王冠 第45話 君主の資格 王冠

 

『動いたら 百済(ペクチェ)を侵したものと見なし 残らず斬る!!!』
『チュンチュ公を渡せば 我らは新羅(シルラ)陣営に戻る!』

 

フムスンは キム・チュンチュを救うべく 将軍ケベクに立ち向かう!
しかし ケベクたったひとりの攻撃で 次々と味方が倒されてしまう
そしてケベクの背後には 百済(ペクチェ)軍が待ち構えているのだった…!!!

 

『百済(ペクチェ)の大王が チュンチュの罪を問う!
無駄な犠牲を出す前に さっさと帰れ!!!』

 

新羅(シルラ)の王宮では

 

反乱軍を抑えるため キム・ユシンが 善徳(ソンドク)女王に謁見し 嘆願していた
王命により 鉄騎軍を徐羅伐(ソラボル)に呼び寄せてほしいというのだ

 

※徐羅伐(ソラボル):新羅(シルラ)の首都 現在の慶州(キョンジュ)

 

『鉄騎軍を呼び寄せれば 西南辺境の城は 百済(ペクチェ)軍の手に落ちよう
内乱の鎮圧と引き換えに 辺境の城を犠牲には出来ぬ』

 

『陛下 反乱軍の槍剣に 王室と朝廷が傷つけられます!
ピダムに 王座を譲るおつもりですか?!』

 

『ユシン 私は十数年間王座に就いて 痛感したことがある
王座は槍剣だけで守り抜けぬ!
君主が 臣下の忠言に耳を傾け 民心を察することが出来ねば
いつでも王座から転げ落ちる
ピダムの反乱を鎮圧出来ねば 余には君主の資質がなかったということだろう』

 

『陛下…』

 

『チュンチュが戻ったら国政を任せ 朝廷の綱紀を正して民心を収拾し
反乱軍に鉄槌を下す…! それまでピダムを抑えられれば勝算はある』

 

そこへ キム・チュンチュが泗沘(サビ)城に連行されたと報告が入る!

 

この知らせに それでも最精鋭の鉄騎兵か!と憤るキム・ユシン
そして直ちに チュンチュを救うべく決死隊を組織し 泗沘(サビ)城に送るという…!

 

『ボムミンはどこにいる!』
『ボムミンは… 昨晩 明活山城に潜入し まだ戻っていません』
『何だと? ボムミンがピダムの手中に?!!!』

 

ピダムは ボムミンを 夜明けとともに処刑し その首を大王とユシンに送ると…!
ボムミンは 決して命乞いなどせず 敵意を剥き出しにしていきり立つ

 

『死ぬのは怖くない! お前を斬れなかったことが無念だ!!!
父上と伯父上が お前の首を斬り 恨みを晴らしてくれよう!!!
されば… 辱めずにさっさと殺せ!』

 

『父親が 泗沘(サビ)城に連行されたことは 知らぬようだな
父も息子も 処刑されることになるとは 気の毒だな
私が慈悲を施し 親より先に死ぬ不幸は免れさせてやろう』

 

ボムミンは ピダムの言葉に驚愕する…!

 

『父親が処刑されるまで お前を生かしておく
その間に罪を悔いて私に謝罪すれば 処刑だけは免じてやる よく考えるがいい』

 

『ピダム…! お前を決して許さぬ!!! 許すものか!』

 

そう叫んでみたところで 今のボムミンにはどうすることも出来ない
ただ縛られたまま連行されていくボムミン…!

 

泗沘(サビ)城では

 

将軍ケベクに連行されたキム・チュンチュが
百済(ペクチェ)王の前に 引き出されていた

 

『偽りの和親で余を欺き 百済(ペクチェ)を侮った罪を問い
お前を斬り 百済(ペクチェ)再興を祈る供物にしてやる…!』

 

『大王陛下 三韓の和平を成し 三韓の民を戦乱から救おうとすることが
なぜ罪になるのですか』

 

『何だと?! お前の偽りの和親策で どれほど多くの兵と民が死んでいったか!
知らぬというのか!!!』

 

『大王は既に大耶(テヤ)城を攻め 私の父を殺し
娘と婿の首を 泗沘(サビ)城に埋めたではないですか
私とて泗沘(サビ)城に出征し 陛下と百済(ペクチェ)朝廷を踏み躙り
父と娘の恨みを晴らしたい気持ちでいっぱいでした

 

されどそれは 三韓の和平を壊すことになり
新たな不幸を招くこと故 思いとどまったのです
しかし大王陛下は 私的な恨みにとらわれ 戦争を煽り 民を苦しめておられる
戦争で成す百済(ペクチェ)の再興が 真の再興と言えましょうか!』

 

敵国の大王の前で キム・チュンチュは 囚われの身でありながら苦言を呈す
その気概に 百済(ペクチェ)の重臣らは唖然としつつ 聞き入っている
ウィジャ王もまた チュンチュの言葉を遮ろうとはしなかった

 

『大王陛下! 願わくは私の首を斬り! 亡き兵士らの魂を慰めてください!
その代わり戦争をやめ 三韓の民をお救いください!!!』

 

ようやく 将軍ソンチュンらが 惑わされてはならないと進言する
チュンチュは高句麗(コグリョ)に行き 百済(ペクチェ)を討つ兵を請い
また倭国に渡り 百済(ペクチェ)と倭国を離間させようとした罪人だというのだ…!

 

自分は 三韓の将来を論じるために平壌(ピョンヤン)に行ったと主張するチュンチュ
それにより高句麗(コグリョ)は 唐を退け三韓を守る盾になり得た
倭国へ渡ったのも 百済(ペクチェ)と親しい倭国と和親を結ぶことにより
新羅(シルラ)と百済(ペクチェ)の懸け橋になろうとしたのだと…!

 

チュンチュは 高く広い視野で物事を見据えるべきだと
ウィジャ王に苦言を呈し続けた

 

『狭い三韓の地を 3つの国が奪い合ったところで
巨大な唐と張り合い 真の再興は遂げられません!』

 

三韓一統を成し遂げることだけが 真の再興になるのだと 重ねて主張するが
ウィジャ王は チュンチュを生きて徐羅伐(ソラボル)に帰す気はなかった

 

『罪人を連れて行け! 朝廷の意を問い お前の処刑を決める!!!』

 

チュンチュを寝所に案内するケベクは
いっそ罪を認め 許しを請うていた方が 命をつなぐ余地があったという

 

『命が惜しいのであれば 徐羅伐(ソラボル)でピダムと組み 権勢を握っていただろう
この世で 命よりももっと大事なのが名前だ
名前には その人の大義が刻まれている
私は命よりも 大義を守るべきと信じる』

 

徐羅伐(ソラボル)では

 

百済(ペクチェ)に国書を送り チュンチュを救うという善徳(ソンドク)女王…!
しかし閼川(アルチョン)は 大王の国書でもチュンチュは救われないだろうという

 

『ならばどうすればよい!
党項(タンハン)城と引き換えにしてでも チュンチュを取り戻すのだ!!!』

 

キム・ユシンが決死隊を率い 泗沘(サビ)城に向かうと聞き
それではどうやって反乱軍を迎え撃つのかと 苛立ちをあらわにする女王…!

 

チュンチュを救う手立ても 反乱軍を迎え撃つ手立てもなく
女王と重臣らは 途方に暮れるしかなかった

 

キム・ユシンは 正面から泗沘(サビ)城に攻め入り
注意を引いている隙に 決死隊が別宮に監禁されているチュンチュを救うと考えていた

 

どう考えても無謀な計画だと イェウォン公が進言する
ヤンド公も 決死隊がどうやって別宮に入れるのかと言い出す

 

『チュンチュを救う方法は他にない!!!』

 

無謀なことも 潜入が容易ではないことも ユシンは十分に承知しているのだ
しかしそれでも 絶対にチュンチュを救わねばならないのだと…!!!

 

『私の命令に従えぬ者は 私の指揮を離れろ!!!
いかなる犠牲を払おうとチュンチュを救う!』

 

その思いは誰も同じなのだ
風月主(プンウォルチュ)をはじめ ユシンの息子サムグァン
そしてチュンチュの次男インムンもまた 決死隊の成すべき任務を自覚する…!

 

※風月主(プンウォルチュ):花郎(ファラン)の首長

 

そこへ 閼川(アルチョン)らが 深刻な表情で現れる
大王が出征を許可しなかったと…!
それでも出征すると ユシンは決意の固さを口にするが
王命に従わないという行為は 大罪に値する

 

『貴公まで王命に背けば 大王陛下の権威が失墜し
反乱軍の士気が上がるだけだ!!!』

 

『ならば! チュンチュを見殺しにするのですか!!!』

 

反乱軍を制圧したところで チュンチュが戻れないなら何の意味があるのかと
ユシンは 出征すら出来ないもどかしさに苛立つばかりだった
サムグァンとインムンが 今は大王陛下を信じて待つしかないと説得する

 

そしてインムンが 父チュンチュの言葉を伝える
チュンチュは 何があっても決死隊は送るなと言っていたと…!

 

それは 百済(ペクチェ)の船着き場から 国境を目指している時のことだった
チュンチュは ユシンがどう行動するのかを 十分に察していたのだ

 

「お前がユシンを止めるのだ」
「なぜですか?」
「ユシンが徐羅伐(ソラボル)を離れたら ピダムが王宮を攻める
何があろうとユシンは徐羅伐(ソラボル)に残り 王室を守らねばならぬ!」

 

そしてチュンチュは 2人の息子に 自分の大義を引き継ごうとしていた
自分に代わり ユシンと共に 三韓一統の大業を成せと…!

 

そこへ ピダムの使いとして 参謀ヨムジョンがやって来る
ヨムジョンは ユシンを ピダムのもとへ連れて行くと言い出す

 

『ボムミン公の命が懸かっています
上大等(サンデドゥン)が ユシン公の命は保障すると』

 

※上大等(サンデドゥン):新羅の高級貴族階層の最高官職

 

ユシンは ピダムと対峙し 反乱軍は1人残らず片付け九族を滅すと言い放つ…!

 

『ユシン公 これは反逆ではなく革命なのだ!
彼らは 大王の治世に幻滅したのだ!
大王が仏塔建立を始めた時から 新羅(シルラ)の国運は傾き
民生は破綻し 民心は離反した!
私は貴族の首長 朝廷の領袖として彼らをまとめ
大王の治世を覆し! 新羅(シルラ)に新しい世を開くのだ!!!』

 

自分が王座に就いたら…!
ピダムは ユシンの手を取り そう言い放った
チュンチュが戻らねば 一体誰と三韓一統を成すつもりかと…!

 

『病弱な女王と 政治を知らぬスンマン宮主では大業を遂げられぬ!!!
約束しよう! 私は 三韓をまとめる君主になる!
ユシン公が私の前に立ち 新羅(シルラ)再興を導いてくれ!』

 

気がふれているとしか思えないようなピダムの言動に
ユシンは 握られたその手を振り払う…!

 

『反逆で王座に就いた者は 権力を守ることに精一杯で いかなる大業も遂げられぬ!
真に大業を遂げたいのなら 反逆を悔いて自らの首を斬り 大王陛下に捧げろ!』

 

ユシンは この場で自分の首を撥ねればいいと言い放ち
ピダムもまた 決して相いれないユシンに激怒する

 

その頃ムニは 捕えられた息子に面会し さめざめと泣き崩れていた
泗沘(サビ)城では 夫チュンチュが囚われ 救出の手立てもない

 

『母上 泣かないでください 私は死ぬ覚悟で敵陣に飛び込んだのです
たとえ死のうと 悔いはありません
命を長らえるためピダムに頭を下げ 父上の名誉を汚したくない…!』

 

手を取り合う母と息子の姿を 遠くからヨナが見つめていた

 

ピダムが自らの行動を 反逆ではなく革命だと主張したと聞き
善徳(ソンドク)女王は呆れ返り 激怒する
そして 革命というならば 領袖として堂々と御前会議に出席し考えを述べよと…!

 

『今ピダムは “女主不能善理”という流言を広めて民を動揺させ
辺境の兵を徐羅伐(ソラボル)に呼び寄せ 王座を狙う反逆を企てている』

 

※女主不能善理:女王は善政を施せぬという意味

 

『天に2つの太陽が存在できようか
貴族らが余に忠誠を誓い ピダムの始末を決議するなら これまでの不忠を許そう
明活山城に集結した軍主らも 兵を引き辺境を守る責務を果たすなら
反逆罪には問わぬ! どちらを選ぶ!
王室と朝廷の忠臣になるか ピダムの反乱に加担し厳しい罰を受けるか
この場で決断するのだ!』

 

ピダムの手の者で 女王の呼びかけに ひとりとして心揺らぐ者はなかった
そしてピダムは 善徳(ソンドク)女王を暴君と名指しし 既に沈む太陽だと揶揄した

 

『既に大勢は傾いた!
私は 史上初の真骨(チンゴル)出身の王になるのだ!今からでも遅くない!
貴族らの決議で推挙された 摂政に譲位して退け!
それだけが 新羅(シルラ)の国運を守る唯一の方法となろう!!!』

 

※真骨(チンゴル):父母のどちらかが王族に属する者

 

『その大逆非道な口を閉じよ!
決してお前に王座を奪われてなるものか!!!』

 

一方 捕らわれの身のボムミンを逃がそうと ヨナが見張り兵を薬で眠らせていた
これまで 幾度となく助けてくれたヨナを ボムミンは置いていけなかった
異変を察知した兵士が続々と現れ ボムミンはヨナを庇い 必死に応戦する…!
その窮地を救ったのは シノだった!

 

『ヨナ 二度と戻って来るな! 早く逃げて!!!』

 

善徳(ソンドク)女王は 反乱軍の兵士が “女主不能善理”を高らかに叫んだことで
また 政治に疎いスンマン宮主を 王座を守りたいがために推挙したと指摘され
すっかり意気消沈してしまっていた
ピダムの気勢をそぐための御前会議が 思わぬ逆風になってしまった

 

ユシンは この大事な場に 閼川(アルチョン)公がいなかったと気づく
聞けば閼川(アルチョン)は 女王の国書を携え泗沘(サビ)城に向かったと…!

 

ボムミンは ヨナと共に 明活山城から徐羅伐(ソラボル)に戻ったはずだったが
到着の時 ヨナは 再び明活山城へ戻ってしまう…!
自分たちを庇い ひとり残って戦っていたシノを 放ってはおけなかったのだ
シノは ピダムから酷い拷問を受けていたが 気丈に振る舞っていた

 

『私は鬼門の一員だ!
鬼門の大義で… 逆徒に立ち向かっただけだ! ヨナには罪はない 手を出すな!』

 

※鬼門:骨品制度に属さない野人の集団

 

『鬼門ごときが この私に抵抗するのか!!!
よかろう ヨナを捕え お前の前で八つ裂きにしてやる!』

 

血まみれのシノのもとに駆け寄り 号泣するヨナ!

 

その頃 閼川(アルチョン)は スンマン宮主を伴い 泗沘(サビ)城に入った
善徳(ソンドク)女王よりの国書を読むウィジャ王

 

“難を逃れてきた者は 保護するのが道理なのに
なぜ大王は 内乱を避けて百済(ペクチェ)に入ったチュンチュを 罪に問うのです
チュンチュは 新羅(シルラ)の忠臣で 信望の厚い人物です
大王のご慈悲で 新羅(シルラ)に帰してくだされば
私は大王の信義に応え ユシンが捕えてきた捕虜を 百済(ペクチェ)に返還しましょう

 

もしチュンチュが 生きて新羅(シルラ)に戻れねば
新羅(シルラ)の君主として 内乱を平定した後
泗沘(サビ)城へ進撃し 百済(ペクチェ)朝廷の罪を諫めます
大王が 賢明なご判断を下されると信じます”

 

この国書を ウィジャ王は脅迫だと言い憤る…!
脅迫ではなく 善処を願っているのだと 閼川(アルチョン)が訴えるが
重臣らは 直ちにチュンチュを処刑すべきだと進言する
するとスンマン宮主が なぜ自分が使臣に指名されたか その意図を察してほしいという

 

『新羅(シルラ)の王位継承者を 百済(ペクチェ)に委ねたのは
チュンチュの釈放を 切に願ってのことです 賢明な御判断を下されると信じます』

 

憤懣やるかたないウィジャ王ではあるが スンマン宮主の言葉を受け
監禁中のチュンチュに 今一度会うことに…
すでに死を覚悟しているチュンチュは いよいよ処分が決まったのだと察する

 

ウィジャ王は 斬首することに決めたと言い 最期の言葉はないかと問う
チュンチュはただ 処決に従うのみと答えた

 

『これ以上 新羅(シルラ)と百済(ペクチェ)の民が
戦乱で苦しむことが無いよう 願うばかりです』

 

『罪人キム・チュンチュを処刑せよ!!!』

 

ウィジャ王の言葉に 将軍ケベクが大槍を揮う!!!
じっと瞼を閉じ その瞬間を受け入れたチュンチュ!!!

 

しかし…

 

ケベクの大槍は チュンチュの首寸前で止まっていた
ウィジャ王は 穏やかな表情で 戸惑うチュンチュを見つめている

 

『これで 罪人キム・チュンチュは死んだ お前への恨みは晴らしたことにする!』
『大王陛下 なぜ生かしてくださるのです』
『お前に対する新羅(シルラ)王の寵愛が 余の恨みを消した
余は 新羅(シルラ)王の信義を信じてみよう』

 

将軍ケベクは 王命により チュンチュを泗沘(サビ)城に連行し
新羅(シルラ)との国境まで送ることとなった

 

『民心が ピダムに傾いたと聞いたが ピダムを倒せるか?
チュンチュ公が望むなら 私が力を貸そう』

 

『百済(ペクチェ)の大王陛下の 期待を裏切らないためにも 必ず内乱を平定する』

 

『ユシン公に 私が手合わせを望んでいたと伝えてくれ』
『手ごわい相手ゆえ 将軍も覚悟した方がよい』
『ハッハッハ…! 肝に銘じよう!』

 

倭国にいる時から ずっとチュンチュを見てきたケベクである
2人の間には いつの間にか友情のような絆が出来ていた

 

こうして 国境付近において キム・チュンチュと捕虜の交換が行われ
チュンチュは 無事徐羅伐(ソラボル)への生還を果たしたのであった

 

2人の息子が 感極まって駆け寄る…!
感慨深く頷くと チュンチュは スンマン宮主の前に進み出る
このスンマン宮主の取り成しが無ければ ウィジャ王の心を動かせたのかどうか…
深々と頭を下げ 感謝の意を表すチュンチュ

 

『チュンチュ公を救ったのは 大王陛下だ 陛下のご恩恵を忘れてはならぬ』

 

待ち望んでいたチュンチュの生還である
閼川(アルチョン)は 徐羅伐(ソラボル)の危機を伝え 一刻も早く戻ろうという

 

チュンチュは 今一度振り返り 将軍ケベクと視線を合わせる
ケベクは チュンチュの方を見据え 一礼し 去って行く行列を見送った

 

きっと将来 大きな脅威となるチュンチュを なぜ生かして帰したのか…!

 

ウィジャ王は 重臣らの糾弾を受ける
1千人の捕虜と交換しても不足だったと…!
将軍ユンチュンは 今からでもケベクに命じ チュンチュを捕えさせるべきだと進言する

 

『新羅(シルラ)女王は 太子を遣わせるほどチュンチュを寵愛している!!!
さような忠臣を処刑すれば! 百済(ペクチェ)の権威が失墜するとなぜ分からぬ!
なぜ余のそばにはチュンチュのように 君主の気持ちを理解する臣下がおらぬのだ!』

 

明活山城では

 

ピダムを支持する貴族らが 独断でピダムを摂政に封じていた
ウルチェが この決定に逆らう者は 貴族らの決議で処分すると明言する…!

 

『私は摂政の権限で 暴君を王座から引きずり下ろし! 国運を立て直す!!!
そして新羅(シルラ)を 天下の中心に立たせる剛健な君主になる!!!』

 

『摂政様 万歳!!!』

 

もしピダムが その才を 善徳(ソンドク)女王のために使ったなら
これほどの人材はいないのかもしれない
しかしピダムは 自ら王座に挑む道を選んだ
権力欲だけがそうさせたのか
あるいは 自身の大義があまりに女王とかけ離れていたのか…

いずれにしても 戻れぬ道を進むピダムであった

 

キム・チュンチュは 善徳(ソンドク)女王に謁見し ひれ伏して感謝する

 

『すべては お前を疑った余の不徳が招いたことだ 余を恨むがよい』
『大王陛下のご恩恵で 無事に徐羅伐(ソラボル)に戻れたのに
どうして陛下を恨みましょうか』

 

『ありがたい お前を信じて二度と疑ったりせぬ』
『信じてください 私が必ずやピダムの反乱を鎮圧し
陛下の王座と 新羅(シルラ)の国運を守り 大王陛下の憂いを断ちます!』

 

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