毎年この時期になると、

小学生や保護者さんへ「いのちや性」のお話をする機会が増えます。

 

今までお伝えした人数をざっくりカウントしてみたら、

小中学生と保護者さんを合わせたら、なんと

約10万人以上!

 

 

何度お話させていただいても慣れることはなくて、常に全力。

 

同じパワポを使うことはないし、

対象者の背景に合わせて編集し、お話をする内容を考えています。

 

 

わたしが「いのちや性」をお話しするうえで、とくに心がけていることがあります。

 

それは……

 

すべての子ども(生まれ方や成育歴) も、

どんなママ(出産方法や養子など)も

ひとりも傷つけない表現を心がけたいということ。

 

だけど、

どれだけ表現に細心の配慮をしたとしても、成育歴はさまざま。

想像力の及ばない点があるかもしれない。

気がついていない点があるかもしれない。

 

だから常に細心の配慮を心がけています。

 

「いのち」「性」は根源的なことであり、

産まれ方や生い立ちはとてもデリケートなことだから。

 

 

 

先日、ある方の性教育講座へ学び目的で参加したときのこと。

 

胎児の姿勢について、子どもたちへこう説明していました。

 

おなかの中にいるときの赤ちゃんの頭は、

上向いていると思う?下向いていると思う?

 

おなかの赤ちゃんがどんどん大きくなると膣から出てくるんだけれど、

出てくるときに足から出てしまうと、

足がY字バランスのようになって、

足の骨が折れてしまったり、変な格好で産まれてしまうから、

必ずみんな頭が下から産まれるようになってます。

 

おなかの中から生まれるとき、みんな逆立ちして生まれてきたんだね。

 

え???

 

「みんな頭から下に生まれる」?

 

生まれ方は「膣から出てくる」だけじゃないし…。

 

5%の子は逆子で生まれるし、

25~30%は帝王切開で生まれる。

「みんな」同じではない…よ。

 

その伝え方だと、逆子で生まれた子どもが、

「自分は変な産まれ方をした」と、悲しい気持ちにならないかなあ…。

 

帝王切開で出産したママはどう感じるだろう……。

「ちゃんと産んでいない」ように感じてしまわないだろうか。

 

生まれ方に正解や不正解はないから、

経膣でも帝王切開でも、

逆子でも、無痛分娩でも、吸引分娩でも、

どんな生まれ方も、その子にとってのベストだったはず。

 

 

 

また、別の性教育講演を聴講した際も衝撃でした。

 

みんなはお父さんとお母さんに望まれて生まれてきました。

毎日毎日お父さんとお母さんが見守ってくれて、

「大好きだよ」って言われながら大きくなったんですよ。

 

おうちに帰ったら、

「お母さん、産んでくれてありがとう」って言いましょうね。

 

え、え、えー?!

 

ステップファミリーや養育親で育った子供も大勢いるよ!

出産した母親と今暮らしている母親が同じ人とは限らないよね。

 

毎日毎日お父さんとお母さんが守ってくれたのかも家庭によって違うし、

中にはおじいちゃんやおばあちゃんに育てられた子だっているはず。

 

そもそも、感謝の強要って気持ち悪い。

感謝したいかどうかは、その子自身が決めることだよ…。

 

 

このように、ひとくくりに「性教育」といってもいろんな伝え方があります。

 

生まれ方や生い立ちはとてもデリケートだからこそ、

「ひとりも傷つけない表現」に熟慮を重ねたい。

 

そんな思いで「いのちや性」を伝える活動を続けています。

今年度も熱い気持ちでとりくみますね!

 

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