ママたちとの会話のなかで
「わたしはカンボです」という表現をよく聞きます。
「カンボ」とは「完全母乳」を指しているので、「母乳オンリーで粉ミルクをいっさい使っていません」という意味で使われます。
同じように「カンミ」とは、「完全にミルク」という表現。
「カンボなんです」と聞くと、「がんばっていらっしゃるんですね」とほほえましい気持ちになります。
ですが、
この「カンボ」という表現について、ちょっと考えてみます。
もともと、この「完全母乳」のもとになった英語は、ｅxclusive breastfeedingです。そこには、いわゆる「完璧」perfectとか「完全」completeという意味はありません。そのまま「母乳だけをあげている」という意味だけです。
世界保健機関（WHO)の定義によると、水も糖水も、もちろんジュース、お茶、おかゆなどもあげていない状態が、exclusive breastfeedingなのだそうです（薬はOK）。医学的な研究の場合は、２４時間以内に母乳以外のものを何かあげているかどうかで、「母乳だけ」exclusiveかを判断することが多いようです。が、ある時点の２４時間以内の栄養法での「母乳だけ」の率は、当然ながら生まれてからずっと母乳だけだという率とは違います。
もし仮に「母乳だけしか飲んでいない赤ちゃんは有意に病気にかかりにくい」ことを証明するために調査研究するとしたならば、本当に生まれてからずっと母乳だけしか飲んでいないのかを確認することが必要なのです。
国際認定ラクテーションコンサルタント（IBCLC）本郷寛子さんの記事（※引用承諾済み）
このように
「完全母乳」とは研究の際に使われる表現。
さらに…
「完全」⇔「不完全」。
つまり、
「カンボではない」ことが、「不完全母乳」というニュアンスにも受け取れてしまいます。
日本では、生まれてすぐから「100%母乳だけ」で育てるのは困難。
※産院不足など様々な理由があります
そのため、
「母乳以外をまったく口に入れたことがない」赤ちゃんはほとんどいません。
真の意味での「カンボ」は、ほとんどないんです。
そして、わたしはこう思います。
混合栄養でも、たとえ1日1回の母乳育児だとしても、
母乳を飲ませていたら、それは「母乳育児をしている」のだと。
さらに言えば、
そのママが「母乳を飲ませたい」と思ってがんばっている時点で、
「わたしは母乳育児をしている！」と自信を持ってほしい。
少しミルクをあげたとか全部母乳だとか、
そんなことは些末なこと。
もしも「カンボですか？」と聞かれることがあれば、
「はい母乳育児です」と答えればいい。
ついでに書くと、
「母乳育児かミルク育児か」とか
「母乳だけで育てているかどうか」って、とってもプライベートなこと。
まるで「夫婦で何回キスするの？」と聞かれるような（笑）。
だれかに尋ねられても、正確に答える必要はありませんからねー。
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赤ちゃんが喜ぶ歌を集めたCD。
ご出産祝いにもぜひ。