まじかるクラウン 第60話 姉と弟 まじかるクラウン
 

王を銃撃するという大罪を犯した輩の 残党を追いかけるパク・テスたち
しかし 逃げた者の服の切れ端と思われる遺留品を発見するだけに終わる
逃げ遅れた老公が 仲間に発見され合流を果たすが
老公を助けたウクの姿は どこにもなかった

自分の弟だとも知らず 偶然に居合わせたソンヨンは
酒場の女将に助けを求め ウクを助けようとする
残党を追跡する兵士が迫っていた…!

『奴らの拠点と龍洞(ヨンドン)周辺を回り
家族を捕えて逃亡先を聞き出すのだ!』

 

兵士たちに容赦ない命令を下すホン・グギョン
そこへ 正祖(チョンジョ)王が現れる
あれほど休養を命じても 聞く耳を持たないグギョン

休めと言っても聞かないのは 正祖(チョンジョ)王も同じことであった
ただ今回の捜査で捕えた輩の罪は確かなのか?と問う正祖(チョンジョ)王
捕えられる際に その輩が一切抵抗しなかったと聞き気になっていた

王を狙撃するような輩が 素直に捕まるだろうかと
 

なぜ報告もしていない捜査状況を 王が知っているのか
グギョンは途端に表情を曇らせる…!

『ですが 狙撃に使われた銃と武器が発見されました!
明日 逃亡者の追跡と逮捕者の取り調べを行い 罪状を明らかにします
どうかこの一件は 私にお任せください!』

 

正祖(チョンジョ)王には
妹の死の悲しみで グギョンが無理をしているように見える
それがまた不憫であり 思いやる気持ちばかりが先走ってしまう
兎にも角にも 王を襲撃した輩を捕えた功績は大きい
承政院(スンジョンウォン)に命じ 功績を称えるようにと命じるのであった

※承政院(スンジョンウォン):王命の伝達と臣下の上奏の報告を行う官庁

グギョンは 捜査状況を勝手に王に報告した兵士を呼び
他の宿衛官(スグィグァン)たちの前で厳しく叱りつける…!
挙句にはその兵士を宿衛所(スギソ)から追い出してしまうのであった

※宿衛所(スギソ):どの部署にも属さない王の特別な護衛機関

 

明らかにグギョンの目つきが変わっている
兵士は 王に問われれば答えないわけにはいかないのだ
恐れながら… と口を開いたのはパク・テスである

 

『適切な処置とは思えません!』
『同感です!王様のご質問に答えただけなのに 罷免とはあんまりです!』

 

たまらずカン・ソッキも進言する
直属の側近であり 心を許せる者をもギロリと睨み付け口を挟むなという
その凄みのある形相に ソ・ジャンボは黙り込んでしまった

 

『すべての事は私が決める!宿衛所(スギソ)から追放すべき者も!
王様に報告すべき内容もだ!お前たちもよく覚えておけ!
今後 宿衛所(スギソ)の内情を口外した者は決して許さない!覚えておけ!』

誰も返事をしようとしない
静まり返る部下たちにグギョンの怒号が飛ぶ!

『答えろ!!!!!』
『…はい 承旨様』

 

グギョンは 3人のうちで抗議しなかったソ・ジャンボだけを執務室に呼ぶ
自分だけに内々の指令が下るのかと期待するジャンボ
しかし下されたのは指令ではなく大金が入った巾着だった
ケガの治療にと渡されたが 治療は内医院(ネイウォン)で手厚く施されている

※内医院(ネイウォン):宮中の医療を受け持った官庁

『そなたは明日 護軍(ホグン)に昇進する』
『えぇ?!!』
『これまでの功績を考えれば驚くことでもない
武芸に優れ 宿衛所(スギソ)でも信望が厚いではないか』

 

ホン・グギョンは テスとソッキが自分に反意を持っていると察している
王より自分を優先し手足となって動く人間が必要だった
そこで いちばん欲深い出世の野心に満ちたソ・ジャンボに目をつけたのだ

『そなたを信じ 重要な任務を任せてもよいか?』
『も…もちろんです!命を懸けて任務を全うする覚悟です!』

ジャンボは 目の前に差し出された大金と昇進というエサに導かれ

正祖(チョンジョ)王ではなく ホン・グギョンに忠誠を誓ってしまうのであった
そうまでして グギョンが何を成し遂げたいのか
この時のジャンボには想像もつかなかった

その頃 ソンヨンは
深手を負った若者を助け 医員を呼んで手当をさせていた
医員の診断では命に別状は無いようである

『矢で射られたようだが 捕盗庁(ポドチョン)に追われている者か?
災いを被る前に捕盗庁(ポドチョン)に届け出ねば!』

※捕盗庁(ポドチョン):治安維持を担当する警察のような機関

ソンヨンは咄嗟に知り合いだと嘘をつく 山でケガをしただけだと…!
なぜ嘘までついて青年を庇おうと思ったのか 自分でも分からなかったが
ソンヨンの熱意に女将も協力するしかなかった
最初は酒場に運んだが ケガ人を酒場に置くわけにもいかない
青年は ソンヨンの部屋に運ばれた

宮殿では
逆賊が捕えられ 義禁府(ウイグンブ)に投獄されたとの報告に
恵慶宮(ヘギョングン)は あらためてホン・グギョンを評価する
元嬪(ウォンビン)のことで傷心していると思ったが余計な心配だったと
そして『次の側室を選ばねば』と言うのであった

※義禁府(ウイグンブ):主に重罪人を扱う検察に似た機関


元嬪(ウォンビン)の死から半月も経っていない今
時期尚早ではないかと按ずる王妃だが 恵慶宮(ヘギョングン)は
側室の死と 跡継ぎ問題を一緒に論ずることは出来ないと主張する
王様の地位を確固たるものにするためにも
一刻も早い世継ぎの誕生が望まれるのだと…!

亡き元嬪(ウォンビン)にすまないと思いながら
恵慶宮(ヘギョングン)の言うことは正論であり従うしか無かった
そんな王妃にキム尚宮が 今回もソンヨンを推薦するのかと尋ねる

一方 狙撃集団が捕えられたことで老論(ノロン)派の重臣たちは安堵していた
しかしチャン・テウだけは鎮痛の表情で 状況は悪化したとため息をつく
この一件で“あの者”は増々横暴になっていくだろうと


ホン・グギョンは大妃(テビ)殿を訪れ 今回の件について感謝の言葉を述べる
大妃(テビ)の助言があってこそ手柄を立てられたのだと

『これで少しは信用してくれたか?』
『そう簡単ではありませんが 力になってくださったことは事実です』
『それはつまり私が必要だということであろう?』

グギョンは慎重に言葉を選び お願いしたいことがあると切り出し
是非とも力添えしてもらいたいことがあると 神妙に話し始める

大妃(テビ)殿を後にすると その足で正祖(チョンジョ)王のもとへ向かう
そして 気持ちを整理し任務に専念したいと申し出る
そのためにも 生前の元嬪(ウォンビン)が切に願っていたことを
是非とも叶えてやりたいというグギョン
そうでもしなければ あまりにも無念で夜も眠れないと…!
元嬪(ウォンビン)は王様のために世継ぎを産みたがっていたと
今にも泣き出しそうに詰め寄るグギョンは 思いがけないことを口にする

『元嬪(ウォンビン)様に 後継ぎとなる男子をお授けください…!』
『今… 後継ぎと申したか?』

 

王のもとから下がり戻ろうとして グギョンは遠くに王妃の行列を見る
王妃を睨み付ける形相は 尋常とは思えないほど憎しみに満ちていた
正祖(チョンジョ)王は グギョンに言われたことで深く考え込む

「後継ぎとはどういうことだ?」
「王様の弟君であるウノン君様のご長男を 元嬪(ウォンビン)様の養子に」
「ウノン君の長男というと タムのことか?」
「はい 元嬪(ウォンビン)様が果たせなかった夢を叶えていただきたいのです」

正祖(チョンジョ)王はグギョンの気持ちを汲み 熟考すると答えた
しかし…何とも理解し難いグギョンの申し出に悩む正祖(チョンジョ)王であった
既に亡くなっている者に養子を迎えるというのは…あまりに突飛過ぎる

同じ時 大妃(テビ)はチェ・ソクチュを呼び この件について話していた
この自分にも考え付かないことをホン承旨が言い出したと…

『このことがどのような意味を持つか…
このまま王に子が生まれなければ 将来王世子になりうるということだ』

王の死後 幼い王世子が王位に就けば容易に操ることが出来る
しかもグギョンは またしても外戚となるのだ
ホン・グギョンの申し出は たちまち皆の知るところとなるだろう
大妃(テビ)はソクチュに グギョンの後押しをせよと命じた
命令とあらば従うしかないが ソクチュはグギョンが信用出来ない
なぜあんな男に力を貸すのかと大妃(テビ)に答えを仰ぐ

『あの男を我ら老論(ノロン)派の先鋒に据えるためだ
よいか あの男が朝廷で権力を握るのは避けられない
だとすれば それを利用するのが得策ではないか』

一方 ソンヨンは
都で行われている検問に 不安がよぎっていた
役人が持っている人相書きは どう見ても昨夜助けた若者のようだ
図画署(トファソ)でも昨夜 曲者が逃げたことが噂になっていた

※図画署(トファソ):絵画制作を担う国の機関

修練場の弓場で パク・チェガが弓の稽古をしている
そこへ正祖(チョンジョ)王が現れ
チェガを 使節団の書状官に任命したと告げる

『白塔派の者と集い 清国の書物に心酔しているとか』

 

呆気にとられるチェガを 正祖(チョンジョ)王は執務室に連れて行く
そこには 使節団として共に清へ向かう者たちが待っていた

『これなら 辛く遠い旅路も退屈しないだろう』

 

チェガは 感動して言葉も出ない
使節団に選抜された者たちは チェガが懇意にする白塔派の者たちであった
正祖(チョンジョ)王が賊に銃撃されそうになったあの日
身分を隠して大いに語り合った白塔派の者たちは 無礼を心から謝罪する
思えばチェガもまた 王世孫とは知らずに不敬な暴言を吐いたことが
正祖(チョンジョ)王との出会いだったのである

使節団の面々と宴を開いた正祖(チョンジョ)王は
広く他国を見て 大いに学んで来てもらいたいと激励する
そこで白塔派の代表は 王様の真意を測りかねると言い出す
あまりに無礼だと チェガたちが諫めるが
正祖(チョンジョ)王はそれを制した

西洋の宗教を研究する者を弾圧しながら 一方で西洋から学べという
一体どちらの考えが王様の真意なのかと…!
正祖(チョンジョ)王には初めて聞く話だった
一体 自分が誰を弾圧しているというのか…

 

気まずいまま宴は終了し
正祖(チョンジョ)王は 禁軍(クムグン)の別将を呼びつける
別将によれば 狙撃犯の家から天主教の書物が押収されたのだという
ホン・グギョンが捕えた者たちは皆 天主教徒たちであった

 

※禁軍(クムグン):王を護衛する王直属の部隊

狙撃犯として捕えるのと 天主教徒として捕えるのとでは
根本的に趣旨が違ってくる

別将は 銃撃した銃が見つかった以上
それは謀反を企てた確かな証拠であり 捕えられても仕方が無いという
だとしても正祖(チョンジョ)王は 何か腑に落ちないものを感じ始めていた
そして テスたち3人を呼びつけたのだが…
朝からジャンボの姿が見えず 駆けつけたのはテスとソッキだけだった

正祖(チョンジョ)王は ホン・グギョンの身辺を調べるようにと2人に命じた
あれほどグギョンを信頼しきっていた王の 思いがけない命令に戸惑う2人

『どうも度が過ぎているようで 心配になったのだ』


それは 2人も同じ思いであった
グギョンを慕う気持ちと忠誠心に変わりはなかったが
最近の言動と行動には どうにもやり切れない思いがあったのだ

『捕えた逆賊について 不可解なことがある
証拠として銃を押収したと言うが どうも疑わしい』

直接 グギョンの命令でテスたちは動いていた
どの部分が王にとって疑わしいのか 気になるところである

『捕えられた時の彼らは無抵抗だった 妙だとは思わぬか
銃がありながら使わなかったのだ この件には何かが隠されている
ホン承旨は今 そこに目が届いていない』

ホン・グギョンは 厳しい拷問によって罪人に自白させようとしていた
何を自白しろと言うのか… 罪人たちは苦しみながらも答えようがなかった
押収した書物に記される王制への批判
これこそが謀反の証拠だと グギョンは信じて疑わない

『本を読みふけるばかりか 王様の暗殺まで企てるとは!』
『とんでもない 仁愛と慈悲を諭すのが天主教です
なのに 私たちがそんな残酷なことをするわけが…』

 

グギョンの中に 真実を暴こうという気はない
すべては自分が描く筋書き通りに運ばねば気が済まなくなっている
真実を自白させるための拷問ではなく 思い通りの自白を促す拷問であった

 

その一方でグギョンは ソ・ジャンボを片腕として使っていた

『どうなった?』
『指示通り 兵士を配置しました』
『物証になりそうな物を確保し 逃亡した残党は必ず捕えよ』

 

テスとソッキは 王の密命でグギョンの身辺を調査し
ジャンボは2人と距離を置き グギョンの命令にのみ従うという構図になっていた
部下を引き連れ 町人の格好で酒場に入るジャンボ
そこで情報を収集しようとして 他の客の会話に耳を傾ける

『ヤンの旦那が捕まるなんて…謀反なんか企てるはずがない!』
『この国は一体どうなっちまうんだ?』
『ホン・グギョンとかいう奴が国を潰そうとしてる 我慢ならん!』

ジャンボはグギョンを呼び捨てにした男を 逆賊を庇った罪で捕えた
グギョンへの忠誠心のみで動くジャンボだが もはやゴロツキの親分まがいだ

一方 ウクは
ソンヨンの部屋で ようやく意識を取り戻す
どこから記憶が途絶えたのか…目の前に姉がいることが信じられなかった

ここにいては 姉に迷惑がかかってしまう
追っ手に嗅ぎ付けられたら 姉までが危ない目に遭ってしまうと
ウクは 治り切らない体で出て行こうとする

『まだ動いてはダメです! …追われる身だから?』
『え?』
『街では禁軍(クムグン)が検問してるわ 今出て行っても捕まるだけです!』

ウクはソンヨンを姉と知っているから 一刻も早くここを離れねばと思う
自分を弟とも知らない筈なのに… なぜ助けてくれるのかと問う
ソンヨンにも分からない なぜこんなにも気になるのか…
きっと家族が心配している
動けない青年のため 代わりに自分が知らせに行くというソンヨン
しかし青年は 家族はいないという

『幼い頃に両親を亡くし姉と2人で暮らしていたそうです
しかし姉とも生き別れに… 姉は私を…死んだと思っている』

仲間の所へ戻らなければという青年に ソンヨンは動揺する
聞いた話が 自分の過去とあまりにも似ている
しかし 仲間に逃げろと伝えなければ!と…
青年は出て行くというのだ

『…ただ伝えさえすればいいのですか?
仲間に 逃げろと伝えればいいのでしょう?』

 

そんな危険な目には遭わせられないという青年に ソンヨンは
自分にも弟がいたと…幼い頃別れたきり会えずにいると話す
数年かけて消息が分かったのに 疫病で死んだと言われたのだと

それは自分のことだと…! 切り出せないウク

『不自由なく育ってほしくて…離れ離れになったのです
今思うと 決して離れてはいけなかった…!
お姉様もあなたが生きていると知れば きっと喜びます!
どうか無茶をしないで! 生き延びてお姉様と再会してください!』

その頃 宮殿では
正祖(チョンジョ)王が視察に出るために着替えていた
戸惑うナム・サチョに有無を言わせぬ言い方で ついて来いと命じた

ソンヨンがどうにか検問を通り ウクの仲間に会いに行こうとしている頃
ホン・グギョンのもとには 残党を追う手がかりが見つかったとの報告が…!

『医者が 矢傷を負った者を診たそうです』
『どこだ!!!』

 

ソンヨンは 山中に潜むパク・ウォネという男に会うことが出来た
そして ウクからの伝言を伝えることに成功した

 

『あなたは 図画署(トファソ)の画員だそうですね
やはり そちらに向かったのですね』

 

ウクは ソンヨンのもとへ逃げたつもりではなかったのだが
自分を置いて逃げるようにという伝言に ウォネは納得した

『ソン・ウクのケガはどんな状態ですか 矢を受けたと聞きましたが』
『え?あの方は… ソン・ウクというのですか?!』
『ソン・ソンウクです』

我が耳を疑うソンヨン
それは正に 弟の名前なのだ…!

『それでは…幼い頃 山陰県に住んでいた…』
『知らなかったのですか?!
ソン・ウクは…あなたの弟だと言わなかったのですか?!
20年前 山陰の名家に預けられた…あなたの弟です!』

ソンヨンは 一目散に家を目指す!
あんなに会いたかった弟のもとへ…!!!
ウォネとのやり取りを何度も思い返しながら ウクのもとへ走った!

「そんなはずないわ ウクは疫病で死んだと…」
「それは嘘です!養父たちがウクを…奴隷として売ろうとしたのです!」

幼心にソンヨンは 弟だけでも幸せにしてやりたくて養子に出すと決めた
しかし現実には 弟のウクは死ぬほどの苦しみを強いられていたのだ

姉に罪悪感を抱かせないよう ウクは名乗ることが出来なかった
名乗れば 自分が死んだとされた事情について話さなければならないと…

ソンヨンは ウォネから古ぼけた紙切れを渡された
それは別れの日 おくるみの中に忍ばせた家族の肖像画であった…!

「両親と姉の名前も書いてあります ウクは毎日この絵を見ていました」

ソンヨンは 涙で歩けなくなった
自分もまだ幼かったあの日 赤子の弟のために描いた絵であった

宮殿では
すっかり別行動になってしまったテスとソッキ そしてジャンボが顔を合わせる
しかし互いに 相手には言えない任務を抱えていた
ジャンボは せめてテスには情報を伝えようとする

『ソンヨンが事件に巻き込まれそうだ!』

 

ようやく家に辿り着き入ろうとしたソンヨンを ホン・グギョンが呼び止める
グギョンの背後には兵士が身構え 隣には酒場の女将が立っている…!
ソンヨンは グギョンにとっても知らない仲ではない その口調は優しかった

『2日前 不審者を助けたな?』
『……』
『矢傷があったとか』

不審者だろうと傷を負って倒れているなら それだけで助けただろう
しかし今は違うのだ 助けた者が弟だと知っているソンヨンであった

 

『そ奴は王様の暗殺を企てた逆賊だ どこにいる?』

一方 正祖(チョンジョ)王は 街を視察して歩き
栽培した人参がどこよりも上質だ!と自慢する男と話していた

 

『ならば たくさん育てて売ればよいものを』
『市場は力のある商人が支配している

俺たちが入り込めるはずがない! 殴り殺されるのがオチさ』

専売商人が商権を独占している実態を 目の当たりにする正祖(チョンジョ)王
そして次に向かったのは 貧しい民が更に貧しい民に粥を配る場所だった
本来は官吏がすべき事なのに なぜ貧しい者が貧しい者に…?

『そなたの主人が私財を投げ打ち 皆を養っていたのか』
『はい 下僕だった私をヤン様が平民にしてくださいました
そのご恩に応えたくて ヤン様の志を継ぎ皆に施しを』

“ヤン様”とは 今回の事件でグギョンが捕えた謀反人の頭なのだ
王の暗殺を企てた者として 厳しく拷問されている身である

『旦那様が謀反人だなんて…根も葉もないでっち上げです!』

尚門パク・タルホが 息せき切って酒場に現れた
そして女将の腕を掴み厳しく問い詰める…!

『ソ…ソンヨンを 義禁府(ウイグンブ)に突き出したのか!!!』
『そうじゃなくて…私まで殺されそうだったのよ!』
『それでもあんまりだ!シラを切り通せ!』
『どうやってよ!承旨様が兵士まで連れて来たのに!!!』

女将は愛する妻だが ソンヨンも我が子同然の可愛い娘なのだ
弱り切ったタルホは視察中のナム・サチョを捜し 助けを求める…!
サチョは すぐに正祖(チョンジョ)王の耳に入れた

『何? ソンヨンが義禁府(ウイグンブ)に?!!!』

 

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