何より注目すべきは、総合経済対策の21.3兆円、うち補正予算で18.3兆円という巨大な予算規模だ。コロナ禍の20~22年度を除けば、補正予算の規模は過去最大となる。
高市首相は11月の国会において、戦略的な財政出動による経済の底上げと成長力強化によって、財政健全化を実現する「責任ある積極財政」というスローガンを口にした。ところが、経済評論家の佐藤治彦氏は「支持を集めるためにいろんなものを寄せ集めて、数字をつくっただけ」と切って捨てる。
【「責任ある積極財政」の本音】
同じく経済対策全体の意味合いについて、第一生命経済研究所・首席エコノミストの熊野英生氏は、深刻な懸念を口にした。
「規模が大きすぎるということもありますが、今回の経済対策にはむしろ、財政再建目標をうやむやにする意図が込められているんじゃないかと思います」
「そもそも、補正予算とは年度内に使い切るもの。与党のもくろみどおりに今月17日に成立したとしても、21.3兆円もの政策メニューを執行するには政府内での調整および民間企業との交渉、発注、事務手続きと、膨大な時間と手間がかかります。
当然使い切れるわけがない。つまり翌年に繰り越すのは前提で、来年以降も予算規模は膨らみます。つまり『責任ある積極財政』は建前で、本音は別にあると解釈するほかないんです」
このメッセージを受け取った金融市場は直ちに国債を売り、10年物国債の金利は1.98%まで上昇した。「18年ぶりの高金利で、かなりまずい展開です」と熊野氏。
「政府が財政再建をやめて国債残高をどんどん積み増していけば、世の中に出回るお金の量が激増します。結果、円の価値が下がって円安が進み、むしろインフレが厳しさを増していくことに。
これを先取りして、国債が売られて金利上昇が起こっているわけです。これは企業の資金調達に支障を来すので、われわれの生活にも直結します」
債券や借り入れの金利は、10年物国債の金利に、貸出先の信用度を見ていくらかプラスするという形で決められる。つまり国債金利が上がると、企業は資金調達コストが上がり、投資の手控えにつながってしまうのだ。
「金利が上がらなければ行なわれた設備投資が立ち消えになってしまうことで、企業の生産力が成長しにくくなります。結果、物やサービスの不足で物価は上がりやすくなり、同時に企業収益は停滞するので、われわれの給料にも当然、影響するでしょう」
政府が決められる賃金を触らず、投資ばかり大規模に行なう今回の経済対策は、生活者ではなく企業のほうを向いたものととらえざるをえないだろう。
「そしてもうひとつは、やっぱり円安を抑えること。21.3兆円などという大それた規模でなく、3兆円でいいので、税収の上振れ分を国債の残高削減に使ってほしい。
日本政府が財政再建に真面目に取り組む姿勢を世界中の投資家や金融機関に示せば、国債の売りが止まって金利は下がり、円安も止まって物価は下がります。日本は災害国家ですから、いざというときに国債を円滑に発行できるだけの余裕を持っておくべきなんです」
12月8日には北海道・三陸沖で地震が発生。青森は震度6強の揺れに襲われた。佐藤氏の警告は、強く受け止められるべきだろう。熊野氏も、とにかく賃金上昇が必要という見解で一致した。
地方自治体への交付金の拡充を通じて『賃上げに向けた中小企業の稼ぐ力強化』や『最低賃金の引き上げ支援』の実現を目指しているのは、一定程度評価できます」
ただし、それ以外のメニューはどれも来年度の本予算で間に合うものばかりだと、熊野氏はあきれ顔を隠さない。
「危機管理投資や防衛費増額という国家の大計を、たった10日間の国会審議で決めてしまっていいのでしょうか。熟議を尽くした上で、必要なら来年度の本予算に盛り込めばいいでしょう。
財政再建は遠い未来に起こりえる危機への備えなので、つい後回しにしてしまいたくなるもの。とはいえ放置は禁物。国債の借り換えができなくなり、日々の株式売買の6割強を占める海外投資家が逃げ出してしまう未来は、決して荒唐無稽なシナリオではないんです」
補正予算は必要不可欠の家計支援にとどめた上で、財政再建の旗は降ろさない。その上で賃金上昇と成長力・防衛力強化は長期的に実現していく。これこそが「責任ある積極財政」だと、熊野氏は言う。
結局のところ、ポイントは賃金上昇に尽きるようだ。高支持率を背景に早期の衆議院解散もささやかれる今、賃金上昇に本気なのは誰か、見極めていくしかない!
>結局のところ、ポイントは賃金上昇に尽きるようだ
それこそが意味不明
金融政策でインフレが止まらなくなってるんだから、金融引き締めしかないんだよアホ











