生まれも育ちも違う、山崎瑛と階堂彬。どちらの「あきら(アキラ)」も魅力的だった。大会社の御曹司で裕福な家庭に育った階堂彬。決して世間知らずのボンボンではなく、良識的で頭が良く、骨太で男気もある。家庭は裕福だったが、家業である大会社を継がなければならないという宿命や経営をめぐる父と叔父との軋轢など、彬の育った環境は、決して安穏として気楽なものでは無かっただろう。
倒産した工場の息子で、幼い頃から貧乏と闘い苦労して育った山崎瑛。決して自分の身の上や世の中を恨んでひねたりせず、真っ直ぐな目をした優しい青年だ。瑛の優しさを育んだのは、家族や親戚や工場の従業員の温かさや、自分の進学のために父を救った銀行員の存在があったからだろう。
「金は人のために貸せ」という言葉が重かった。山崎瑛のように良心的で志が高く、悪戦苦闘している将来性のある企業を救えるバンカ-が増えてほしい。
また、階堂彬のように良識的で分析力があり、統率力のある経営者も増えてほしい。
ラストで、憧れのマドンナと結婚して幸せな家庭を築き、かつて倒産した実家の工場がある故郷を訪れた瑛の姿が、いつまでも目に焼き付いた。