人たらしの流儀 | つましくても、ささやかな幸せ

つましくても、ささやかな幸せ

地位もお金も能力も無くても得られる、日々のささやかな幸せを記します。
内容は、映画・演劇・美術鑑賞&読書感想文&旅行記&趣味の手品&日々の出来事などです。


つましくても、ささやかな幸せ  「敏腕外交官」「知の怪人」。佐藤優氏の「人たらし」の対応力は凄い!と舌をまいた。臨機応変な対応が苦手で知的な教養も持ち合わせていない私は、佐藤氏を目標とする気持ちにはなれなかったが、著書から学んだことは多々あった。
 中でも興味深かったのは、「正しい情報を取る方法」だ。ソ連のク-デタ-未遂事件という混乱の中、冷静で的確な判断力で「ゴルバチョフは生きている」という情報を誰よりも早くスク-プした手腕は、正に百戦錬磨の敏腕外交官だ。政治や外交やジャ-ナリズムのような生き馬の目を抜く世界では、きれいごとだけでは生きていけないのかもしれない。表も裏も知り尽くし、ときには狡さも必要で、テストの成績がいいのみならず、地頭のいい人しか生き残ることができない世界だ。私は決して百戦錬磨でも無く地頭も悪いので、私とは全く無縁の世界のことのように思えた。
 でも、佐藤氏が「あとがき」で記している「相手の立場になって考える」「やるべきことをきちんとやる」「やってはいけないことをやらない」という人たらしの条件には共感した。私は「人たらし」ではないが、この3点はきっちり守っていきたい。
 佐藤氏は、背任と偽計業務妨害の罪で有罪判決が確定し、外交官を失職した。その詳しい事情はよく分からないが、彼のような対応力に優れた地頭のいい人間が、その敏腕な手腕を外交の分野で発揮できないのは、残念でならない。