この超自我とエスのダブルセルフポートレイトが完成して意味を成すのは、たった一瞬、私自身が作品を直視するときだけ。
なぜなら私は、この欲望と本能むき出しの青い私(エス）と、自分の周りの環境と社会の目を気にして本能を抑圧する私(超自我）だけでは成り立たないから。そこに、冷静に自分の人格を確立する私（自我）が存在して初めて自分自身に抑えられてきた本能や感覚をうまく出しつつ環境に順応させて私らしく生きていくことができる。
むき出しの自分と抑える自分との長い戦いは、これからも続いて行くし、時にどちらの自分も手が付けられないほどに極端で、いったい誰なんだかわからなくなる。
でもそんな時、氷の様に冷たい自分がいつも存在していて冷静に客観的に自分を見ている。それは、見られているとも捉えられる程に心地が悪い。
この視線は私の視線、この木も私
本能を生かすのも、抑圧を調整するのも、この私。この絵を見るのも、この私。描かれた2人の私は、私に見られて初めて存在する。