第28話 怪しい影
なぜグギョンは 王世孫に真実を話さなかったのか…
真実を知れば自ら収拾しようとするだろう
また 失敗すれば王世孫が責められてしまうことになる
これを聞き3人もまた 王世孫に対し固く口を閉ざすと誓うのだった
チョン・フギョムは ホン・グギョンの監視を強化するが
王世孫との接点もほとんど無く 怪しい動きは感じられなかった
一方 思い余った王妃 貞純(チョンスン)王后は
王に会い 兄ギジュの失踪を報告する
『私の兄を疎ましく思う朝廷の不穏な輩が拉致したに違いありません』
『“朝廷の不穏な輩”とは?政治に無関係な王妃に政敵などあろう筈がない
一体なぜそう思ったのか… 申してみよ』
うろたえる王妃
裏の顔で朝廷を牛耳って来たことを忘れ 感情に走ってしまったことを悔いる
急に兄と連絡が取れなくなり 憶測に走ったと引き下がるしかない
英祖(ヨンジョ)王は それ程按じるなら漢城府(ハンソンブ)に捜査を命じるという
※漢城府(ハンソンブ):都の行政・司法を担当する官庁
王妃は 英祖(ヨンジョ)王の態度に違和感を覚える
初めて聞いたならばもっと驚く筈である
予測していたかのように落ち着き払っていたことがどうにも解せない
話を聞き そんな筈は無いというソクチュ
焦っているのは王妃だけではない
ファワン翁主(オンジュ)もまた 針のむしろに座らされた思いでいた
愚かなギジュに 老論(ノロン)の存亡が懸かっていると思うと腹が立った
チョン・フギョムは 王世孫に何の動きも無いことが納得出来ない
しかしどんなに調べても 何の動きも察知することが出来ないのであった
半狂乱で騒ぎ続けるキム・ギジュを グギョンは放っておくという
そして 騒ぎ続けていられるうちに物証を探し出さなければと…
自ら軍器寺(クンギサ)と礼曹(イェジョ)を当たってみると言い
3人には 火薬を用意した役人を捜すよう命じた
※軍器寺(クンギサ):兵器などの製造を担当した官庁
※礼曹(イェジョ):儀礼や祭事・外交などを担当する官庁
更に 老論(ノロン)派の動きからも目を離すなと
動揺し切っている今であれば弱みを握れるかもしれないというグギョン
特に 吏曹判書(イジョパンソ)とチョン承旨を入念に監視しろと…!
※吏曹判書(イジョパンソ):任官や人事考課などを行う官庁の長官
ソ・ジャンボは吏曹判書(イジョパンソ)チェ・ソクチュを
テスは チョン承旨を監視する
軍器寺(クンギサ)と礼曹(イェジョ)の出納簿が押収された
この動きを知った王世孫は 何かを掴んだようだと推測する
ジェゴンは グギョンを呼び思惑を聞くべきと進言するが
サンは 今はただ信じて見守るしか無いと言うだけだった
一方 イ・チョンは 妓楼で豪華なもてなしを受けていた
妓生(キーセン)たちを描く絵の素晴らしさに
御真画師(オジンファサ)に選ばれるのも間違いないとおだてられる
※御真画師(オジンファサ):王の肖像画を描く画員
近く 御真画師(オジンファサ)が選ばれることは
既に画員たちの知るところであり
妓楼に入り浸るイ・チョンが知らないだけの事であった
間もなく 主席画員と随従画員が各1名ずつ選抜されるという
別提パク・ヨンムンは 自分以外の他の者に機会を与えると言い
画員たちの間には希望の光が見え 増々競争心が燃え上がる
その頃 恵嬪(ヘビン)ホン氏は グギョンに頼まれたことを考えていた
グギョンが近づけないファワン翁主(オンジュ)を 代わりに見張ってほしいと…
ホン氏の突然の訪問に驚くファワン
ケガの見舞いに来たというが… その本心は極めて疑わしい
過剰に動揺するファワンに対し ホン氏は…
『あなたは今回の事件の被害者なのですから
罪人が捕えられれば当然 尋問に立ち会うでしょう?』
ファワンは うろたえてしまった自分を悔い怒り狂う…!
ホン氏は 直ちにグギョンへ報告した
その後 花火に細工した者が遺体で発見された
火薬を用意した役人も行方不明になり グギョンは窮地に立たされる
このままでは 物的証拠を探すことが難しくなってくる
手を引くと決め込んでいるチョン・フギョムはまったく動きを見せず
チェ・ソクチュは 動きようも無く身を潜めているのだ
そして キム・ギジュの口を割る方法は無く八方塞がりであった
真夜中 ナム・サチョがグギョンを訪ね 王世孫が呼んでいるという
何の報告にも来ないグギョンに 捜査の難攻を感じ取るサンであった
『左承旨が口を割らぬのか?』
『…はい?!』
自分を守ろうと 何の関与もさせぬよう心を配っていたと
サンは すべてを承知し 敢えて黙っていたのだ
しかしどうしても言いたいことがあり とうとう口を挟んでしまったと…
グギョンは観念して平伏する…!
『あの者を拉致したのは敵を揺さぶるためでは? だったらもっと揺さぶらねば!
なぜ王様はそなたに権限を? その意味をもっと深く考えるのだ』
グギョンは 王世孫の言葉を繰り返し噛み締め…そして動き出す!
まずはチョン・フギョムの屋敷を 禁軍(クムグン)の兵で包囲した
吏曹判書(イジョパンソ) 刑曹判書(ヒョンジョパンソ)等も同様にした
※禁軍(クムグン):王を護衛する王直属の部隊
※刑曹判書(ヒョンジョパンソ):法や刑罰を司る官庁の長官
禁軍(クムグン)は 王命によってのみ動く兵である
監視された者たちの動揺は グギョンの想像以上であった
ファワンの想像は キム・ギジュがすべて白状したという結果に行きつく
チェ・ソクチュは 王妃の呼び出しにも決して応じなくなった
ギジュを捜している筈の漢城府(ハンソンブ)からは何の反応も無い
貞純(チョンスン)王后は すぐさま王に会おうとするが…
英祖(ヨンジョ)王は誰にも会おうとしない
たとえ王妃であっても…特に王室の者とは会わないという
これはホン・グギョンが 王に頼んだことであった
『それはいつまでだ?』
『10日間です王様 その間に必ず全容を暴きます』
グギョンは 偶然出くわしたフギョムに
自分が禁軍(クムグン)を送ったのだと話した
『臥薪嘗胆を真似て肥集めをしたおかげでしょうか
承旨様も 宮殿を追われた際にはお試しあれ
先日 狩りで捕らえたウサギが知恵者で 周りの獣のことに詳しいのです』
含みのある言い方をされ みるみる動揺していくフギョム
グギョンは おかげで大物を狩るのが楽になったと言い放つ…!
一方 恵嬪(ヘビン)ホン氏は 父と叔父を呼び
王様がホン・グギョンに全権を与え 今回の件を調査させていると話す
父ボンハンはともかく 叔父イナンは王妃の手の者である
姪の話に凍りつくイナンだった
『それは…禁軍(クムグン)が重臣たちの屋敷を見張っているのと関係が?!』
『そのようです 恐らくですが…政敵の正体を掴んだのかもしれません
今度は王世孫が敵を追い詰める番です 容赦はしないでしょう』
眠れぬ夜を過ごす王世孫イ・サン
心配して チェ・ジェゴンが現れる
今回の騒動には 自分も絡んでいるのだと話し始めるサン
王世孫に生まれていなければ こんな目にも遭わなかった
黒幕が明かされたその時 どんな真実が待ち受けているのか
それを考えると怖くてたまらないと…
しかし たとえ何が待っているとしても真実からは逃げられない
どんな真実も受け止めることが 王世孫としての運命であると
その頃イ・チョンは 礼曹(イェジョ)の役人を招き招待すると言い出す
どうしても御真画師(オジンファサ)の画員に選ばれたいのだ
これを聞いたパク・タルホは いつかはソンヨンも… と思いを馳せる
いつの日かサンが王になった時 画員としてソンヨンが
御真画師(オジンファサ)に抜擢され サンの肖像画を描く
そんな夢を描くソンヨンだった
貞純(チョンスン)王后は 禁軍(クムグン)の監視がついて以来
誰ひとり呼び出しに応じないことに苛立っていた
いくら見張られているとはいえ 3日間も音沙汰が無いとは…!
監視が厳しい中 チョン・フギョムは チェ・ソクチュの屋敷を訪ねる
危険を冒してまで会いに来たのは 昼間のグギョンの言動が原因であった
グギョンがキム・ギジュを拉致したのは 間違いなさそうである
王様が3日間も面会を拒まれている
ファワン翁主(オンジュ)さえ拒まれているということは
まさか王様の耳にも 何か情報が入ったのではと…!
そもそも発端は儀礼戯(ナレヒ)の事件であり 自分たちには何の関係も無い
あくまでも首謀者は王妃と左承旨であり たとえ左承旨が自白しても
責任を負うのはあの2人で十分だと
※儺礼戯(ナレヒ):悪鬼を払う儀式
『王世孫がここまで事を大きくするのは 背後関係を暴きたいからでしょう
ですから我々は そこから身を引くべきなのです!』
生き残るため 王妃を犠牲にすると言うフギョムだった…!
パク・テスが チョン・フギョムの屋敷に書状を投げ込んだ帰り
高貴な身分の女人が フギョムの屋敷の方へ向かうのを目撃する
気になったテスは引き返し 見張りを続けた
しばらくして出て来た女人が帰った場所に テスは仰天する…!
テスから驚きの報告を受けたグギョンは 真夜中に東宮殿へ!!!
慌てて駆け込みながらも なかなか切り出せないグギョン
サンは ただならぬ事態なのだと察する
『今夜 チョン承旨を密かに訪ねた人がいます
チョン承旨を訪ねたのは… 訪ねたのは… 他でもない中殿様でした…!』
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