今日のブログは自分の相場への甘さを再認識するためのものです。

きっかけは、ジェシー・リバモアという世紀の相場師について書かれたこのブログ

中でも印象的なのは、「ギャンブルにも数学の力が必要なんだよ」、「考えて考えて考えぬかにゃ、...息の長いギャンブラーになれん」、「うまくタイミングを捉える鍵は忍耐」、「人間の内部に潜む始末の悪い二大感情は、貪欲と恐怖」というもの。

そして、エッセンスの、リバモア株取引の3つの鉄則。

1.市場全体の流れ、方向を見定める。相場の基調を知る。
2.投資戦略をたてる。市場の動きを確認するために、小口の打診買いを実行する。
3.相場に材料が見えてから行動に移る。

彼は1929年の大恐慌前に3度も破産しながら、大恐慌時に巨万の富を築き上げております。株はギャンブルだと言っているのも正鵠を射ておりますね。

今回の急な株式の暴落劇ですが、昨年から予想しながらも、上記のブログで書かれているとおり、「われわれは、われわれによる体験の集大成である。」(アリストテレス)に過ぎなかったため、そして、昨日までの体験の延長線でしか物事を考えなかったため、筆者は、まさに、その最後のシグナルを見落としてしまいました。

具体的に言います。今回の暴落劇の序幕は「リーマン・ブラザーズの破綻」でした。ダウが504ドル下げた9月15日です。

恐らく、これまでの投資経験の延長線上で考えていたベテランの方々ほど、この時、ダウがまだ7月15日の安値を割っておらず、翌日は切り返しに転じたため、これまでの経験則から、9月17日あたりの再度の下落時に、全力買いに入ったのではないでしょうか。

そうでない場合でも、10月に入ってもまだ下落する相場で、「底値拾い」に徹した方々も多かったのではないかと思います。そして、10月10日までにはそうした方々は、あまりの損失額の膨張に耐えきれなくなって撤退するという、最悪の結果を招いたのかも知れません。

まさにアリストテレスの格言そのままの行動です。それ自体は仕方ありませんが、リバモアが言う、数字の力、考え抜く、といったことが出来ていれば、或いは、タイミングを見誤ることはなかったと思います。

1つだけ、その数字の力を示すデータをご紹介します。既にご存じの方は大勢いると思いますが、それはLIBOR(London InterBank Offered Rate)、通称、ライボーです。ロンドン市場での銀行間の借入金利の平均値のことです。

このLIBORは1日1回11時にロンドンで発表されますが、リアルタイムで見るにはQUICKなどとの契約が必要です。しかし、1日遅れなら、このサイトで見ることは可能です。

米ドルLIBORをご覧下さい。まさにリーマン破綻を期に、10月10日の頂点まで一気に跳ね上がっております。

これが、「金融不安」→「金融危機=恐慌」への転換のサインだったのですね。

もしリバモアが生きていれば、ここで一世一代の空売りをかけたと思いたいところですが、多分そうしなかったでしょう。

何故なら「うまくタイミングを捉える鍵は忍耐」という言葉を思い出して下さい。また、3つの鉄則のうち、2項目を見ると、すぐに全力勝負に出て行ったとは考えにくいためです。小口の打診買い(今回のタイミングでは打診売り)はしたかも知れませんが、市場の動きを確認するまでは、一気の勝負にはリーマン破綻の直後には出なかった筈です。

そして、その後もLIBORが下がらないことを確認しつつ、ギリギリまで引きつけておいて、NYダウがリーマン破綻後の高値を付けた9月26日の翌日の29日(月)に、-777ドルのダウの暴落の過程で、売りの勝負に出ていたことでしょう。

しかし、何度も言いますが、LIBORがリーマン破綻によって凍り付くことが分かっていながら、何故ポールソンとバーナンキはリーマン破綻を選択したのだろうか?

その後のドタバタぶりを見れば、田中宇さんの言う、「隠れ多極化論者」と2人を見なすのはチョイと無理があるような気がしますが。さっぱり分からん。

最後にこのLIBORですが、ユーロの方をご覧下さい。特に6ヶ月もの。ドルとの比較では劇的に落ち着いてきております。これは恐らく、この市場への政府保証がユーロにおいてなされたことの効果です。ドルはまだその保証がなされておりません。

こうしたことも背景となって、昨晩の欧州市場は大きく上げ、ダウがマイナスで終わるという結果を招いているのではないでしょうか。