『青春はイノチガケ』
戦後の日本で、在日朝鮮人として大阪の一集落に押し込められ暮らした人々の、力強く激しい生き様を描いた作品。
梁石目氏の書籍を映像化した、自伝的映画になっている。

集落では、在日朝鮮人や前科持ちの人々が、仕事らしい仕事も無く荒んだ生活をしていた。
ある日、旧日本軍の造鉄所を探っていたヨドギ婆さんが鉄屑を見つけ、それに思いがけない値が付いたことが集落に広まる。
造鉄所で鉄屑を探して売れば金になると考えた人々は、どうやって大量の鉄屑を運ぶかを考え策を練るが、警察の目を盗めるいい方法が思い付かない。
そんな中、仕事で集落を空けていた青年義夫が、数年振りに帰ってくる。
彼が乗って帰った小舟を見て人々は運搬法を思いつき、造鉄所を荒らす"アパッチ集団"としての道を辿り始める事になる。。


最近自分の中で山本太郎が再ブーム。
『格好いい山本太郎を見られる映画はどれか。』
そんな理由で選んだ映画です。
正直内容もあまり知りませんでした。
しかし、冒頭5分のヨドギ婆さんの台詞
『わかっとるわい、どあほう。』
えっ(笑)、ってなって、なんか引き込まれました。
掴みのインパクト中々。
ちゃんと観始めてから後、最後まで、とにかく勢いを感じる映画だった。
喧嘩のシーンが物凄い。
下手なVシネより豪快に暴れまくってた。
あんな綺麗なちゃぶ台返し中々無いね。
喧嘩と言うより、暴れるという感じがとてもリアルで、そこが物凄いエネルギーを感じる。
それを、まさに抜擢という感じで演じていたのが六平直政。
この人凄い。
何から何まで、六平さんしか居なかったんじゃないかって位ハマり役だった。
本当に、"昭和の粗暴なおやじ、おっさん"。
乱暴だし、下品で小汚い。
そして後先考えず、全てに全力。
荒んでるけど、この親父を筆頭に、集落が生きる力に溢れてる所が良かった。
実際身近に居たら迷惑だけど、こういう親父は、生きる人間としてすごく魅力があるのかもしれない。

そして魅力といえば義夫、義夫ね。
なぜ義夫が突然帰ってきたのか、そこだけがよく分からなくて気になるけど、まぁそれは置いといて。。
義夫は生きる上で、心まで荒むことはしなかった人。
『日本にも祖国にも見放されたわしらに未来があるっちゅうんか!!』
と言われて、『あるっ!!』っと言い切ってしまう辺りが潔い。
その答えに理由や保証がある訳じゃないんだけど、そんなはっきり一言言われたら、何も言えないよねぇ。
けどそれは、義夫が何より人の心に重きを置いていたから言える事で、目に見えないものに未来を見ていたって事だと思う。
『天に星、地に鉄屑…、わしら星屑や』
臭い台詞ですが、なるほど、と。
鉄屑を拾って溝のような生活をしてるけど、天と地の間で星のように光って生きる希望もあるから、星屑。
個人的名言はもっと他にありますが、純粋な義夫らしくて、いい言葉だと思いました。
そして義夫といえば、恋愛がまた男らしく純粋。
この映画の中では、初子と義夫の恋愛をベタベタで書いてくれなくて、とてもよかったって思った。
薄っぺらい想いじゃないけど、恋愛映画で表すような形とはちょっと違うから。
それだけに、『愛してる』という初子を床下に押し込めて、『わしもじゃあーー!!』と絶叫する義夫、なんか格好良かったです。
現在には無い男らしい、爽やかな恋愛だなぁと。
そんな所もまた、山本太郎のイメージにぴったりな役柄でしたね。
全ての日本人が悪い奴じゃないし、朝鮮人皆の心が荒んでる訳じゃない。
それだけを信じて、未来に悲観しなかった義夫。
史実的には、その後本国へ希望を抱いて渡っていった人達の事を考えると何ともいえない気持ちになりますが。。
この時代に、両国間に義夫のような考えを持った人がもっと沢山いれば、憎しみ合う時間はもっと短くて済んだのかもと思います。
現実逃避な考えと言われるかもしれないけど、逆にそういう人達がいなかったら今の友好は無いはず。
単純に生きる事も大切なもんです。
今まであまり邦画が好きじゃなくて、年に1、2回ホラーを観るか観ないかだったgiselleですが、国関係無く、いい映画はあるんだと思い、考えが変わった作品。
人間の力強さが表れてる。
日本は、自国の非を劇的にして曖昧にしてしまう所があると聞いたことがあるけど、これは自分達の非道を暈さず映像化している映画だと思います。
ぜひ観るべし。
ばーい。


