名古屋大学医学部付属病院で特別講習会を行いました。

対象者は医療スタッフの方々、目的は「心臓手術後のリハビリとウォーキング」です。実際の医療現場で患者さんの回復には術後どれだけ早いタイミングで歩かせることができるかが鍵となっているのだそうです。そこに主治医の先生やリハビリの先生方も意識を向けられていると伺いました。

レッスンはいつものように笑顔と笑い声の中で進んでいきます。

デューク更家師匠(以下D):老化は脚からじゃなくて、股関節からですよ。ちょっと足を上げてみましょうか、股関節硬くなってないですか?じゃ耳を上に引っ張ってみましょう。そしてもう一度足を上げてみて。

参加者(以下S):おお~軽い!え~なんでぇ?

と、こんなことが何度も起こっていました。

今回の参加者にお一人だけ患者さんが参加しておられました。先月私が病院に下見に行った時は体外に人工心臓を装着されていましたが、今回はそれが外れて車いすで会場にお越しくださいました。

『動きの制限がある中で体力を戻してあげたいんです。』と主治医のドクターがおっしゃっていましたので休み時間に先生が彼女の元へ。

D:足は動くよね?じゃあかかとでトントンしてみて。次につま先でトントン。それができたら右足はつま先で左足はかかとでトントンしてみよう。これで血液の循環がとてもよくなるんだよ。

と、個別に彼女に指導。ちょっと複雑な動きに笑いながらのレッスンが続きました。

するとそこに医療スタッフのみなさんががどんどん集まってこられ、やりとりを真剣に見ておられます。それはいつものワンデーでの休み時間の雰囲気とは明らかに違いました。「命を預かる人の探究心」を強く感じました。

ですから、レッスン後の質問コーナーでも、実際にどのような声掛けが患者さんの1歩につながるのか‥膝に痛みを抱えている患者さんにはどう指導するのが最も効果的なのか‥と、少しでも痛みを少なくしてあげたい、少しでも早く回復させてあげたい、というスタッフの皆様の思いがあふれていました。すべてはこちらに書ききれませんが、ドクターから、

『ウォーキングの奥深さを味わうことができました。これからも一緒に勉強していきたいです。』と言っていただきました。

命と真剣に向きあっている皆様だからこそ、歩くという一番簡単なこの身体活動がどれだけ健康と直結しているかを感じとっていただけたのだと思います。

こういった機会がたくさん増えて、患者さんの回復に役立っていけますように、そんなことを感じウォーキングの医療現場での役割を確信してきました。

デューク更家公認スタイリスト最高位マエストロ 小野寺MARIKO