死ぬ前におばあちゃんが言ったこと | 小林沙羅オフィシャルブログ「小林沙羅のきまぐれ日記」Powered by Ameba

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ソプラノ歌手、小林沙羅のブログです。
出演する演奏会についての日記を中心に、忘れてしまいたくない大切な日々を綴っていきたいと思います。


今の日本の状況をおばあちゃんが生きていたらなんて言うかな、
と思ったら、
死ぬ前におばあちゃんが言ったことを思い出した。

「社会が大きく変化するときは必ず犠牲が出るわ。
きっとこれから少しずつ良くなっていくはずよ。」

戦争中を生き抜いた女の人の言葉。

おばあちゃんはあまり楽観的な事を言う人ではなかったけれど、
自分がいなくなった後のこの世界に少しずつ良くなって欲しい、
と、願いも込めて、そう言ったのだと思う。

おばあちゃんは「社会」のために生きた人だった。
働く母の会の仲間と、
女性が働きながら子育てできる環境を作ってきた。
過労で体を壊したりしながらも、
家庭を持ちながら、世の中を鋭い目で見て、声をあげてきた。
そして少しずつ、世の中を動かして来た。

おばあちゃんがいなくなった今、
この世の中を少しずつ良くして行くのは、
生きている私たちの役目。
今、私にできる事はなんだろう。

「何になってもいい。一流の人間になりなさい。」

一流の人間って何よ!
二流でも三流でもみんな一生懸命生きてるんだよ!
と、反抗したこともあったけれど、
今になってわかる。
一流の意味って、そんなに薄っぺらいものじゃない。

大学に入って、新しい生活の中、
勉強や遊びが忙しすぎて、
本を読まず、新聞も読まず、物を深く考えず、
自分まわりの小さな世界でいっぱいいっぱいになっていた私を、
沙羅はもうダメになった。と悲しげに突き放した。

おばあちゃん
おばあちゃん

今になってその偉大さを知る。

きのう、瀬戸内寂聴さんのこんな言葉を見つけました。

「大好きな人が死んだのに悲しくないと悩む人がいますが、
当初は悲しみが大きすぎて死んだと思えないことがあるのです。
その人は、あなたの中に生きているのですから、安心して下さい。」

うん。やっぱり、
おばあちゃんは私の中に生きているんだ。