善徳女王 第44話 それぞれの思惑
『伝統を盾に 和白(ファベク)会議だけが満場一致の原則を採り
大等(テドゥン)達の利害に合わねば 常に否決されてきました
これだから この神国は発展することが出来ないのです
上級貴族の私腹を肥やすだけの悪習を廃し
和白(ファベク)会議を 多数決の原則にすることを提議します!』
※和白(ファベク)会議:新羅(シルラ)の貴族会議
※大等(テドゥン):新羅(シルラ)の中央貴族の核心層
『そうだそうだ!』
『王女様の言う通り!』
『多数決にするべきだ!!!』
民衆が騒ぎ出し 否決にしながらも上級貴族は非難を受けないという
美室(ミシル)の策は崩された
視線が合う美室(ミシル)と徳曼(トンマン)王女
微かに笑顔が歪む美室(ミシル)とは対照的に
今度は徳曼(トンマン)王女が微笑む
和白(ファベク)会議では 反対票を投じた者が1人いて否決されたと
廉宗(ヨムジョン)の報告を受ける毗曇(ピダム)
同席している春秋(チュンチュ)が 面白い!という表情になり
毗曇(ピダム)もクスッと笑う
さらに廉宗(ヨムジョン)の報告は続く
徳曼(トンマン)王女が 多数決の原則への変更を提議したと
これを良策と言い切る春秋(チュンチュ)に 毗曇(ピダム)が首を傾げる
『中小貴族と民の絶望を助長させるのか?』
『怒りの矛先が和白(ファベク)会議に向く
和白(ファベク)会議など役に立たないと 皆が思うように仕向けたんだ』
会議の結果は 賛成2票 反対8票で否決された
ざわめく傍聴の人々…
安堵する者 落胆する者 困惑する者 ほくそ笑む者…
美室(ミシル)は ただ静かに微笑んでいる
徳曼(トンマン)王女は 真っ直ぐに美室(ミシル)を見つめた
(璽主(セジュ) これで勝ったとお思いですか?)
(おあいこですね 王女様)
退場して来た貴族達が 口々に嘆きながら歩いている
『今回のことで はっきりと分かりました
和白(ファベク)会議では何ひとつ変えられません…!』
そこへ現れた美室(ミシル)
貴族達は恭しく頭を下げるが…
一方 花郎(ファラン)達の間でも反応が分かれていた
上級貴族の息子と中小貴族の息子が真っ向から対立している
朴義(パグィ)が取り成そうとするが 両者とも耳を貸そうとしない
そこへ石品(ソクプム)が現れ 皆を一喝した
龍春(ヨンチュン)公と金舒玄(キム・ソヒョン)が 王室に報告する
『上級貴族に不利になることは決して可決されないと
証明したのだな …うっ!うぅ…!ゲホッ…!』
急に咳き込む真平(チンピョン)王!
同じ時 美室(ミシル)と徳曼(トンマン)王女が向き合っていた
『700年もの伝統ある制度です』
『それでも 今の時代にはそぐわない制度です』
『だとしても… 考えてみてください
王女様も 満場一致の恩恵を受けています』
徳曼(トンマン)王女を 政務から退かせようとする動きがあった
もしこれが実際に議案として挙げられたら…と話す美室(ミシル)
満場一致の原則により否決され 立場を守ることが出来るだろうと…
『そうですか… 私も恩恵を受けていたとは』
『制度や律令というものは 諸刃の剣なのです
敵を傷つけると同時に自らをも傷つける 制度や律令は…』
話そうとして ふと我に返る美室(ミシル)
どうも王女を相手にすると 話さなくていいことも話してしまう
そう言って 笑いながら去って行く美室(ミシル)だった
否決はされたものの もし可決になっていたら…と考える者は多い
花郎(ファラン)達の間でも 穀物高騰の件で大損害を食らい
租税改革案が否決になったことで さらに損害を受ける者がほとんどだ
石品(ソクプム)の一族も大損害を被ったが
美室(ミシル)への忠誠心を 頑なに貫く姿勢を崩さない
『ここにこうしていられるのも 領地を持てるのも
すべて璽主(セジュ)様のおかげなんだ! 忘れるな!!!』
美室(ミシル)と世宗(セジョン)を前に 苛つく夏宗(ハジョン)
王女のせいで中小貴族の不満が募り 大騒ぎになっていると…!
『700年の歴史ある満場一致の原則を廃止するなんて!』
『いいえ いずれは廃止すべきものです』
『璽主(セジュ)… どういうことです?!』
『私が大業を成した時 最初にすべきことは
和白(ファベク)会議を廃止することです 今はまだ必要ですが…』
世宗(セジョン)と夏宗(ハジョン)父子には さっぱり分からなかった
こういう美室(ミシル)の思惑を理解出来ないところが
薛原(ソルォン)との決定的な違いだった
徳曼(トンマン)王女の執務室では
和白(ファベク)会議を廃止すべきと主張する春秋(チュンチュ)に対し
閼川(アルチョン)が まったく理解を示そうとしない
すると徳曼(トンマン)王女が…
『激動の時代が始まろうとしています
和白(ファベク)会議を廃止することは 私も考えていました
今後は 迅速な決定と推進力が必要となってくるでしょう』
美室(ミシル)の執務室
薛原(ソルォン)が 自ら書いた書状を美室(ミシル)に手渡す
『自分が立てた計画をご覧いただきたい』 と
同席する世宗(セジョン)と夏宗(ハジョン)父子が ポカンと見ている
書状を読んだ美室(ミシル)は…
『随分と卑劣な計画ですこと』
『もちろんです 本当はもっと…卑劣極まりない計画でなければなりません』
『考えてみましょう』
美室(ミシル)は 目の前のロウソクの炎で書状を焼いた
いつものように 高台から徐羅伐(ソラボル)を眺める美室(ミシル)
そこへ美生(ミセン)がやって来て『姉上らしくない』と釘を刺す
『世間は姉上を 非難したり恐れたりしますが
道理に外れるようなことはしたことがありません
しかし今回のことは 明らかに道理に外れた行為です!』
立ち上がる美室(ミシル)
『1度だけ…道理に外れたことをしました
斯多含(サダハム)公と恋に堕ち 全てを捨てて逃げようとした
今のこの気持ちは 斯多含(サダハム)公を慕う気持ちに似ています
道理に外れても構わない すべてを失ってでも夢を追いたいのです』
金庾信(キム・ユシン)が徳曼(トンマン)王女を呼びに来た
花郎(ファラン)のピルタンとワンニュン
それぞれの父親が面会を求めているのだという
いずれも領地5,000束未満の小貴族だが
感謝を伝えると共に 今後も協力を惜しまないという意思表示のためであった
徳曼(トンマン)王女は 今一度 和白(ファベク)会議の改革の必要性を訴え
感謝の言葉を述べ 今後とも支援と協力をと要請した
満足そうに微笑む徳曼(トンマン)王女
それを見守る庾信(ユシン)
しかし ピルタンの父チュジン公は…
『あちらはどんな様子でしたか?』
『和白(ファベク)会議の改革に協力をと要請されました』
『チュジン公 惑わされてはいけません これは王女の策略です』
『それは分かりますが…私も命懸けなのです』
『上州停(サンジュジョン)は徐羅伐(ソラボル)の秩序を守る責任がある
どうか大義に背かないでいただきたい』
『……世宗(セジョン)公を信じます』
※上州停(サンジュジョン):上州(サンジュ)に置かれた軍営
夜更けの山中で 手下と共に誰かを待っている様子の廉宗(イムジョン)
そこへ 1つの輿が運ばれてくる
中から降り立った人物を見て 廉宗(ヨムジョン)は慌てて跪く!
輿から現れたのは 美室(ミシル)だ
初対面の廉宗(ヨムジョン)に 弟が世話になっていると言葉をかけ
明日から2日間 毗曇(ピダム)を連れ遊山に出るようにと命ずる
巾着袋を 廉宗(ヨムジョン)に向って放る
『も…もしも拒まれたら?』
『その時には…力づくにでも』
ギロリと睨む美室(ミシル)に それ以上は何も問えない廉宗(ヨムジョン)
その頃 薛原(ソルォン)は 龍春(ヨンチュン)公の屋敷を訪ねていた
思いがけない来客に戸惑う龍春(ヨンチュン)公
その真意を測りかね押し黙る
同じ時 夏宗(ハジョン)は 金舒玄(キム・ソヒョン)の屋敷に上がり込んでいた
いつになく馴れ馴れしい振舞いに 戸惑う舒玄(ソヒョン)
そこへ 庾信(ユシン)の妻となった領毛(ヨンモ)が…
『父上 おいで下さったのですね こんな夜更けにどうしたのですか?
お前の婿殿の顔を見に来たのだ それより…いつ生まれるのだ?順調か?』
恥ずかしそうに下を向く領毛(ヨンモ)
嫁いだ娘を按じての訪問だと 疑いもしない舒玄(ソヒョン)
一方 龍春(ヨンチュン)公の屋敷では 酒の用意がされたところだった
舒玄(ソヒョン)とは違い 最初から怪しんで警戒する龍春(ヨンチュン)公
薛原(ソルォン)は 春秋(チュンチュ)公のことで…と切り出した
『世宗(セジョン)公のことですか?』
『他意は無いと いくら言っても信じていただけず…』
『……』
『実のところ龍春(ヨンチュン)公も…
春秋(チュンチュ)公を王にしようとお考えなのでは?』
サッと顔色が変わる龍春(ヨンチュン)公!
『な…何が言いたのですか?!』
『私達は… 自らの意思とは関係なく 同じ船に乗ってしまったのです』
考え込む龍春(ヨンチュン)公
薛原(ソルォン)の左の掌には ある薬が…
賭博場では
抵抗する毗曇(ピダム)を 無理矢理脇道に連れ出す廉宗(ヨムジョン)
殺気立ったら何をするか分からない毗曇(ピダム)を騙すなど
廉宗(ヨムジョン)にとっても 命懸けの行為だった
『ふざけてんのか?!話って何だ!』
怯え切って 今にも泣き出しそうな廉宗(ヨムジョン)を突き放し
顔の前に剣を突き出す毗曇(ピダム)!
『死にたいのか!正直に話せ!』
『酒が入らないと話せそうにない 1杯だけでいいから…』
すべてのことが同時に起きていた
夏宗(ハジョン)は 舒玄(ソヒョン)が席を外した隙に酒の中に薬を入れる
指を突っ込み手早くかき回し 薬が溶けたところで舒玄(ソヒョン)が戻った
こちらは 世宗(セジョン)と柒宿(チルスク)に呼びだされた石品(ソクプム)
神国のためだと 不可解な命令を受け困惑している
そんな石品(ソクプム)の前に立ち 上衣を脱ぐ世宗(セジョン)
『何をしておる 始めるのだ!』
美室(ミシル)のもとへ 最初に戻って来たのは薛原(ソルォン)だった
命じられた物を懐から出し 渡そうとしてためらう
『なぜこれが必要なのですか?』
『薛原(ソルォン)公の不安を取り除くための物です
そして 私の不安を紛らわせるためでもあります』
『どういうことですか?』
『今回は 失敗するかもしれません』
『……では』
『はい 毗曇(ピダム)です
今夜は…長い夜になるでしょう あの夜のように…』
美室(ミシル)の不可解な行動から一夜明けた早朝
1人の郎徒(ナンド)が金舒玄(キム・ソヒョン)の屋敷を訪ね
万明(マンミョン)夫人が対応する
緊急に和白(ファベク)会議が開かれると伝えに来た郎徒(ナンド)
しかし舒玄(ソヒョン)は 深く寝入っていて起きる気配がない
『それでは 印をお願いします』
同時にサンタクが 世宗(セジョン)に報告している
和白(ファベク)会議の招集状を 龍春(ヨンチュン)公宅に届けたが
泥酔して眠っており 本人には会えなかったと
『そうか それで印はもらったのか?』
『はい』
金舒玄(キム・ソヒョン)の屋敷
何度声をかけても起きない夫に痺れを切らし
先程届けられた書状を見てしまう万明(マンミョン)夫人
その内容を読み 驚愕する…!
同じ時 龍春(ヨンチュン)公もまた ようやく目覚め
卓上に置かれた書状を発見していた
毗曇(ピダム)は 廉宗(ヨムジョン)の根城の椅子に縛られている
目の前には うろたえる廉宗(ヨムジョン)が…
厳重に縛られた状態で暴れ出し 喚き散らす毗曇(ピダム)!
ようやく目覚めた金舒玄(キム・ソヒョン)は 愕然としている
万明(マンミョン)夫人は 状況を理解し絶望的になる
書状には すべての政務から王女の権限を奪うための会議を開くとあったのだ!
徳曼(トンマン)王女の執務室には 大風(テプン)が報告に来ていた
『王女様が留守の時に…』と動揺するが
龍春(ヨンチュン)公と舒玄(ソヒョン)公がいる限り
可決されることは無いと断言する月夜(ウォルヤ)と雪地(ソルチ)
しかし春秋(チュンチュ)は 何かがおかしい…と呟く
列仙(ヨルソン)閣に
龍春(ヨンチュン)公と金舒玄(キム・ソヒョン)を除く
8人の大等(テドゥン)が揃っている
全員が揃っていないが 時間通りに始めると宣言する世宗(セジョン)
原則に反するとの声が上がるが 夏宗(ハジョン)が…
『既に8名が揃っています この8人で満場一致の原則を守ればいい!』
『そんな…前例の無いことです!』
すると美生(ミセン)が 龍春(ヨンチュン)公と舒玄(ソヒョン)公からは
確かに書状を受け取ったという印を受けていると言い
それでも来ないということは 会議を放棄したのだと明言する…!
『律令にも 全員の出席が条件とは書いていません
ただ“満場一致の原則”と記されているだけです』
『では 会議を始めましょう』
最後まで抵抗していた大等(テドゥン)も賛成し 和白(ファベク)会議が始まった
会議に立ち会う王の側近が侍女に耳打ちし 事態が伝えられた
金庾信(キム・ユシン)と閼川(アルチョン)のもとには
谷使欣(コクサフン)が報告しに来た
『まさか8人で案件を通すと?!何と卑劣な…!』
『龍春(ヨンチュン)公と舒玄(ソヒョン)公は今どこに?!』
2人は 息せき切って列仙(ヨルソン)閣を目指していた
一方 廉宗(ヨムジョン)によって拉致された毗曇(ピダム)は
自由を奪われながらも 状況を把握しようと必死だった
なぜ美室(ミシル)が自分を拉致させたのか…
そしてなぜ 今日と明日の2日間なのか…
全身を固く縛っても それでも毗曇(ピダム)の威嚇に怯える廉宗(ヨムジョン)
『何で俺を拉致した!魂胆は何だ!!!』
『こ…魂胆なんてあるもんか! お前は一体 何者なんだ?
なぜ美室(ミシル)が動く? 本人がここへ来るなど今回が初めてだ!
今日と明日だと言ってたんだ! 一体何が?何があるってんだこの2日間に!』
この言葉にハッとなる毗曇(ピダム)
『早くこの縄をほどけ!』
『あ…頭が変になりそうだ!お前のことも怖いし!
お前を逃がせば美室(ミシル)を敵に回すんだぞ!!!』
『死にたいのかこの野郎!早くほどけ!!!』
『だったら俺を説得してみろよ!
美室(ミシル)を敵に回してもいいって思えるよう説得しやがれ!!!』
列仙(ヨルソン)閣に着いた金舒玄(キム・ソヒョン)だが 入口には兵士が…!
しっかりと腕を組み 中に入れないようにしている
遅れて龍春(ヨンチュン)公も到着した
同じ時 庾信(ユシン)と閼川(アルチョン)は
竹方(チュクパン)達 侍衛府(シウィブ)を招集していた
※侍衛府(シウィブ):近衛隊
昨夜遅く 龍春(ヨンチュン)公と舒玄(ソヒョン)公に酒を飲ませ
卑劣な手口で和白(ファベク)会議を欠席させた
その上で 徳曼(トンマン)王女を政務から退かせる案件を
8人の大等(テドゥン)で成立させようとしている…!
憤る竹方(チュクパン)と高島(コド)!
大風(テプン)も谷使欣(コクサフン)も!皆が怒り狂っている
『侍衛府(シウィブ)は私の指示に従え!』
『はい!!!』
この報告を受けた徳曼(トンマン)王女 同席している春秋(チュンチュ)
月夜(ウォルヤ)も雪地(ソルチ)も 皆が怒り心頭…!
美室(ミシル)も結局はこの程度なのだと 失望する春秋(チュンチュ)
雪地(ソルチ)は すぐにも駆けつけ会議を中止させましょうと意気込む
しかし徳曼(トンマン)王女は… 何かがおかしいと感じ取る
美室(ミシル)がここまで壊れる筈が無いと
月夜(ウォルヤ)は 案件を通したところで反発は想像を絶すると話す
これまで名分を重んじて来た美室(ミシル)なのに 結局は同じ人間だったと
『いいえ! 美室(ミシル)は自滅するような真似はしない!』
明確な答えは出せずとも 徳曼(トンマン)王女には確信があった
そして言いしれない不安に 涙さえ滲むのだった
8人の大等(テドゥン)により 会議が進行している
徳曼(トンマン)王女を 全ての政務から退かせようとする案件が
今にも可決されようとしていた…!
列仙(ヨルソン)閣の前では 居並ぶ兵士達を押しのけようとして
龍春(ヨンチュン)公と舒玄(ソヒョン)公が必死になっていた
そこへ庾信(ユシン)と閼川(アルチョン)率いる侍衛府(シウィブ)が雪崩れ込む!
一斉に剣を抜く侍衛府(シウィブ)達に 恐れをなす兵士達だが
それでも突破されまいと 固く腕組みをしている!
一方 まだ縛られたままの毗曇(ピダム)は絶叫していた
『王女様が危険なんだ!!!時間が無い!!!
この状況を打開出来るのは俺だけなんだ!!!
庾信(ユシン)も閼川(アルチョン)も騙されてるんだーーーっ!』
『何だと?!』
侍衛府(シウィブ)が兵士を排除している頃 徳曼(トンマン)王女のもとへは
チュジン公の軍勢が徐羅伐(ソラボル)に向って進軍中との報告が…!
そこへ 侍衛府(シウィブ)が列仙(ヨルソン)閣に突入したとの報告は入る
これを聞いた徳曼(トンマン)王女は愕然とし 春秋(チュンチュ)と目を合わせる
『すぐにやめさせなければ!!!』
必死に廉宗(ヨムジョン)を説得する毗曇(ピダム)
これは美室(ミシル)の“軍事政変”なのだと言い放つ…!
『何だって?軍事政変?!』
『だからほどけ!早くしろ!!!』
庾信(ユシン)と閼川(アルチョン)の先導で 列仙(ヨルソン)閣に入った2人
賛成8人 反対2人となり 案件は否決された
そこで目配せする世宗(セジョン)と美生(ミセン)
『和白(ファベク)会議に剣を持って突入とは何のつもりだ!!!』
ハッとする庾信(ユシン)と閼川(アルチョン)
夏宗(ハジョン)が立ち上がり 怒鳴り散らす
『風月主(プンウォルチュ)と侍衛府(シウィブ)が武装して?!
おい!お前達!!! これは反逆罪だぞ!!!』
列仙(ヨルソン)閣へ急ぐ徳曼(トンマン)王女と春秋(チュンチュ)
美室(ミシル)のもとには宝宗(ポジョン)が報告に…
『今 突入しました』
『わかりました では始めましょう』
薛原(ソルォン)が兵部(ピョンブ)を動員する
列仙(ヨルソン)閣では 世宗(セジョン)が更に追及している!
『これまで列仙(ヨルソン)閣に武装兵が乱入したことは無い!
逆賊キルソンさえ!和白(ファベク)会議には手出し出来なかった!
それをお前達は!武器を持って乱入したのだ!!!』
※キルソン:阿達羅(アダルラ)王の時代に反乱を起こした逆賊
今更ながらに剣を鞘に納める2人
兵士達が侵入を阻止していたのだと反論する閼川(アルチョン)だが…
『おいおい!剣を持っていた兵士がいたか?!』
狼狽する2人
夏宗(ハジョン)の追及に言葉も無い
外の様子が騒がしい
兵部令(ピョンブリョン)薛原(ソルォン)が 兵部(ピョンブ)を指揮し
侍衛府(シウィブ)を包囲したのだ
※兵部令(ピョンブリョン):新羅(シルラ)の軍の長官
互いに剣を向け合う侍衛府(シウィブ)と兵部(ピョンブ)
そこへ庾信(ユシン)と閼川(アルチョン)が駆け付け
侍衛府(シウィブ)に武装解除を命ずる
蒼白になり 列仙(ヨルソン)閣へ急ぐ徳曼(トンマン)王女
庾信(ユシン)は薛原(ソルォン)に懇願する
『武装して乱入した風月主(プンウォルチュ)が今更なんだ!!!』
『分かりますがしかし… 今は大等(テドゥン)達を安全な場所へ』
閼川(アルチョン)が今一度 侍衛府(シウィブ)に号令をかけ
鞘に納めた剣を地面に置かせ 兵部(ピョンブ)もまた武装解除する
世宗(セジョン)を先頭に 外へ出て来る大等(テドゥン)達
すると 屋根の上で1人の兵士が弓を構えている!
矢が放たれ 見張りの兵士が倒れた
それが引き金となり 再び乱闘が始まる…!
もはや制止の声を聞く者は誰もいない
『大等(テドゥン)達を守れ!!!』
石品(ソクプム)が率先して世宗(セジョン)の隣へ…
懐から 密かに短刀を取り出す石品(ソクプム)
世宗(セジョン)と柒宿(チルスク)に呼ばれた時に 入念な打ち合わせが行われたのだ
「肋骨の8番目と9番目の間 ここを正確に浅く刺せ」
一瞬の目配せの後 石品(ソクプム)は指定の位置を短刀で刺した…!
その直後に 自ら大声で叫び出し その声に皆が注目する!
『上大等(サンデドゥン)が殺されたーーーっ!!!』
既に 徐羅伐(ソラボル)の近くまで進軍しているチュジン公の軍勢
和白(ファベク)会議に侍衛府(シウィブ)が武装して乱入!
そして更には上代等(サンデドゥン)が殺されたとの報告に…!
『これは政変だ! この政変の鎮圧をすべく!
全軍徐羅伐(ソラボル)へ向け進軍するぞーーーっ!!!』
徳曼(トンマン)王女は 春秋(チュンチュ)の手を掴んだ
『これは… 政変だ
美室(ミシル)の… 乱だ』
