■ [ガン治療]大腸がんの粘膜下層剥離術ESDは「再発率0%の治療法」!
●大腸がんの早期発見の内視鏡治療
「大腸内視鏡治療」には、主に「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」と「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」の2つの治療があります。前回はEMRを紹介しましたので、今回はESDを紹介します。私が最も得意とする治療です。
早期の平たい大腸がんでも直径が2センチを超えた場合は、EMRでは、ガンの取り残しが出るリスクがあるので、治療はESDで行われます。ESDの対象になるのは、早期大腸がんであれば10センチでも大丈夫です。ESDは広範囲のガンも一括で切除できるからです。
そのESDの治療も、まずは内視鏡をガンのところにまで挿入します。次に、ガンの下の粘膜下層に生理食塩水、ヒアルロン酸など特殊な液体を注入してガンを持ち上げます。そして、ガンの端から2、3ミリ離して電気メスで粘膜に切り取り線を入れます。この後、ガンのある粘膜を粘膜下層ごと固有筋層からはがしとるのです。これで、ガンの底辺部分よりも余白をつけて切除できるので、再発することはありません。理論上、“粘膜下層剥離術は再発率0%の治療法”と言われています。
これほど評価の高いESDも、少し前までは“すごく難しい手術”と言われていました。それは、内視鏡医は片手での操作だったからです。今は外科医の左手に相当するバネなどいろんな器具が開発され、腸管内の反対側にガン組織を引っ張っておいて粘膜下層ごと剥ぎ取ることができるようになったのです。これによりESDは安全に手術ができるようになりました。加えて、かつては2~3時間だった手術時間は、優秀な病院で80~90分、トップクラスの病院では60分弱で終わる時代になりました。ちなみに、私は約30分です。これは患者さんにとっても身体への負担が少なくなったと言えます。
■教えて下さったのは…野中康一先生
東京女子医科大学病院消化器内視鏡科・教授
私の父の「末期癌奇跡の完治闘病記サイト」や
「西洋医学による癌治療・検査などをまとめたサイト」への
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