「おっぱいが痛くて何もできない」と、

生後3か月のお子さんを連れたママが助産院へお越しになりました。

 

おっぱいは大きなしこりができて赤くはれており、明らかな乳腺炎。

 

それも、かなりひどい。

 

とっても痛そう…。

 

お話を聞くと

このママは19歳どうしのご夫婦。

高校在学中に妊娠したそうです。

 

パパひとりの収入では生活費が足りず、ママは産後すぐからアルバイトへ。

託児所代が捻出できないため、

昼間はパパが働き、夜はママがアルバイト(接客業)をして、交代で育児をしているのだとか。

 

パパが預かりやすいようにと、母乳は飲ませずミルクが中心の育児…。

 

 

なるほど。

 

母乳は、吸わせなければ次第に作らなくなり、数ヶ月飲ませなければ止まります。

 

※これは母乳で育てたいママも同じで、吸わせなければ母乳量は減ります

 

そして、

たまった母乳が放置されたことによる乳腺炎に…。

 

もし乳腺炎になったとしても、よく吸わせれば早く治ります。

しかしこのママは吸わせていません。

 

まさに、なるべくしてひどくなった乳腺炎でした。

 

※お写真は同一人物のものではありません

 

結局このママは、乳房を切開して古い母乳を出す処置を受けました。

 

 

乳腺炎が治ってから、このママとお話をしました。

 

「スナックのバイトはいくらくらいもらっているの?」

「週3で夜2時間だけだから、月に2万か3万くらいかな」

 

「ミルクで育てると、年間のミルク代ってどのくらいかかると思う?」

「5万くらい?」

「ミルク代ってね、年間20万以上かかるんだよ」

「えー、マジか。だったら働いた分が全部ミルク代になっただけじゃん」

 

月に2~3万円を稼ぐために母乳育児をやめて、

乳腺炎の治療費、通院の電車賃、そして切開の痛みを考えたら、

割に合わないよ…ね…。

 

乳腺炎の切開後はしばらくアルバイトができないため、ママの収入はありません。

でもミルク代はかかり続けます。

 

 

「でもさ、母乳飲ませてたらバイト無理だよね?」

「そんなことないよ、預ける時だけミルクにして、母乳を続けることはできるよ」

「そっか…じゃあおっぱいやめなかったらミルク代も安くすんだんだね…もっと早く知りたかったな…」

 

若いママが、少しでも稼ぎたいと頑張ったのだろうと思うと切なくなります。

 

もし母乳を続けていたなら、切開するほどの乳腺炎になることはなかったはず。

 

もっと早く出会えていたなら、

せめて母乳をやめる前に相談してくれたなら…

ここまでつらい体験をしなくてすんだだろうに…。

 

高校卒業したばかりのママが、昼間は育児で夜はアルバイト…。

 

今回の乳腺炎をきっかけに、お体を無理しないでねと願うばかりです。

 

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