?」
しゃあねぇだろ、と潤はそっぽを向く。
「家族全員同じ部屋で寝てんだよ
言っとくけど同じ布団じゃねぇからな」
そんな…
「じゃ! じゃあ、その赤い痕は!? キスマークじゃないの?
逃げ切れない証拠だよ!」
「証拠って…」
苦笑しながら、これ?と襟を引っ張って例の痕を見せる。
「これは、多分虫射されの痕だよ」
「嘘だ。絶対」
負けと分かっていてもそう言ってしまう。
潤は、ハァ~、と呆れたようにワザとらしく溜息を漏らす。
コーヒーを一気に飲み干して、私があわてて飲もうとするのも無視して、
レジに千円札を置いて、私の手を引いて店を出た。