クリップ 宮廷女官 若曦 第5話 馬上に消えた恋 クリップ

第13皇子が第14皇子に “自由と平等”について話す
人は皆 生まれながらに平等であり 身分の違いも無い
もちろん民族の区別も無く 自由に自分の人生を決められると

すべて若曦(ジャクギ)から聞いた思想の話だが… この時代では通用しない
第14皇子は驚き 人は皆生まれながらに天子の臣下だと反論した
そんな儒教の教えに反する思想など!と怒り出す

『奇妙な思想だが “理想郷”じゃないかとも思える “現代人”の思想らしい』
『現代人?!』

そんな中 明玉(メイギョク)が 馬術競技で見事な演技を披露する
満州族である郭絡羅(カクラクラ)家の馬術は 宮中でも評判なのだという
皇太子にまで褒められご満悦の明玉(メイギョク)は
さっそく馬爾泰(バジタイ)家の姉妹に突っかかる
馬爾泰(バジタイ)将軍の令嬢として 軍営で生まれ育ったのだから
当然馬術も得意だろうとけしかけるが…
若曦(ジャクギ)は馬術どころか馬に乗ることすら出来ない

けしかけるに留まらず 姉妹を口汚く侮辱する明玉(メイギョク)
嗜めようとする第8皇子だが 意外にも若蘭(ジャクラン)が馬術を披露すると…

軍営で育った若蘭(ジャクラン)の馬術は 明玉(メイギョク)をも凌ぐ圧巻!
妙技に見惚れながらも こんな勇ましい活気溢れる側福晋の姿に
第8皇子は驚きを隠せず 戸惑いすら覚えるのだった
絶賛されながら馬を降りた若蘭(ジャクラン)は 悲し気な表情で立ち去った

後を追った第8皇子は 心を開こうとしない若蘭(ジャクラン)を
何とか振り向かせようとするが 礼儀正しい挨拶が返って来るばかり
第8皇子の想いが 若蘭(ジャクラン)の心に届くことは無かった

一方 あの夜以来の再会となった若曦(ジャクギ)と第13皇子は…

第10皇子と妻の明玉(メイギョク)を 互いの想い人だと誤解していた2人
誤解が解けたのはいいが 今度はどうして辛そうな表情だったのかが気にかかる

第13皇子が辛そうだったのは あの日が母親の命日だったからだという
父親である陛下は すでに亡くなった側室のことなど思い出すことも無いのだと
若曦(ジャクギ)もまた 第10皇子に対する気持ちを話す
恋仲ではなくとも仲良くなれる 男女の間でも“真の友情”は結べる筈だと

第13皇子は 若曦(ジャクギ)の考え方に深く感じ入った
自分もまた 若曦(ジャクギ)に対し友情を感じ始めていたのだ
そして 自分が親しくしている芸妓のもとへ連れて行く
人は皆誰しも平等だとする若曦(ジャクギ)には 芸妓であろうと問題は無い
第13皇子もまた そう感じたからこそ会わせようと思ったのだ

芸妓の名は緑憮(りょくぶ)
絶世の美女であり 気品と知性が感じられた

時を忘れ語らいながら 2人も知己を得たと感動する若曦(ジャクギ)
まだこの時代にはない“自由主義”の思想に意気投合し話は弾む
若曦(ジャクギ)はその夜もまた 酒に酔い帰ることに
若蘭(ジャクラン)はもう 叱る言葉さえ見つからない

姉は思い悩むと 読経するか乗馬の屏風を見つめるか…だ
この屏風に描かれている馬上の男性は誰なのか 思い切って聞くと
若蘭(ジャクラン)は 乗馬を教えてくれた人だと答えた
いつも黙して語らない姉が口を開いた…!
すると若蘭(ジャクラン)は 堰を切ったように思い出を語り始めた

若蘭(ジャクラン)は 乗馬を教えてくれた将軍を恋い慕っていた
ちょうどその頃 第8皇子が若蘭(ジャクラン)を側福晋にと申し出たのだ
婚姻は親が決めるという時代では逆らうことなど到底出来ない
嫁いで間もなく若蘭(ジャクラン)は身籠った
そこへ突然 将軍の死を知らされ 悲しみのあまり流産してしまったのだと

子を失ったことで夫婦の愛が冷めたのではない
第8皇子が将軍について調べたため 父親が将軍を最前線に送ったのだ
そのせいで将軍は戦死したのだと 若蘭(ジャクラン)は心を閉ざしてしまった

翌朝 若曦(ジャクギ)は第8皇子に呼ばれ執務室へ
昨夜の飲酒の件で責められるのだろうか…
第13皇子から すべての事情は説明されていたが
第8皇子は 若曦(ジャクギ)から直接聞きたいのだという
そして 荒々しく若曦(ジャクギ)の手を取り 腕輪をはめた
この腕輪の意味は何だろう…

朝食の席で 若曦(ジャクギ)の腕輪に気づく若蘭(ジャクラン)
とても珍しい鳳血玉というものだそうで 第13皇子からの贈り物だと誤解してしまう

※鳳血玉(ほうけつぎょく):鳳凰の血が岩に染まり出来たとされる伝説の玉

否定すれば では誰から?と聞かれるのが怖くて曖昧な返事をする若曦(ジャクギ)
すると若蘭(ジャクラン)は 思い合っていても思い通りにはならないかもと話す
その意味は痛いほど分かっている
違うのに…と思いつつ お妃選びそのものに嫌悪感を感じるのだった

第13皇子は 若曦(ジャクギ)がお妃候補であることを心配する
妃に選ばれれば 一生を宮中で過ごすことになる
もし落選したとしても 宮所として数年仕えねばならないのだ

何としても若曦(ジャクギ)の宮中入りを阻みたい第13皇子だが
緑憮(りょくぶ)は きっと逃れられないだろうという
両家に生まれた彼女が 父親の願いである宮中入りを拒める筈が無いと

いかに気が強く新しい思想を持ち合わせた若曦(ジャクギ)であろうと
この時代の流れに逆らうことは出来ないと…

一方 第8皇子は 新年を側福晋のもとで過ごすと言い出し
嫡福晋の明慧(メイケイ)が 失望をあらわにしていた
どんなに若蘭(ジャクラン)に思いを寄せたとしても
毎年 大みそかは一緒に過ごし新年を迎えるのが慣例であった
なぜ今年は… その原因が若曦(ジャクギ)であると思い込み
激しい怒りが込み上げる明慧(メイケイ)だった

※側福晋:清の時代の側室を指す
※嫡福晋:清の時代の正室を指す

大晦日の夜

若蘭(ジャクラン)は 第8皇子に頼み事をする
おそらくは宮中で暮らすことになる妹を按じ 便宜を図って欲しいと…
滅多に頼み事などしない若蘭(ジャクラン)だが 第8皇子にはそれが嬉しかった

さらに若蘭(ジャクラン)は 第13皇子との縁組を希望した
お妃選びに落選しようと いずれは嫁ぐ身であれば せめて妹には想い人と…

睡魔に負け椅子にもたれ寝入っていた若曦(ジャクギ)は すでに目覚めていた
自分のために頼み事をする姉を 不憫だと思い心が傷む
すると第8皇子が そろそろ戻ると言い出す
巧慧(コウケイ)たちが必死に泊まるよう願うが…
若蘭(ジャクラン)は無表情のまま 引き止めようともしない
第8皇子は寂しく微笑み 静かに出て行く

やがて新年が明け盛大な花火が上がると 寝室へ駆け出す若曦(ジャクギ)!
巧慧(コウケイ)は ご両親の長寿の祈願は?とため息をつく
いくら何でもそれを言われては眠気も飛び 独り散歩する若曦(ジャクギ)
新年に両親の長寿を祈願することくらい もちろん知っている
でも… 若曦(ジャクギ)が本当に長寿を願う両親は この時代にはいないのだ

寒空を見上げ泣いていると 戻る途中の第8皇子が通りかかる
居室へ戻った筈の若曦(ジャクギ)の泣き顔に 驚き戸惑う第8皇子
両親への不孝を嘆いていると聞き 慰めの言葉をかける
気を取り直し居室へ戻る若曦(ジャクギ)
そして第8皇子は 明慧(メイケイ)の元へは戻らず謁見のため参内する

翌朝 やはり戻らなかった夫に寂しさを隠せない明慧(メイケイ)
そこへ 明玉(メイギョク)が新年の挨拶に訪れる
第10皇子は 政務を理由に一緒ではなかった
互いに夫のいない新年を過ごすことになった姉妹だった

夫と共に年を越した明玉(メイギョク)はまだしも
側福晋と新年を迎えた第8皇子は 一度も顔を合わせることなく参内したのだ

それもこれも若曦(ジャクギ)のせいだと考える明慧(メイケイ)
これまでも 夫の心は側福晋のもとにあったが 常に嫡福晋を立ててくれていた
なのに若曦(ジャクギ)が来てからというもの すっかり様子が変わってしまったと

『狡猾で取り入ることが上手で 使用人から皇子たちも手玉に取られている』
『まったくだわ! 第10皇は今でも若曦(ジャクギ)を想ってる!』
『……お妃選びでここを去ってくれたら すべて元通りよ』
『でも… お妃に選ばれたらもっと我が物顔になるのでは?』

若曦(ジャクギ)はずっと塞ぎ込んだままだった
巧慧(コウケイ)が 元気づけようと花火を観に連れ出すが…
夜空の花火にも心が躍ることは無かった
すると 人混みの中に誰かを見つけた若曦(ジャクギ)は夢中で手を振る…!


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