トランプ大統領の次男エリック・トランプは、小児がんと闘う子どものために多額の資金を集め、寄付してきた。同時に、エリックは自分の慈善団体について、実態とは異なる物語を長年にわたって広めてきた。この財団の寄付金のほぼ全額が小児がん病院に届くと彼が説明していた裏で、財団は資金の一部をトランプ家の施設や事業に支払っていた。エリックは現在もその問題を認めるどころか、不当に攻撃されたと訴え続けている。
トランプ大統領の次男エリック・トランプは先月、 自身が率いる上場企業がビットコインを市場価格の半分程度のコストで採掘できると投資家に説明していた。これに対してフォーブスは、その話が幻想にすぎないことを報じていた。
10年近く自身を悩ませてきた別の問題に話を移した。フォーブスは、2017年の記事でエリックが率いる小児がん慈善団体の運営をめぐる問題を報じていた。
実務の多くを他の団体に任せ、自分たちは資金集めに集中する仕組みで運営されていた。そのため、効率性を高めやすい面も確かにあった。同時にエリックの団体は、誤解を招く売り込み文句、ずさんな会計、利益相反を抱えた理事会、そしてビリオネアであるトランプへの明らかな忠誠心に支えられていた。元従業員によると、トランプは、自身の営利企業に対し、次男の慈善団体に利用料を請求するよう徹底していた。
ニューヨーク州司法長官は、フォーブスが数年前にこの問題を最初に報じた直後に調査を開始した。その後、この問題が大きく取り上げられることはほとんどなかった。
情報公開請求を通じて入手した数千ページの文書からは、エリックの売り文句がどれほど不誠実なものだったかが見えてくる。彼は、財団の資金集めイベントの費用について、実態と異なる説明をしていた。父親のゴルフ場の利用料、出演者を招く費用、オークション品を用意する費用などだ。エリックの団体は、2011年から2016年にかけて一連の取引を通じ、少なくとも50万ドル(約7950万円)の慈善資金を、トランプ家の不動産に流していた。その大半は、この非営利団体の税務申告書に記載されず、これまで公に開示されていなかった。
■トランプ家がスキャンダルを切り抜ける戦略をたどってきた慈善団体
これら文書は、トランプ家を長年見てきた人々が抱いてきた疑問にも答えている。それは、「トランプ家は、なぜ次々とスキャンダルに巻き込まれながら、ほとんど傷を負わずに切り抜けられるのか」という疑問だ。彼らの戦略はまず、多くの場合、ケーブルニュースやソーシャルメディアを通じた反撃から始まる。次に、弁護士を使って書類上の痕跡を覆い隠すなど、守りに回る。
トランプ家は、深刻な処分を免れるために必要な範囲でのみやり方を変える。根本的には何も変えない。法的な追及が収まると、むしろ勢いを増して再び表舞台に戻ってくる。「我々は不当に扱われた」と訴え、世間にもう一度信じるよう求める。実際、それに応じる人も少なくない。
エリック・トランプ財団は、まさにこの流れをたどってきた。スキャンダルにのみ込まれてから9年が経った現在、名称を変えたエリックの非営利団体は、資金集めイベントを拡大している。その支出は年間50万ドル(約7950万円)を超える。イベントはほぼ例外なく、トランプの所有施設で開かれている。
●全員に費用を請求しろと言ったドナルド・トランプ
「初期のころ、彼らにはクラブの利用料が請求されていなかった。請求書はただ消えていた」とギリュールは語る。「トランプは激怒した。完全にキレた。『こちらはこれだけ提供しているのに、書類上の記録もないのか。こちらの貢献として扱われないのか』という調子だった。そして怒り狂った。彼は『息子だろうが関係ない。全員に費用を請求しろ』と言った」。
その結果、誰に対しても請求書が送られるようになった。
2011年のイベント後、トランプ・ナショナル・ゴルフクラブはエリック・トランプ財団に2万ドル(約318万円)の請求書を送った。フォーブスは公開記録請求を通じて、その写しを入手した。金額の下には、ご不明な点があればダン・スカビーノまで問い合わせるよう促す1文が、電話番号とともに記されていた。
現在はホワイトハウスの次席補佐官を務めるスカビーノは当時、請求する側のゴルフクラブ総支配人でありながら、請求される側の財団理事でもあった。利益相反は明らかだった。請求書には、エリックの署名もあった。彼がこの請求書に署名したのが、トランプ・オーガナイゼーションの幹部としてだったのか、それとも慈善団体の責任者としてだったのかは分からない。
2012年は請求がなかった。しかし、トランプのクラブはその後もエリックの慈善団体への請求を続けた。金額は、2013年に10万ドル(約1590万円)、2014年に8万8000ドル(約1399万円)、2015年に約8万ドル(約1272万円)、2016年に9万9000ドル(約1574万円)だった。
他のトランプ関連施設もこの流れに加わった。ホテル「トランプ・ソーホー」は、エリックの非営利団体に2014年に4万5000ドル(約716万円)、2015年に少なくとも8000ドル(約127万円)、2016年に2万3000ドル(約366万円)を請求した。トランプ家はこのホテルを2014年時点で約18%所有していたが、現在は持ち分を手放している。
マール・ア・ラーゴも2016年、トランプが大統領の座に近づく中で、関連イベントの費用として1万1000ドル(約175万円)を受け取っていた。
非営利団体のエリック・トランプ財団は、営利企業であるトランプ・ナショナル・ゴルフクラブに対し、何年にもわたり支払いを行っていた。以下に、その金額を時系列順に掲載する。
2011年12月13日:2万ドル(約318万円)
2013年11月12日:10万ドル(約1590万円)
2014年12月22日:8万7665.17ドル(約1394万円)
※2015年9月21日:ドナルド・トランプ・ジュニア、エリック、イバンカ・トランプが、トランプ・ナショナル・ゴルフクラブで開かれた第9回エリック・トランプ財団ゴルフ招待イベントに出席
2015年10月15日:7万8153.93ドル(約1243万円)
2016年3月21日:2万1464.60ドル(約341万円)
2016年10月31日:7万7264.76ドル(約1229万円)
エリック・トランプ財団は、マンハッタンにあるトランプブランドの物件で、10%割引を受けてホテル客室代を支払っていた。
2007年9月19日:ドナルド・トランプは2007年、上の3人の子どもとともにトランプ・ソーホーを開業した。これ以降、エリックの財団の支払い先は、トランプ・ソーホーとなった
2014年5月22日:2万5910ドル(約412万円)
2014年6月12日:685.16ドル(約11万円)
2014年12月15日:1万8225ドル(約290万円)
2015年3月25日:1570ドル(約25万円)
2015年6月25日:6885.50ドル(約109万円)
2016年8月31日:2万906.20ドル(約332万円)
2016年9月19日:エリックと妻のララ・トランプは、エリック・トランプ財団のゴルフ招待イベントに出席した。この数カ月後、同慈善団体はスキャンダルにのみ込まれることになる
2016年11月26日:1750ドル(約28万円)
トランプのプライベートクラブは2016年4月、132人が参加するディナーを開催した。
2015年6月9日:1万758.50ドル(約171万円)。マール・ア・ラーゴ・クラブへの支払い
~その後、ララ・トランプの地元であるノースカロライナ州のトランプ所有クラブでも、小規模なイベントが開かれるようになった。先月には、フロリダ州ジュピターにあるトランプのゴルフ場でも別のイベントが開かれた。この施設は、文字通りエリックとララの自宅の裏庭にある。
トランプ・オーガナイゼーションが現在も数年前と同程度の料金を請求しているとすれば、同社はキュアティビティから年間20万ドル(約3180万円)の収入を得ている可能性がある。その場合、同社がエリックの慈善団体から得た収入は、2007年の設立時からの累計で100万ドル(約1億5900万円)を超える計算になる。
■回顧録で調査を政治的な陰謀だと主張したエリック・トランプ
トランプの次男の代理人は、複数回のコメント要請に応じなかった。エリック自身は、調査がもたらした汚名をぬぐい去ろうとするかのように、時おり自分に都合のよい形で財団について語っている。彼は2025年に出版した回顧録で、「おそらく、人生で初めて深く『傷ついた』出来事だった」と書いている。「実際、私はその言葉をもう二度と使わないと思う。私は机の上にメモを置いた。『善行は罰せられる』と書かれたそのメモは、今もそのまま置いてある」。
エリックは、調査が行われた背景に、「メディアと法執行機関が結託した、政治的動機に基づく大規模な陰謀」があったと主張した。「財団はまったく潔白だった」と述べ、「もしドナルド・トランプが民主党員で、私の名前がマリアやサーシャだったなら、私が作り上げたものに対してノーベル平和賞を授与されていただろう」と書いている。
■純資産が約477億円に急増した現在も、資金集めがトランプ施設で続く
2025年9月、エリックはウェストチェスター郡のトランプ・ナショナル・ゴルフクラブで開かれたキュアティビティの第19回年次資金集めイベントで、会場の中心に立っていた。サウジアラビアからは、トランプ家と2000万ドル(約31億8000万円)超の契約を結んできた不動産会社の会長ユセフ・アル・シェラシュが出席していた。ベトナムでトランプ家との協業を始めるために500万ドル(約7億9500万円)を支払った企業を率いるダン・タイン・タムも、姿を見せた。
アメリカン・ビットコインを率いる30代の暗号資産起業家、マイケル・ホーも出席していたようだ。エリックは同社株の6%を保有しており、その保有分の価値は約7500万ドル(約119億2500万円)に上る。
父親が再選されて以降、エリックの純資産は急増した。2024年時点で推定4000万ドル(約63億6000万円)だった彼の資産は、現在では3億ドル(約477億円)に膨らんでいる。今のエリックなら、セント・ジュードに数百万ドル(数億円)の小切手を個人で直接切ることも容易だ。その場合、経費率は文字通りゼロになる。慈善活動の効率性という意味では、これ以上ない形だ。
だが、エリックが個人で小切手を切るだけでは、父親のクラブに支援者を集め、自分を主役にした華やかな宴を開くことはできない。
慈善団体のフリをしながら、自分の一族の設備を使って寄付金を集めて、トランプグループでカネを使わせてただけですね。
一部は実際に寄付されてるとしても、親族グループ内で寄付金を回して収益として懐に入れてるようでは、慈善団体のフリをした営業組織というしか無い。
日本にも、そんな団体は有るけど、ここまで身内で金儲けの為に政治を利用して蓄財なんて露骨なことは許されない。
小沢一郎の不動産投資、外国人を養うための謎のマンションなど政治資金による不動産運用が真っ黒に近いグレーと言われながら無罪となったのには呆れたけど、あれを遥かに超えてる。
慈善団体を利用したマネーロンダリングとしか思えない
