なにしろ実質実効為替相場(REER)、すなわち日本の海外に対する購買力の尺度は、現在、半世紀ぶりの安値が続いている。そのことは、既述したように海外に行くと強烈に実感するが、日本国内でも同じことが起きている。いまの日本の物価高は、原因のほとんどが円安である。
円安の悪影響は、「一部の」輸入品が値上がりする程度だと思っている人もいるが、とんでもない。まず食料に関しては、日本の自給率はカロリーベースで38%(2023年度)にすぎない。ちなみに、この数字はG7のなかで圧倒的に最下位である。また、エネルギー自給率は12.6%(2022年)で、OECD加盟38カ国中37位である。では、自給されている食料には円安の影響がないかというと、そんなことはない。
たとえば野菜なら、化学肥料原料の輸入率はほぼ100%で、ハウスで育てるには電力が、運搬するにはガソリンが要る。家畜なら飼料の輸入率は75%で、温度管理をするためにも排泄物を処理するためにもかなりの電力を使用する。
また、通信やコンピューターにからんだサービスは、私たちはほぼ海外の企業のものを利用している。それこそユーチューブにせよ、ネットフリックスにせよ、アマゾン・プライムにせよ、価格決定権はすべて海外企業にある。マイクロソフト社のウインドウズなどソフト端末も同様で、それらは個人による使用だけでなく、民間企業から政府の共通クラウド基盤にまでおよんでいる。
上に挙げたのは一例で、日本は世界でも珍しいほど全方位的に輸入に頼っている国なので、円安が進んだ分だけ物価高が避けられない。10月24日現在、概算で1ドル152円、1ユーロ177円だが、2020年末には1ドル102円、1ユーロ125円だった。つまり、5年間でドルは5割近く、ユーロも4割以上高くなり、円の価値はほぼ3分の2になってしまった。日本は物資やサービスに関して全方位的に輸入に頼っており、それらが4割も5割も高くなっている以上、激しい物価高から逃れられない。
だから、高市内閣が最優先課題に挙げる「物価高対策」とは、円安対策以外にないはずである。
では、どうして円はここまで下落してしまったのか。元々のきっかけは2013年4月、第2次安倍晋三内閣によるアベノミクスの「第1の矢」、すなわち「異次元緩和」と呼ばれる大規模な金融緩和だった。これによって、当時は1ドル80円程度だった円相場は急降下したのだが、現在のような異常な水準の円安は、2022年以降に訪れた。
このころポストコロナのインフレ対策で、FRB(米連邦準備制度理事会)をはじめとする世界中の中央銀行が、かなりの勢いで利上げをしたが、日本銀行だけは低金利政策を少しも改めなかった。こうして、日米や日欧の金利差が一挙に拡大した結果、ヘッジファンドなどによる「円キャリー取引」が活発になったことが、円が暴落した最大の要因だとされる。
円キャリー取引とは、金利の低い円で資金を調達し、金利が高いドルやユーロの資産に投資する取引のことだ。金利が低いほど、資金を借り入れるときに支払う利息は少なく、そうして安く借りた資金で金利が高い通貨の資産に投資すれば、高い利益が望める。金利が高い国の通貨を買う際には円が売られるので、円安になる、というわけである。
日本の貿易収支が悪化の一途をたどっているなど、以前よりも円安になりやすい環境にあることも間違いないが、日米の金利差も円安の大きな原因であるからには、その差を縮めることが「物価高対策」の一丁目一番地のはずである。いまの物価高を抑える方法は、それ以外にはないといえる。
問題は世界に類を見ない規模の国債残高で、2025年末には1,129兆円に上ると見込まれている。それを60年償還のルールに則って毎年返すのだが、これだけ借金があると、金利が1%上昇しただけで、償還費が年間3兆7,000億円も増えてしまう。だから金利を上げにくいのだが、その結果、円安が是正されず、物価高がさらに進むという悪循環を断ち切るためには、少しずつでも金利を上げるしかない。それをしないかぎり、どんな物価高対策も効果が上がるとは考えにくい。
筆者が気になるのは、高市総理がアベノミクスの信奉者で、金融政策では緩和志向が強いということである。市場もそのことを認識しているから、自民党総裁選で高市氏が選ばれると、株価が急上昇するのに反比例して円は下落した。日銀も高市総理に遠慮して、利上げしづらくなったという指摘があるが、本気で「強い経済をつくる」なら、高市総裁には、円安是正に目を向けてもらいたい。
現に高市総裁が誕生しただけで一気に円安になった状況を憂うることなく、円安是正を視野に置かずに物価高対策を進めるなら、マッチポンプになってしまう。どうして与野党ともに、だれも「円安をなんとかしろ」という声を上げないのだろうか。たとえば、ガソリンの暫定税率廃止論議。原油価格はこのところ下落傾向にあって、日本でガソリン価格が高止まっている理由は、ひとえに円安にある。円高になれば、暫定税率を廃止して税収を減らす必要などないのである。
円安の結果、日本は諸外国から眺めてバーゲン状態になっている。冒頭にイタリアの物価が日本の2倍だと書いたが、それはイタリア人からすれば、日本の物価はイタリアの半額だということにほかならない。このため、「好きだから」「興味があるから」ではなく「安いから」訪日する外国人がきわめて多い。かつて物価が安いというだけで東南アジアに押しかけていた日本人を思い出してみればいい。
つまり、この円安は訪日外国人の質の低下に直結しているのである。
何かの嫌がらせか?」とし「1ドル=153.94円」と記された為替レートを添付。
ニューギニア島に訪れ、食事をしたというが「食っちまったけど、ただのチャーハンとコーヒーで日本円換算2500円くらい」と報告。
「ハワイで五千円のランチの方がマシ。円が完全に壊れちゃったのよ。いい加減気付けよ!アホども」とつづっていた。
高市政権は経済対策を声高に言うが、インフレの大きな原因は円安。株が上がって喜んでいる人も多いが、円の価値が下がっているからだ。輸出企業の円建ての利益が増えるのも円安の効果。ちっとも良くなってなんかいない。
新政権の経済政策が日本人貧乏化政策にならないことを祈るが、すでに株や為替はその方向を折り込みつつある。
これは、その通りだと思います。アベノミクスによって、金融緩和と財政出動を行いまくり、それを長年にわたって続けてしまった結果で、国民全体が他国に比べて相対的に貧しくなったという事です。
その金融政策を今でも継続しようとしていますが、更なる長期的な物価高と円安になるのは必至です。株高になっているのもただ単に円安が進んで日本株が他国に比べて安くなっただけですから
円安による輸出企業の見せかけの業績と、それによる株高で喜んでいたのがアベノミクスです。加えて、低賃金で企業を支えました。
一方で、円安は物価高をもたらし、低賃金と共に国民を生活苦に陥れ、少子化を加速させました。
金利を上げたら円高に振れますが、日本最大の借金を抱える政府や財務省は首を縦に振りません。
今回高市氏が喫緊の課題として上げるのは物価高対策ですが、一方で積極財政(借金)と言っているので、大きな矛盾が生じています。
自民党は国民を向かず企業に向いているし、高市氏はアベノミクスを踏襲しそうなので、円高は遥か遠くの話でしょう
今の状況で、高市さんは財政出動を重視すると利上げもままならない。
必然的に外国投資家は財政が圧迫されるのを嫌い、円を売りにかかる。
と言う事は円安にジリジリ拍車がかかり輸入食料品、輸入品全般に値上がりする。
当然インフレ傾向になり庶民、特に貧困層を直撃する。海外旅行も控えるようになり経済が回らなくなる。
日本でも、ラーメン一杯2500円とか3000円とかになる日も遠くないかもね
この人の言うとおりですよ。
海外で暮らす私には、今の日本円は価値がゼロに近い状況です。昔、北アフリカを旅行して、余った現金を成田で円に戻そうとしたら、日本では流通していないと言われて両替出来ず、でも今日本円はそんなものに成り下がっています。
早く円を米ドルや現地通貨に変えておかないと、海外で円のように価値が無い通貨なんて持っていても仕方ないのです。
2年前の2割以上円は下落し、それを理解できていないのは、国内にいる日本人だけなのです。
円安で喜ぶ日本人が多いのは滑稽ですね。あなたはトヨタの従業員?ほとんどのものを輸出に頼る日本で円安でインフレになるのも当然だし、中国人が日本の不動産を買い漁って安保を危険に晒しているのも円安のせいです。
そう言うことに目をつぶらずに、円安是正を早急にしろと言いたいです
今の高市政権では円安は是正されず物価高は継続するのは目に見えている。自民党は今まで国家予算の枠内で政策をしてこず、財源がなければ国債発行で運転資金を賄ってきた。その国債が今の政権の運営資金を逼迫させている、利払いが増えてその償還への費用が嵩み政策にかける財源がない。利払いを増やせないので日銀の利上げには政府として認められず子会社という位置づけの日銀を抑え込んでいる。この日銀抑えを解消しないことには利上げが行われず日米の金利差が解消されないので物価高は続くとなる。政治家も分かっているが利払いの高騰を恐れて何もできません、なので国民や企業への補助鹿出来ない経済対策でまた財源を浪費するという構図にしかなりません
物価高の主因は、円安だ。現在、どこの主要国に対しても安くなっているのではないかな。対策として金利を上げる必要があるが、政府はやろうとしない。その理由は、輸出企業の保護だろうな、さらに輸出企業には還付金もあるので消費税を下げることもやらない。我々としては、自民党の議席を減らすしか対策はない
円安が、新政権で放置されているのがサナエノミクスの本質のように思えてしまう。関税を課せられた日本企業にとっては、円安は収益の上で相殺する効果が期待されている。また、株高で大企業や高額所得者には莫大な恩恵をもたらしており多くの自民党支持者は歓喜している。
一方で、中間層以下は益々、生活が困窮して物価上昇に見合わない賃上げでは消費はままならない。円高は、優秀で質の高い外国人を呼び込む効果があるのに円安では質の低い外国人しか日本に来ず治安も悪化の一途だ。政権発足間もないが、サナエノミクスがまともな経済政策となるように変更される事を祈るばかりだ
アベノミクスの弊害の結果。金融緩和で輸出企業や株高で資産家は潤った。お金がジャブジャブで賃金は上がったが円安になり海外に比べ相対的に貧しくなったことに無頓着だった。更に第三の矢でイノベーションを起こすのでは無くゾンビ企業の延命を図ってしまった。雇用は増えて若者の安倍支持もあり統廃合すべきタイミングを失った。欧米に比べ生産性がより低くなった。
ガソリン価格は欧州は日本より高いが税金や環境対策費が6割くらい含まれている。原油価格が下がっており現状高値の時の半額だ。日本は高止まりしたまま。全て円安のせい。円高なら減税しなくていい。
私が行った海外で物価が安く感じたのはベトナムくらいで、西欧は2倍かそれ以上、リラ安のトルコですら日用品は安いがいいレストランで無くても3,000円はかかる。若者は実感すべき。
高市政権が金融緩和を続ければ、資産家は潤い円安インフレで庶民は苦しみ二極化、格差は広がる。

