赤ちゃんの健康診断である乳児健診。
出産した産院で1か月健診を受け、
お住いの市町村の保健センターor小児科で4か月(または3か月)健診を受けます。
これは全国どこに住んでいても同じ。
乳児健診では、
「病気はないか」
「発達に遅れや異常はないか」を診察します。
また体重増加において、授乳やミルクのたし方について指導されることも。
この授乳において、
小児科医によっては厳しい意見を言うこともあるようです。
たとえばこのように(リアル語録)。
おっぱいは何分あげてるの?(長く吸うのは)出ていないからですよ。
初乳は免疫を含んでいるけれど、4カ月にもなったら母乳とミルクの栄養価は全く同じです。母乳にする意味はありません。
母乳を飲ませたいのはお母さんのエゴ。たくさんミルクをあげてください。
今はいいミルクがあるので、どんどん飲ませてあげてください。母乳だけでは赤ちゃんがかわいそうですよ。
こんなことを小児科医から言われたら、
母乳をやめてミルクを飲ませたくなるもしれません。
じつは
上記のアドバイスは正しいとは思えません。
すべての小児科医が母乳に詳しいとも限りません。
医学部で「母乳学」を学ぶ機会はないため、
母乳についてはスキルアップとして個人的に学ぶことがほとんどです。
そして、
母乳について学んでいる小児科医は、上記のような発言はしません。
というのも、「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準(WHOコード)」にこう明記されているから。
第7条1項 保健医療従事者は母乳育児を奨励し、保護しなければならない。
第7条2項 人工栄養法が、母乳育児と同等あるいはそれよりも優れているかのように暗示したり、信じ込ませたりするものであってはならない。
つまり、医学的な必要がないのにミルクをすすめると、「国際基準違反」になるんですね。
記事とお写真は関係ありません
医学的に必要かどうかの判断基準は、以下に満たない場合。
- 生後6カ月頃までは1日の体重増加は18~30g
- 1週間の体重増加は125g以上(生後2週間までは生理的体重減少で増えないこともある)。
- 生後5~6カ月で出生体重の2倍、1年で3倍
※「母乳だけで育つ赤ちゃんの体重増加(WHO)」より
たとえば、2600gで生まれた赤ちゃんが4ヶ月検診で5500gだった場合、
「生後4カ月の平均体重より小さくても、上記を満たしているために発育良好と判断していい」ということなんです。
記事とお写真は関係ありません
このように、健診で赤ちゃんの体重だけを見て、
「母乳が足りない」と判断することはできません。
体重が少ないと脳が低栄養になるという根拠はありません。
母乳のメリットは「免疫」だけではないのですから。
ミルクをお腹いっぱい飲ませて太らせるのは簡単なんです。
母乳を飲ませたいのは哺乳類の本能であり、
赤ちゃんにとって、おっぱいを飲む時間はママとの大切な時間。
「赤ちゃんがかわいそう」という表現自体が大変失礼です。
むやみに粉ミルクをすすめることなく、
「体重が少なめだから、助産師さんに相談してね」とアドバイスくれたら安心ですよね。
お写真と記事は関係ありません
毎日毎日大切な赤ちゃんを抱っこし、
おっぱいを飲ませ、
夜中に睡眠不足になりながらも、
愛を注ぎ続けた4カ月。
健診では「不足している点を見つける」のではなく、
「4カ月間よく頑張りましたね」という、ねぎらいの場であってほしいと思っています。
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直井亜紀の書籍です。
赤ちゃんが喜ぶ子守歌やわらべ歌を集めたCD。
発案と歌手をしています。