『戦国 佐久間一族』  楠戸義昭 | 逍遥遊

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戦国 佐久間一族/新人物往来社
¥2,940
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信長の出世の礎を作った盛重、信盛一族の栄光と挫折、盛政兄弟運命の賎ケ岳合戦など、
織田信長が天下を目指した戦いの中で、捨て石となって支えた佐久間一族の真実を描く。

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(ジャンル・・・史料)



昨年に佐久間盛政が目当てで買った一冊。

賤ヶ岳合戦で彼が突出して逆撃食らって七本槍にやっつけられた的なイメージ
があったが、彼直属の部隊は無傷で賤ヶ岳から安全地帯への撤退に成功して
いた模様。


直接逆撃を食らって加藤清正らに名を成さしめたのは弟の勝政。
盛政は弟の見捨てる訳にはいかないって事で安全地帯から引き返し秀吉軍と
交戦。


その交戦中に背後の前田利家が敵前逃亡
盛政の部隊は前面と後背の双方から挟撃に遭い敗北という流れらしい。


捕らえられた際、降伏を勧める秀吉に対して
『自分は命ある限り秀吉の首を狙い続けるから死罪にしろ』
と言い放ち、尚且つ
『自分に縄目をかけて京都市中を引き回して、権威強化に役立てろ』
とも言って散ったそうな。


結果的には敗者となった盛政だけれど、その生き様には戦国武人らしい
潔さを感じる。



更に言えば、戦国真田家の真田信幸幕末の奇才・佐久間象山は佐久間
盛政の弟・安政と縁が深い事が本書で分かった。

盛政は賤ヶ岳で戦死するが、そのすぐ下の弟・安政は生き残り徳川政権下で
大名となる。
(賤ヶ岳以後、佐々成政→徳川家康→北条氏政と天下が統一されるまで、
秀吉に敵対する勢力を転々とした反骨の武人でもあったそうな)


【真田信幸との繋がり】
佐久間安政の嫡男・勝宗の妻が真田信幸の次女(母は小松殿)

【象山との繋がり】

安政の娘婿で重臣の岩間清重なる人物があったが、その曾孫・国品の代には
主家の佐久間家が断絶していた模様。

国品は浪人していたが、上記における真田家と佐久間家の繋がりにより真田家
に仕官。

その際に曾祖母から佐久間の名を立てて欲しいと頼まれ、苗字を岩間から
佐久間に変更。

この国品が系図上では象山の曽祖父にあたるらしい。

「系図上では」というのは、国品には子が無く甥の国正が跡を継ぎ、その国正に
も子が無く、長谷川家から国善という人物を養子に迎える。この国善の息子が
象山にあたる。
(ちなみに上記・長谷川家の先祖は上杉謙信のもとで勇名を馳せた「斎藤朝信」だそうな)


佐久間氏が平氏である為、象山も自筆の書画に『平啓子明』と記している。
『啓』は自身の名前、『子明』は象山と併用して使用していた号だとか。


いずれにせよ、佐久間盛政に対するイメージが一新した一冊であった。