善徳女王 第52話 新たな敵 

(女王様 惜しみなく私のすべてを捧げます)
(女王様 容赦なくそのすべてを奪い取ります)

金庾信(キム・ユシン)と毗曇(ピダム)の 異なる意志と思いが
同時に徳曼(トンマン)に向けられた
徳曼(トンマン)は この瞬間から 善徳(ソンドク)女王となった…!

『内省私臣(ネソンサシン) 金龍春(キム・ヨンチュン)を
上代等(サンデドゥン)に任命する! しかと国政を統括するように!』

※内省私臣(ネソンサシン):内省(ネソン)の長官
※上代等(サンデドゥン):新羅(シルラ)の最高官職 現在の国務総理

『兵部弟監(ピョンブチェガム) 金舒玄(キム・ソヒョン)を
兵部令(ピョンブリョン)に昇格し 武官の最高職 大将軍(テジャングン)に!』

※兵部令(ピョンブリョン):新羅(シルラ)の軍の長官

『神国で起きた忌まわしき事件は 過去の過ちとして歴史の闇に葬る
今後は皆が心を1つにし 新たな夢と時代を切り拓いてゆかねばならぬ!』

便殿会議が終わり 執務室に側近のみが集まった
金庾信(キム・ユシン)が口火を切る

『陛下 新たな時代を切り拓くとは どのような意味でしょうか
“徳業日新 網羅四方”という真興(チヌン)大帝の遺志を継ぐ時なのでは?』
『勿論 そのように考えます』

次に 閼川(アルチョン)が聞く
それではなぜ国防費を増やさないのかと

『鉄製の農具を増やすためです
磨雲嶺(マウルリョン) 黄草嶺(ファンチョリョン) 堂項(タンハン)城
真興(チヌン)大帝は これらの土地をどう広げたと? 武器を使って?
いいえ違います 人の力で広げたのです』

金春秋(キム・チュンチュ)が これに同意を示す
善徳(ソンドク)女王が言う“人”とは 守るべきものがある者を指す
神国の利と 己の利が一致する“人”のことだと

すると毗曇(ピダム)が…
すべての民に 花郎(ファラン)のような忠誠心は望めないという

『国の富強こそが己の暮らしを豊かにすると 民に信じさせねば
三韓一統の道は進めません』

※三韓一統:高句麗(コグリョ)百済(ペクチェ)新羅(シルラ)の三国統一

あまりに壮大な 善徳(ソンドク)女王の計画であった
会議を終え 善徳(ソンドク)女王は 金庾信(キム・ユシン)と語り合う

“徳業日新 網羅四方”において 最初に抱き込むべきは何か
善徳(ソンドク)女王は 伽耶勢力だと言い切る
そして あらゆる差別を法律で禁じ 伽耶人を重用すると…!

※伽耶:6世紀半ばに滅亡 朝鮮半島南部にあった国

感慨深い表情で 善徳(ソンドク)女王を見つめる庾信(ユシン)だが…
『復耶会は解体させねば』という言葉を聞き 緊張が走る
更に善徳(ソンドク)女王は 復耶会の名そのものが反逆だと…!

『月夜(ウォルヤ)とは話をつけました 心配ご無用です』

それでも 善徳(ソンドク)女王の表情は晴れない
月夜(ウォルヤ)の考えは違うのだと…

『月夜(ウォルヤ)だけは 私と利害が異なるのだ』
『一致させます!』
『もし一致出来なければ 月夜(ウォルヤ)は逆心を抱くでしょう
新羅(シルラ)の臣下や民は勿論のこと 伽耶の人々にも同じ夢を持たせるのです』

庾信(ユシン)は 月夜(ウォルヤ)と話し合う
統一された三韓の地で 国を問わず皆が大きな夢を見る
復耶会解体の その先にある壮大な夢を語る庾信(ユシン)

『その夢の真ん中には そなたの名を残さねば』
『何っ?!』

庾信(ユシン)の表情が強張る

『そなたも次なる野望を目指していい頃だ』
『私に逆心は無い』
『そうではなく… そなたが陛下と婚姻し新羅(シルラ)を治め…』
『月夜(ウォルヤ)!!!』

明らかに 月夜(ウォルヤ)の利害は違っていた
善徳(ソンドク)女王の言った通りだった…!
庾信(ユシン)は 愕然としてその場を離れた

女王の執務室
毗曇(ピダム)は たった今言われた言葉を聞き返す

『剣と仰いましたか?』
『そうだ 私の剣になれ 不正と腐敗を断ち切る剣に』

生前の文弩(ムンノ)に言われた言葉が頭をよぎる

「お前は言わば “柄の無い剣”も同然 触れれば誰もがケガをする
誰かがお前の柄になってくれることを願っていたが…
この私の手で その剣を折るしか無いようだ」

『はい陛下! いつでも陛下の剣となります!』

『改革は全て上層部から行う
貴族や既得権層の不正を徹底的に取り締まるのだ
そして国内外の情報を管理し すべて私に報告せよ』

『私のことは誰が監視し牽制するのですか?』
『私がお前に目を光らせている この私が…だ』

市場の通りを 荷物をいっぱいに積んだ荷車の行列が通る
国から荒れ地を与えられ 鉄製の農具を与えられ
その土地を開墾し 肥えた土地に変えたという
治められた米の確認をする虎才(ホジェ)
そこへ 善徳(ソンドク)女王が現れた

荒れ地を開墾し 最も多くの収穫を挙げたポンギという男を
女王直々に労い 供奉開師(コンボンケサ)に任命する

※供奉開師(コンボンケサ):農業や開墾の指導に当たる官吏

龍春(ヨンチュン)公が 皆に向け宣言する
毎年 最も収穫量が多かった者を供奉開師(コンボンケサ)に引き立てると…!

『有難き幸せにございます!』
『女王陛下 万歳!』

金春秋(キム・チュンチュ)が 早馬で徐羅伐(ソラボル)に駆けつけ
上将軍(サンジャングン)金庾信(キム・ユシン)が
百済(ペクチェ)軍を大破したと報告する

※上将軍(サンジャングン):大将軍(テジャングン)の下の武官
※百済(ペクチェ):三国時代に朝鮮半島南西部にあった国

しかしなぜ春秋(チュンチュ)が?
善徳(ソンドク)女王の疑問に 竹方(チュクパン)が耳打ちする
最近 春秋(チュンチュ)公は乗馬に夢中なのだと

『金庾信(キム・ユシン)の部隊が まもなく帰還します!』

凱旋する庾信(ユシン)の行列を 民が歓喜の声で迎える
庾信(ユシン)の横には月夜(ウォルヤ)

『雪地(ソルチ)の姿が見えないな』
『戦に参加出来ず いじけているのでしょう』

司量部(サリャンブ)の尋問室に 雪地(ソルチ)の姿があった
大声で叫び続ける雪地(ソルチ)の近くで サンタクが兵を整列させている

そこへ 宝宗(ポジョン)が走って来る

『司量部令(サリャンブリョン)!

黒歯国の使臣が訪問した時に領客府(ヨンゲクフ)が出した報告書です!』

※司量部令(サリャンブリョン):王室の全ての部署を監察する部署の長
※黒歯(こくし)国:フィリピン
※領客府(ヨンゲクフ):使臣の応接や外交業務を担当する部署

『スウルブ公は?』
『大等(テドゥン)ゆえ 司量部令(サリャンブリョン)が直接取り調べを!』
『行こう』

雪地(ソルチ)とは別の尋問室に スウルブ公が捕らわれていた
毗曇(ピダム)は 司量部令(サリャンブリョン)としてその前に座る

賞賜署(サンサソ)で 内容の異なる帳簿が2冊見つかった件で
大正(テジョン)のスウルブ公が 厳しい取り調べを受けている
戦死した兵士の身元確認は困難を極めていると訴えるスウルブ公
しかし毗曇(ピダム)は それをいいことに戦死者の報奨金を
官吏達で山分けしているのではないか?と嫌疑をかけているのだ

※賞客署(サンサソ):国家功労者への報償と賞勲業務を担当する部署
※大正(テジョン):賞客署(サンサソ)の長官

『改革は上から行い 救済は下から行う
それが陛下のお考えです お分かりですよね?』
『…承知いたしました』

執務室に戻った毗曇(ピダム)を待っていたのは
薛原(ソルォン) 宝宗(ポジョン) 廉宗(ヨムジョン)だ
新たに建立する寺についての報告と
高句麗(コグリョ)の政情についての報告を受ける

※高句麗(コグリョ):三国時代に朝鮮半島北部で栄えた国

続いて宝宗(ポジョン)が 庾信(ユシン)公が帰還したので
すぐにも雪地(ソルチ)の件が伝わるだろうと話す

『まだ証拠も無く 全容もつかめていません』
『庾信(ユシン)の戦勝を祝ってやらねばな!どこにいる?』
『陛下が祝勝会を開くそうなので そこかと
いやあ 庾信(ユシン)軍の凱旋で街は大盛り上がりだそうですよ!』
『庾信(ユシン)軍だと?!』

“庾信(ユシン)軍”という 廉宗(ヨムジョン)の何気ない発言に
薛原(ソルォン)と宝宗(ポジョン)が凍りつく
神国に庾信(ユシン)軍など存在しない!兵は全て陛下のものだ!…と

金庾信(キム・ユシン)を出迎える毗曇(ピダム)
百済(ペクチェ)軍について話を聞きながら 和気あいあいと語らい
互いの労をねぎらう2人

庾信(ユシン)が立ち去った後 凍りつくような無表情になる毗曇(ピダム)
その足で 善徳(ソンドク)女王の執務室へ

監察事項について報告するが いずれも明確な証拠は見つかっていない
この 多少度を超えた取り調べも 毗曇(ピダム)にとっては“警告”という認識だ

『俸禄の1割までは目をつぶる それを超えたら捕えよ』
『はい 次は… 例の問題ですが どうしますか?』

祝勝会の宴の席では 皆が口々に苦労話や自慢話を繰り広げる

そこへ 内省(ネソン)の大舎(テサ)となった竹方(チュクパン)が
サンタクを連れて現れる

※大舎(テサ):内省(ネソン)の3番目の官職
 

着席するよう促され 宴席に座る竹方(チュクパン)
しかし サンタクが座るべき席が無い
これをきっかけに 司量部(サリャンブ)を笠に着るサンタクと
竹方(チュクパン)や高島(コド)達が言い合いになる…!

騒ぎの中で 月夜(ウォルヤ)の姿が見えないと気にする庾信(ユシン)
谷使欣(コクサフン)が 雪地(ソルチ)を探しに行ったと答える

雪地(ソルチ)が司量部(サリャンブ)に捕らわれていることも
司量部(サリャンブ)の矛先が 自分に向かいつつあることも
この時はまだ 何も知らない庾信(ユシン)であった

善徳(ソンドク)女王の執務室では
毗曇(ピダム)が 庾信(ユシン)を取り調べる件について 許可を願い出る

『確証は?』
『いえ』
『ならば許可出来ぬ 但し… 調査は続けよ』

一方 夏宗(ハジョン)は仕事もせず吞んだくれている
それをなだめる美生(ミセン)

『叔父上は腹など立たないでしょうね!
礼部令(イェブリョン)のまま何も変わってないんですから』
『子が100人もいては死ぬことも出来ない!生きていくしかないのです』

※礼部令(イェブリョン):外交及び儀式を司る礼部(イェブ)の長官

弟の毗曇(ピダム)や宝宗(ポジョン)が取り立てられる中
夏宗(ハジョン)は要職にも就けず 酒に溺れる日々だった
そもそも能力の無い夏宗(ハジョン)が 上の地位にいたこと自体問題だったと…
美生(ミセン)は やれやれという表情で愚痴の聞き役に徹していた

夜更けに 兵士を招集する毗曇(ピダム)
兵士を率いるのは宝宗(ポジョン)
各部署に立ち入り 司量(サリャン)の札を見せつける…!

男を連行していく宝宗(ポジョン)を
かつての花郎(ファラン)仲間が見ている

『近頃の司量部(サリャンブ)は飛ぶ鳥を落とす勢いだな!
陛下が後ろ盾とあって毗曇(ピダム)も勢いづいてる!』
『言葉に気をつけろ!聞かれたら大変だぞ!』

その頃 ようやく庾信(ユシン)は
雪地(ソルチ)が捕らわれたことを知る
兵部(ピョンブ)の一同が 司量部(サリャンブ)の横暴ぶりを訴え
庾信(ユシン)から毗曇(ピダム)に掛け合って欲しいと懇願する

そこへ 兵部(ピョンブ)で最も下っ端のチャンギが戻って来た
雪地(ソルチ)が捕えられたと聞き 異常に驚くチャンギ
そのチャンギも 会議の後 司量部(サリャンブ)に待ち伏せされ連行された
同じ時 宝宗(ポジョン)が連行した男が 廉宗(ヨムジョン)の前に引き摺り出される

『一体何の罪で捕らえたのです?ちゃんと教えるべきでしょう!』
『それをこれから調べるんですよ 無実と仰るなら心配せずにご協力を!』
 

金庾信(キム・ユシン)が 毗曇(ピダム)に掛け合うが
毗曇(ピダム)は 司量部令(サリャンブリョン)の立場を主張し
詳細を話すことも 捜査を中断することも出来ないと突っ撥ねる
しかし拷問することは無いし 無罪と分かればすぐに釈放すると明言した

『私情を挟み過ぎたようだ 部下を思う気持ちを分かってくれ』
『いいんだ しかしこれは国のための仕事なんだ』

司量部(サリャンブ)を出る金庾信(キム・ユシン)を引き止める声
久々に会う庾信(ユシン)と閼川(アルチョン)
上将軍(サンジャングン)と侍衛府令(シウィブリョン)になった2人は
今ではもう 滅多に会うことも無いのだ
宮中の職務ばかりで 血が騒ぐばかりだとこぼす閼川(アルチョン)

『侍衛府令(シウィブリョン)が職務に不満があると陛下に報告するぞ!』
『こいつ!』
『アハハハ…』

廉宗(ヨムジョン)が 執務室の毗曇(ピダム)のもとへ報告にやって来ると
何やら不思議なものを書いているのに気づく
毗曇(ピダム)が紙に書いているのは
絵のような文字のような不思議なものだが…

『これは… 暗号?』
『ああ 伽耶人のな』

かつて 復耶会の行動を探っていた時 毗曇(ピダム)は気づいたのだ
師匠文弩(ムンノ)から教えられた暗号が 復耶会のものだと…

毗曇(ピダム)はまず 自ら書いた復耶会の暗号文を持ち
兵部(ピョンブ)で捕らえたチョングムのいる尋問室へ

『チャンギをしってるか? …ああ お前達の組織では互いを知らなかったか
これはチャンギが書いたものだ』
『何のことか分かりません』
『読めるだろ?とぼけるなよ 読め!』

続いて隣の尋問室のチャンギのもとへ

『チョングムが全部しゃべったぞ ああ お前達は互いを知らなかったな
これはチョングムが書いたものだ』
『……何のことか…分かりません』
『さっきチョングムが言ってたぞ
“伽” “耶” “一” “存” 伽耶は1つって意味だとな!』

善徳(ソンドク)女王の前に立つ金庾信(キム・ユシン)
今回の戦功について 特に高島(コド)の輝かしい変貌について称賛する
それぞれの部下についても細かに評し称える善徳(ソンドク)女王
部下を褒められ 満面の笑顔で皆の長所を挙げていく庾信(ユシン)

ふと 庾信(ユシン)から視線を逸らす善徳(ソンドク)女王

『そんなにも皆を… 固く信じているのですね』
『信じているからこそ命を懸けられるのです』

庾信(ユシン)は視線を逸らさない

『陛下は… 信じておられぬのですか?』
『いいえ この徳曼(トンマン)は… 庾信(ユシン)を固く信じている』

敢えて “徳曼(トンマン)”の名を持ち出した善徳(ソンドク)女王
含みを持たせた言い方をした本意は…

尋問室に入れられた者たちは
毗曇(ピダム)の巧みな話術で その正体が暴かれていった
宝宗(ポジョン)が連行した男だけが 1人牢に入れられている
そこにもう1人 男が入れられた

『もしや…』
『シッ…!』

後から入れられた男は辺りを窺い 床に指で六角形の暗号を書き示す

それが六卵亀(ユンナングィ)だとすぐに分かった男…!

※六卵亀(ユンナングィ):伽耶を象徴する6つの卵を持つ亀

『どういうことですか?』
『復耶会のどの支部から?』
『東市(トンシ)からです そちらは?』

すると突然 後から入って来た男が外に向かい
『済みました!』と叫んだ
男は出て行き 入れ替わりに毗曇(ピダム)と廉宗(ヨムジョン)が…!

その頃 善徳(ソンドク)女王は 去って行く庾信(ユシン)を見送っていた
傍らに仕える閼川(アルチョン)も 同じように庾信(ユシン)の背中を見つめ
阿莫(アマク)城の戦いを思い出すと 今こうしていることが
本当に感慨深いと呟くのだった

翌日
久々に両親を訪ねる金庾信(キム・ユシン)
大将軍(テジャングン)である父 金舒玄(キム・ソヒョン)と
母 万明(マンミョン)夫人が出迎える

司量部(サリャンブ)の悪評は 舒玄(ソヒョン)の耳にも届いていたが
あくまでも美室(ミシル)勢力への牽制だと擁護する庾信(ユシン)

『任務の性格上 誤解を受ける組織ですが
毗曇(ピダム)に良からぬ考えはありません』

そこへ 庾信(ユシン)を訪ね隊大監(テデガム)高島(コド)が
大風(テプン)と谷使欣(コクサフン)を引き連れて現れ
チャンギが連行されたと報告する…!

一方 月夜(ウォルヤ)は 報告の者と言葉を交わしている
部下が数人連行された件で 詳細を調べているようだ

『お前も用心しろ』
『はい』

報告の者が立ち去って間もなく
月夜(ウォルヤ)は 廉宗(ヨムジョン)率いる兵士達に取り囲まれた…!

同じ時 執務室に戻った庾信(ユシン)を 各部署の者達が待っていた
司量部(サリャンブ)の横暴さを 陛下にも報告すべきだとの嘆願であった
執務室を出た庾信(ユシン)は 言い合う声に足を止める!

月夜(ウォルヤ)と廉宗(ヨムジョン)の間に割って入る庾信(ユシン)…!


『何の疑いで連行するのだ!』
『内容を話すことは出来ません
よろしいのですか?国法に逆らうことは陛下のご迷惑になりますよ
司量部(サリャンブ)はこれまで 無実の罪を着せたことはございません!』

竹方(チュクパン)が 金春秋(キム・チュンチュ)を訪問している

『いくら司量部(サリャンブ)とて 陛下の許可無く傍若無人は出来まい』
『ええ 陛下もご承知の上で…ということです』
『ならば義に背いてはおらぬし 庾信(ユシン)公も同じく…ということに』
『一体 陛下は何故こんなことをお許しに?』
『庾信(ユシン)公と毗曇(ピダム)…どちらをより信頼しておられるか…だな』

月夜(ウォルヤ)を連行していく廉宗(ヨムジョン)の前に
林宗(イムジョン) 高島(コド)達が現れ取り囲む!
廉宗(ヨムジョン)の合図で兵士が現れ 更に周囲を取り囲む…!

今にも廉宗(ヨムジョン)に掴みかかりそうな高島(コド)
それを止めたのは 金庾信(キム・ユシン)だ
毗曇(ピダム)に会い 直談判する庾信(ユシン)

監察機関の司量部(サリャンブ)が恨みを買うのは当然だと
悪びれる様子も無い毗曇(ピダム)

『軍の士気を下げるつもりか!』
『軍の士気?庾信(ユシン)軍の?』
『司量部令(サリャンブリョン)!!!』
『陛下の許可は出てる 言いたい事があるなら陛下に言え!』

広く徐羅伐(ソラボル)を見渡す位置に 善徳(ソンドク)女王は座している
以前は美室(ミシル)が座していたその場所に…
深く目を閉じ考え込む善徳(ソンドク)女王に 閼川(アルチョン)が声をかける

『上将軍(サンジャングン)が謁見をと申し出ています』
『…通して』

通された金庾信(キム・ユシン)に
表情を変えることなく『どうしましたか?』と聞く善徳(ソンドク)女王
庾信(ユシン)は 何故月夜(ウォルヤ)が捕えられたのか?と率直に聞く 

 

『月夜(ウォルヤ)を捨てなさい いえ伽耶を…伽耶を捨てるのです』
『……それはどういう…』

善徳(ソンドク)女王は立ち上がり 真正面から庾信(ユシン)を見据えた
これまで 伽耶出身の者を要職に就け 土地を返し 税も減免した

『なのになぜ…』

善徳(ソンドク)女王の目には涙が滲んでいる
そして 昨夜連行した者達は 暗躍していた復耶会の者達であると…!

この事実を知った夏宗(ハジョン)と美生(ミセン) 薛原(ソルォン)は
庾信(ユシン)の武器とも言える復耶会を 解体することは難しいと
毗曇(ピダム)はそのことも考慮し 庾信(ユシン)を追い詰めたのだと…!

『何と恐ろしい…大義に背くことなく庾信(ユシン)を排除するとは…』
『まるで“あの方”を見ているようだ あの“懐かしいお方”にそっくりではないか』
『ええ 実によく似ている “あのお方”に』

復耶会の暗躍の事実を告げられた金庾信(キム・ユシン)は
善徳(ソンドク)女王の前に跪いた

『陛下!恐れながら申し上げます! 伽耶の民は…』

自らの口からこぼれた言葉に驚く庾信(ユシン)
善徳(ソンドク)女王は このひと言に激怒する…!

『この世の何処に伽耶の民がいる!!!
すべて神国の民であり私の民だ!!!!! 毗曇(ピダム)!』
『ここに!』
『調査の結果を…!』

チラと庾信(ユシン)を見た毗曇(ピダム)は
未だ怒りに震えている善徳(ソンドク)女王の前に立ち 報告する

『復耶会の綱領が見つかりました 長は月夜(ウォルヤ)と判明
現在は 各界に潜む密偵を捜索中です』

庾信(ユシン)を睨みつける善徳(ソンドク)女王

『陛下 司量部令(サリャンブリョン)毗曇(ピダム)が進言いたします!
月夜(ウォルヤ)が長と判明した以上 庾信(ユシン)との関係も調べねば!
上将軍(サンジャングン) 金庾信(キム・ユシン)取り調べのご許可を!!!』


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