某会社の人材育成部担当者さんから、

社内報に、さら助産院のブログを掲載したいとご連絡いただきました。

 

ご担当者さんからは、

 

社内に育児中の男性社員が増えていますが、自称イクメンが多いんです。男性社員の話を聞いていると、『そうじゃないだろ』とつっこみたいことがいっぱいあって…。人材育成部としては男性社員が考える機会になればと思い掲載したいんです。

 

それはこの記事のこと。

 

 

 

コラム・ある助産師さんのお話

~男性の育児休業はなんのため?~

 

日本の男性の育児休業取得者が増えてきましたが、ノルウェーやスウェーデンでの男性は80%以上が育休を希望しています。

 

なぜなのか…

いろいろな背景や考え方があると思いますが、日本は制度として“奨励”の色合いが濃く、ノルウェー等の北欧諸国は“積極的に”だからではないでしょうか。この違いは雲泥の差。

 

 

夫婦から家族のスタートとなる赤ちゃん期の育児は、慣れないことの連続で緊張を強いられることが多くあります。

 

パパがオムツ交換や沐浴を手伝ってくれたらとても心強いはず。

 

しかし、ママが育児を大変だと感じるのは、オムツ交換の育児のひとつひとつではありません。

ママが大変だと感じているのは「たった一人で我が子を守る緊張感」や「不測の事態にたった一人で対応しなくてはならない不安」なのではないでしょうか。

 

新生児期にパパが育児休業することで、

「たった一人で我が子を守る緊張感」を体験しなくてもいい。

 

「パパがそこにいてくれる」だけでママは安心できる。

 

しかし、

パパがママと対等に育児を頑張りたくて授乳も体験したくなり、「粉ミルクなら俺も飲ませられるよ」と、女性にしかできない母乳育児の役目を奪ってしまうのは残念です。

 

聖マリアンナ医科大学教授の小児科医 堀内勤先生は、講演会のなかで「最近、男女平等が変なことになっている」と話していらっしゃいました。

 

どれだけ熱心なパパでも、赤ちゃんを子宮で育てることや母乳育児は不可能です。

 

では、パパにしかできないことはなんでしょうか?

 

 

それは…

「全面的にママをサポートすること」

 

パパには、育児そのものよりも、ママをサポートすることを何よりも大切にしてほしいと思うのです。

 

ママがリラックスできるように、緩めること、笑わせること、話を聴くこと…ひたすら、ママの気持ちに共感する。

 

ママが心から安心して育児ができる環境を整えること。

 

それは、パパにしかできません。

 

ママの話を聴くときには、パパが会話を遮ることなく、「それで?それで?」と聴いてあげてほしい。

 

そして最後に

「大丈夫だよ。俺が守るから安心していいよ」

「何かあっても絶対俺がそばにいるから」

と安心させてあげてほしい。

 

ママが疲れているときは、マッサージやハグをして、ママの心にたくさんチャージしてあげてほしい。

 

育児休業とは、

つまりは妻守休業。

 

育児休業中のパパに頑張ってほしいことは、ママが安心して育児ができる環境を、ハード面・ソフト面ともに全面的に整えること。

 

ハード面とは、部屋の掃除や洗濯、ゴミ捨てや食事の片付けなどの家事、赤ちゃんの沐浴やお散歩など。

母乳育児という大役以外はパパに頑張ってほしい。

 

そしてソフト面とは、ただ話を聴き、共感し、心穏やかに安心して過ごせるように配慮すること。

 

 

産後や育児の不安もイライラも全て受け止めてほしい。

 

ときには周りの人からの育児のアドバイスが、ママを追い詰めることがあったとしても盾となって守ってあげてほしい。

 

「何があっても俺がいるから心配いらないよ」と安心して育児できる環境を整える役目は、世界中でパパしかできない大切な役目なのではないでしょうか。

 

もしパパが育児や家事をどれだけ丁寧に頑張ったとしても、ママが安心して育児をすることができなければ全く意味がありません。

 

育児や家事のやり方を巡って夫婦喧嘩になることがあるとしたなら言語道断。

 

いのちを生み出すって、とてつもなくすごいこと。

 

パパが育児休業を取ったなら、育児よりもママを守る時間であってほしい。

 

「妻は何をしてほしいだろうか」

「妻がリラックスするために何ができるだろうか」と、

愛する妻をお姫様のように大切にする時間であってほしいのです。

 

育休取得パパはどんどん増えてほしい。

そんな

育休パパたちに伝えたいメッセージです。

 

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直井亜紀の書籍です。

 

 

この本の中では、育児のジェンダーギャップについても触れています。