こんにちは、Sarah です。

 
大手住宅メーカー勤務の
インテリアコーディネーターです。
 

住空間を通して

人を幸せにすることが

インテリアコーディネーターの仕事です。

 

インテリアに興味があり、

自宅を自らの手でおしゃれにしたいと思う方に

手に入れておくと役にたつ基本的なセオリー(理論)をご紹介します。


書斎の存在を認める、肯定する、

そして極める

コロナ禍で自宅の在り方が、ずいぶん変わりました。

まず大きく変わったのが、間取りです。


玄関からダイレクトに洗面所に行くことができるプランや廊下の突き当たりやコーナーに洗面化粧台を置くプランが増えました。LDKに入る前に、必ず手洗いができるようにとの配慮です。もちろん、そのスペースにふさわしいデザインの化粧台を提案することは、言うまでもありません。


また、きちんとした書斎を作る人が増えました。

今までは、主寝室の一角にホテルのようなデスクコーナーを設け書斎と称するケースもありましたが、今は独立した書斎の確保に主流が移り始めています。

遮音タイプの扉を選び、さらに鍵をつけるなど、リモート会議を想定した書斎プランが求められています。

書斎の存在意味が大きく変わりました。


お客様との打ち合わせの中で、書斎は常にご夫妻の間で、議論の対象となってきました。

書斎を希望する夫と望まない妻。

夫の希望が通った場合も、次は広さについてのせめぎ合いが始まります。4畳ぐらいのスペースが欲しいと主張する夫に対し、その半分の2畳で充分と譲らない妻。こんな場面を幾度となく見てきました。


もちろん、どちらの言い分も理解できます。


夫は、子どもには子ども部屋が与えられるのに、どうして大人には個室がないのか?時には、1人きりで過ごす時間と空間が必要だと主張します。

仕事、家事、育児の多くを担う妻は、その言葉に激しく抵抗します。イクメンがポピュラーになった今も、人の目のあるところでそのスタイルを真似るだけだと

声を荒げます。


時折、目の前にいる私の存在は消えてしまうみたいです。

ポストコロナは、在宅勤務を大きく前進させその可能性を広げました。急ピッチではありますが、確実に次のステージに進んでいると思います。
その中で、特に書斎の存在価値が大きく注目されるようになりました。LDKの一角に設けたデスクカウンターやダイニングテーブルでは、限界を感じる人が増えたからだと思います。

書斎に割くスペースは、コロナ以前は納戸として使われていました。大きさも4帖から4.5帖がスタンダードとなり、遮音扉と鍵が望まれるようになりました。
リモート会議中に、生活音や子どもの声をシャットアウトするために大切な2つのアイテムです。自宅なのに、家族の存在を遮断するなんて…との声も聞こえてきそうですが、在宅作業の効率を考えた場合、この判断は大切なことだと私は思います。

作業や会議に集中できる働く側と、話し声や笑い声を我慢しなくてすむ家族側の心の負担が軽減され、双方にメリットのある計画だと考えます。

ポストコロナは、納戸より下に位置していた書斎の存在をぐっと引き上げました。
認められるだけでなく、肯定される背景には、書斎が
夫だけの空間ではなく、妻のワークスペースとしても
必要であると認識されたからだと思います。


遮音扉や鍵の存在は、在宅ワークの環境をより高めるものとして、広く認知されるようになりました。鍵に対して抵抗のあった人も認めざるを得ない状況が作り出されたと感じます。

 
さらに家具にも大きな変化が生まれました。
省スペースのため採用率の高かったデスクカウンターの取り付けが減り、昔のようにデスクを置くスタイルに戻りました。ただ、今望まれるデスクは机の高さが
簡単に自由に変えられる昇降タイプです。

座る、立つ二つの行動を織り交ぜ、作業をすることで気分転換が図れ、効率もアップするとテレビなどで紹介されたこともあり、一気にその思想が支持され、広がりました。

併せて座り心地の良いデスクチェアを求める声も多くなりました。ダイニングチェアをデスクチェアの代用にはできないと身をもって感じた結果だと思います。

ポストコロナで書斎の存在が見直され、高い位置に引き上げられました。
家具はもちろん、手元を照らすためのタスクライトや
気持ちを上げてくれる音楽や、香りなどを丁寧にセレクトしてこだわりの書斎を作りあげてください。