[ガン治療]手術が先か、抗がん剤が先か…「ときにはガイドラインを超えた選択肢も」

 

 

■ [ガン治療]手術が先か、抗がん剤が先か…「ときにはガイドラインを超えた選択肢も」

 

同じ臓器のガンを患っていても、抗がん剤が効きやすい人もいれば、副作用が強く出て抗がん剤を投与できない人もいます。人によって選択肢が無数に存在するガン治療ゆえに、方針を迷ってしまうことも多いでしょう。自分にとって「最良の治療」を選択するために知っておきたい知識がまとめられた『「がん」はどうやって治すのか 科学に基づく「最良の治療」を知る(講談社ブルーバックス)』より、セカンドオピニオンの基本的な考え方や、ガイドラインを超えた最新の取り組みを一部抜粋して紹介します。

 

 

●セカンドオピニオンを求めるにはどうすれば良いか

 

どのような治療を受けるかを決める際に、納得して選択するための参考意見を担当医以外の専門家に求めることができます。第三者である専門家の意見がセカンドオピニオンです。

 

 

主要な病院にはセカンドオピニオン外来が設けられており、患者さん本人または本人に代わって家族が申し込むことができます。どこの病院で受けられるかはネットで探すことも可能ですが、主なガン診療病院に置かれているガン相談支援センターで相談するのも良い方法です。

セカンドオピニオンを受けるためには、現在の担当医に希望を伝えて同意を得ることが必要です。そのうえで診療情報提供書(紹介状)と必要な各種のデータ(血液検査、生理学的検査、X線画像、CT検査画像など)の提供を依頼し、予約のうえセカンドオピニオン外来に持参します。

セカンドオピニオンは健康保険の適用対象外なので、自費負担になり、その費用は病院によって異なります。終了後はデータが返却されますので、セカンドオピニオンの内容を担当医に報告し、今後の治療方針を話し合います。

 

 

●オンラインでのセカンドオピニオンもある

 

国立がん研究センター中央病院では、外来に出かけるのが困難な場合や遠隔地からの利用を想定して、オンライン・セカンドオピニオンを受け付けています https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/d001/secondopinion/online/index.html

現在の担当医からあらかじめ検査データや診療情報を提供してもらい、セカンドオピニオンを求める患者さんやご家族は来院しないまま、手元のパソコンやスマートフォンを利用して医師と動画で面談することができるしくみです。現在は、診断や治療の難しい希少がんが対象です。希少がんは人口10万人あたり6例未満のまれなガンですが、種類が200近くにも及び、それぞれの症例数が少ないため、専門医からの意見提供が大きな助けになる可能性があります。

このほか、一部の病院では、オンライン・セカンドオピニオン外来を希少がんに限定せずに行うところも出てきました。あらかじめ申込書、問診票、担当医からの診療情報提供書やデータを郵送し、アプリをダウンロードして予約当日にログインすると、医師とオンラインで面談できるしくみです。実施後は報告書が作成されて、担当医に送付されます。

遠隔地から出かけるのが難しい場合や、病状によっては外出が困難な場合もあり、なかには担当医に遠慮してセカンドオピニオンを求めることを躊躇する患者さんもいてセカンドオピニオン外来の利用率は必ずしも高くないのが現状です。新型コロナウイルス感染症の感染拡大がきっかけで始まったオンライン方式ですが、利便性の高さからセカンドオピニオンを求めやすくなる可能性もありそうです。

セカンドオピニオンは、治療を十分納得して受けるために必要なことが多く、広く認められているプロセスです。遠慮や躊躇は無用ですが、相談を実りあるものにするために担当医に相談しないまま受けることは控えたいものです。

 

 

●手術が先か、抗がん剤が先か?治療法の選択と順序

 

医師が治療の基準として依拠するガイドラインや標準治療とはどんなものか、また治療を受けるにあたって理解と納得を深めるためのセカンドオピニオン外来について見てきました。

それではその後、具体的な治療方針はどのようなプロセスでどんな判断のもとに決まるのでしょうか。治療の選択肢は大きく分けて、手術、放射線治療、薬物療法があります。薬物療法には、従来型の抗がん剤、ホルモン療法薬、分子標的薬、免疫療法薬のレパートリーがあります。薬物療法のうち免疫療法については書籍の第7章で詳しく説明しています。

 

医師は、画像、血液検査、生理学的検査、生検、遺伝子検査など、多岐にわたる検査情報から、ガンの部位や種類、形態、全身状態を把握します。手術ができるかどうか、放射線治療を安全に行えるかどうかをそれぞれの専門科の医師と相談しながら判断します。

その際、抗がん剤などの薬物投与を手術や放射線治療の前に行うか、あるいは手術後に行うかが検討課題になることがあります。術前に抗がん剤などの薬物投与を行って、病巣が縮小する、浸潤部位が減少するなどの効果があり、手術がうまくいった、もしくは予後が良くなったことを示す試験結果が十分な件数あれば、治療を進める際の選択肢になります。

比較試験が行われていなければ、エビデンスが不十分であり、安全性が確立されているとは言えないので、通常は選択肢にすることはありません。

術前の抗がん剤などの薬物投与で病巣が小さくなったとしても、じつは周囲にガン細胞が広がっていることもあり、先に手術をしたほうが良かったということも起こり得ます。薬物療法で体力が低下して手術のタイミングを逸するおそれもあります。術前に抗がん剤などの薬物や放射線による治療を行うかどうかは、ガンの種類なども考慮して各科の専門医を交えて判断することになります。

一般的には、乳がんや食道がんにおいては術前治療に一定の効果が認められているので行うことが多くなっています。一方、肺がんではこれまではエビデンスが十分ではなく、多くは行われていませんが、さまざまな研究が進んで、有用性が徐々に示されるようになってきました。術前の放射線治療については、ガンが縮小しても照射部位の癒着や出血など、かえって手術の支障になることがあり、メリット・デメリットを慎重に判断することが必要です。

いずれの場合も、治療法選択の基準になるのはガイドラインです。ただし、ガイドラインはあくまでも多数の症例を対象にして行われた試験の結果に基づいているので、実際にはガイドラインにあてはまらない患者さんも少なくありません。

例外的な症例については、ガイドラインが推奨していなくても信頼できるエビデンスがあれば、それを参考に治療方針を決めることがあります。同じ薬でも減量して投与する、投与期間を延長するなどの報告については、信頼度が高いとみなされれば参考にすることがあります。

 

 

●ガイドラインを超えた選択も

 

標準治療で第一選択が手術とされていても、患者さん自身がさまざまな理由から手術を希望しないことがあります。手術をしない場合どの治療法を選択するかは、ガイドラインの範囲を超えたところでの医師の判断と患者さんの決断になるでしょう。手術以外の治療法について、これまでの試験結果に基づいて選択していくことになります。

手術や放射線治療は多くの場合、治癒をめざして行われますが、薬物療法は血液がんの一部や胚細胞腫瘍などを除けば、治癒を期待することが難しい治療法です。例外的に、血液がんや胚細胞腫瘍では治癒が期待できる治療手段として薬物療法が使われます。

したがって、まず選択するのは治癒をめざす治療であり、手術が難しいステージ4のガンや再発の場合、また年齢や全身状態などから手術や放射線治療が適当ではないと判断された場合には薬物療法を選択します。

一方、薬物療法には、完全な治癒が難しいとしても長期間にわたってガンを抑制し、症状を和らげる効果を示すものがあり、生活の質を向上させ、余命を延ばすのに役立つことがあります。

 

ことに免疫チェックポイント阻害剤は、薬物療法の柱の一つとして、さまざまなガンで重要な選択肢となり、保険適用もされています。どんなガンに対して効果が高いか、他の抗がん剤などの薬物との組み合わせで使用するとどんな効果があるか、副作用はどのようなものかなど、これからさらに研究が進むことでしょう。

現段階で薬物療法で使われる薬の種類は100を超えており、効果が得られる用量と副作用の出る用量が接近しているので、薬剤の選択や投与量・投与法の決定には幅広い知識が必要です。そのために、薬物療法の専門医である腫瘍内科医が活動している施設もあります。

治療方針については、多くの病院では定期的なカンファレンス(医療者の会議)で担当医が他の医師を交えて相談し、ときにはキャンサーボードと呼ばれる拡大カンファレンスで、外科、放射線科、病理科など他の専門科の医師とともに検討して、最善の方法を考えていきます。

 

 

■書籍:「がん」はどうやって治すのか 科学に基づく「最良の治療」を知る(講談社)

国立がん研究センター

 

 

2023年12月14日

1,320円

328ページ

ISBN:978-4065340394

 

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がんの罹患率は年々上昇しているが、医療の進歩に伴って、死亡率は低下している。そんな最新医療の恩恵を受けるには、治療を受ける側、患者をサポートする側の知識も欠かせない。手術、放射線、抗がん剤(薬物療法)、免疫療法は、どのようなメカニズムでがんを治療するのか。最新検査からがんゲノム医療まで、エビデンスに基づく「意味のある治療」とはどのようなものか。2人に1人がかかり、「国民病」ともいえるがんと折り合いをつけて生きるために、必要な知識を徹底解説。

◆おもな内容


・どんな検査でなにがわかるか
・腫瘍マーカーは目安にすぎない
・手術するかしないかを決める基準
・手術が先か、抗がん剤が先か――治療法の選択と順序
・臨床試験に参加するにはどうすればよいのか
・転移がんの治療方針
・ガイドラインを超えた選択をするとき
・がん組織を取らずに検査できるリキッドバイオプシー
・「薬が効きそうか」を判断する遺伝子検査
・分子標的薬、免疫療法の最新事情
・「標準治療」=「並の治療」ではない
・「がんの遺伝子情報」に基づく個別化医療のはじまり ほか


――〈治療を受ける〉〈患者を支える〉全ての人へ

 

 

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