アンリ・ルソ-の絵を、私は何回も美術館で観た。奇妙な絵だが、強いインパクトがある絵だと感じていた。この小説を読み、絵画に生涯を懸けたアンリ・ルソ-と彼の絵に魅せられた研究者の、強い執念を感じた。
アンリ・ルソ-の天才的な研究者だった早川織絵が、全てを棄てて美術館の監視員になった。その彼女のパンドラの箱を開けて、昔の世界に呼び寄せてくれたのが、昔のライバルであり彼女に思いを寄せるキュレ-タ-のティム・ブラウンだ。
17年の時を経て再会した2人は、できれば結ばれてほしいと願った。織絵には日本に娘がいるので結婚は難しいかもしれないが、末永く絵画を介した友人同士であってほしい。
アンリ・ルソーの憧れの女神ヤドヴィカの夫が、アンリ・ルソ-のコレクタ-である大富豪のバイラ-。アンリ・ルソ-の絵を守ろうとするインタ-ポ-ルのジュリエットが、ヤドヴィカの孫娘。真実ではないかもしれないが、奇しき因縁の不思議な巡り合わせだと思った。
再び美術館で、アンリ・ルソ-の絵をじっくり鑑賞したくなった。