10年以上「つんどく」状態にあった本を紐解いた。
私は、「前向き」という言葉が好きだし、常にポジティブシンキングでありたいと思っている。でも、努力しても報われないこともあるし、自分の無能さに打ちひしがれることもある。そんな時、しょせん自分は「大河の一滴」なので、流れのままに身を任せようと思うと気持ちが楽になる。歌の歌詞ではないが、「川の流れのようにこの身を任せる」というおおらかな気持ちも大切だと思う。いつもそんな気持ちにさせてくれるのが、五木寛之氏のエッセイだ。
この本の中で最も印象に残っている言葉は「水が濁ったときは足を洗えばよい」だ。潔癖過ぎると流れに逆らう場合があるが、だからといって濁った世なら濁って生きることにも良心が咎める。そんな時に、自分に嘘をつかずに自分の良心を咎めない方便もあるのではないかと思った。
「笑う門には福来る」「溜息をつくと寿命が縮まる」などとよく言うが、時には「泣く」ことも「溜息つく」ことも、自分を解放し明日への活力を生むためには必要ではないか。
この本を読み、「焦らずあるがままを受け入れる」ことも大切だと思い、気持ちが楽になり、少しだけ自分に優しくなれたような心地がした。
