王冠 第44話 政変 王冠

 

『お前に世話になったことは忘れぬ!』

 

船上から ケベクに感謝の言葉を叫ぶキム・チュンチュ
すべては自分の失態だというファシに ケベクは好都合だとつぶやく
チュンチュが 使臣として倭国にいる限り 手を出すことは出来ない
しかし これでようやく泗沘(サビ)城に連れて行けると…!

 

『船を手配しろ チュンチュを捕える!』

 

新羅(シルラ)では ピダムが 徐羅伐(ソラボル)貴族の首長として
和白(ファベク)会議を開くと宣言していた

 

※徐羅伐(ソラボル):新羅(シルラ)の首都 現在の慶州(キョンジュ)
※和白(ファベク)会議:新羅(シルラ)の貴族会議

 

『今 新羅(シルラ)は 百済(ペクチェ)や高句麗(コグリョ)の侵奪で戦乱に陥っている
大王の誤判で積み上げた 皇龍寺の巨大な仏塔は 民を苦しめている!
危機に瀕した国運を救う方法は 病の大王陛下に代わり
国政を導いていく摂政を推挙することだけだ…!』

 

誰が摂政になれば 国難を克服し この国を救えるのか
率直な意見をと言いながら ピダムは 自らが摂政になることを望み
それに反対出来る貴族は 誰ひとりいない中 閼川(アルチョン)が…

 

『私と我が家門は 和白(ファベク)会議の決議には参加せぬ!
大王陛下が病床におられるのに ご回復を待たず 急ぎ摂政を決めることは
貴族が 王座の権威に挑む行為だ!!!』

 

これに賛同の意を示したのは ヨムジャンである
仏塔の建立が陛下の誤判なのではなく 民生の安定を図れなかった朝廷の不忠だと!

 

そして ヨムジャンに続いたのはクムガンであったが
ピダムは3人を無視し 摂政の推挙について進めていく
するとウルチェが すかさずピダムの名前を挙げ サジンもまた同調する

 

『摂政は 上大等(サンデドゥン)に任せる慣例に従うべきだ!』
『ピダム公を 摂政に推挙する!』
『賛成だ!』

 

※上大等(サンデドゥン):新羅の高級貴族階層の最高官職

 

閼川(アルチョン)とヨムジャン そしてクムガンが どんなに抵抗したところで
もはや ピダムが摂政の座に就くことは止められないようだ

 

その時…!

 

ほら貝が高らかに吹き鳴らされ 大王陛下がお出ましだと叫ぶ声がする!
ピダムをはじめとする貴族たちは 仰天して席を立ち
ユシンを従えて現れた 善徳(ソンドク)女王を出迎えるのである…!!!

 

何ゆえ 病を押してまでこの場に来られたのかと ピダムが聞く
国運が懸かる和白(ファベク)会議に 寝てなどいられぬと答える女王…!

 

『この国の貴族が 誰を摂政に推すのか しかと見届けよう
そして 摂政に推挙された者を 逆徒の頭目として処刑し!
摂政を推挙した家門を 反逆罪で取り潰す!!!』

 

なぜ逆徒の頭目などと ただ国を救うためにと ピダムが言い終わらぬうち
善徳(ソンドク)女王はピダムを一喝した!

 

『和白(ファベク)会議は 王の権威が高くなかった時代に
国の重大事を 貴族が和白(ファベク)で決議したものだ』

 

※和白(ファベク):満場一致

 

『なぜ王座の権威が高まった今! 和白(ファベク)会議を盾に謀反を企てる!!!
そちたちは王座の権威に挑み 王室の上に君臨する気か!!!!!!
それが謀反だと分からぬのか!』

 

ついさっき 摂政にはピダム公をと叫んだ者たちが凍りついている
ピダムでさえ これ以上は何の弁明も出来ず 言葉を失っているのだ

 

『キム・ユシン! 摂政の推挙に同意する者は 直ちに処刑せよ!
新羅(シルラ)の君主として 貴族を残らず処刑してでも!
王室の権威を守り 国法の厳しさを示してやる!!!』

 

王の後継者である摂政を決めることは 国の重大事だと
ピダムは 必死に気持ちを立て直して言い返す!

 

『上大等(サンデドゥン)! 誰がそちに 後継者を決める権限を与えた!
なぜ貴族が 君主の権限を奪おうとする!
そちたちは 首を斬られねば 過ちに気づかぬのか!

 

余は 皇龍寺の仏塔が完成した後に 王位を継がせる太子を宣布する
分かったら解散せよ!』

 

もはや ピダムが摂政を決めることは出来ず 貴族らもピダムを推挙出来ない
それでもまだ チュンチュが徐羅伐(ソラボル)に戻れないことが救いだった

 

しかしそこへ 昨日のうちに チュンチュが飛鳥を断ったとの報告が入る…!

 

『チュンチュが太子になる姿を見るくらいなら
この手で皇龍寺の仏塔を倒してやる!!!
大王とチュンチュはもちろん! 私に刃向かう者を残らず火あぶりにしてくれる!!!』

 

和白(ファベク)会議を霧散させ 寝所に戻る途中で倒れてしまう善徳(ソンドク)女王
自分の病状を思えば 一刻も早くチュンチュに戻ってもらいたいと
是が非でも仏塔完成の前にチュンチュが戻るよう ユシンにすべてを託すのであった

 

倭国では

 

何の断りもなく発ったキム・チュンチュは 倭国を裏切ったと
百済(ペクチェ)の使臣たちが チュンチュを捕えるべきだと詰め寄っている
倭国を侮るチュンチュを討ち 百済(ペクチェ)と倭国の和親を進めるべきだと…!

 

孝徳天皇は チュンチュは使臣であり そして皇太子が招いた客だとし
すべての処決を 中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)に託す
するとそこへ 皇極上皇が現れる…!

 

『私が帰国を許した チュンチュは 無断で帰ったのではない
チュンチュに罪を問うことは 私を責めることだ!』

 

王位を譲ったとはいえ 倭国の最高権力者である皇極上皇の言葉に
天皇も皇太子も逆らうことは出来ず ましてや百済(ペクチェ)の使臣たちであれば
これ以上の抗議をすることは許されないのであった

 

中大兄皇子は チュンチュを帰せば新羅(シルラ)は富強になり
いずれは倭国の脅威になると言うが…

 

『チュンチュは信義に厚い 此度の件で 新羅(シルラ)と親交を結べるやも
皇太子も チュンチュの帰国が寂しいようだな』

 

また来ると言ったチュンチュの言葉を信じようと諭され
納得するしかない中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)だった

 

船上のチュンチュは 上陸する港をどこにするか 話し合っていた
新羅(シルラ)の どこの港も ピダムの手の者が待ち構えているはず
それらの手が及ばない港に上陸するというチュンチュだった

 

百済(ペクチェ)では

 

ケベクが戻り チュンチュを逃がしたことを報告し どんな罰も受けるという
しかし 再び機会を与えてもらえるなら この手でチュンチュを捕えると…!

 

『おそらくチュンチュは ピダムの虚を突くため
百済(ペクチェ)の海岸に上陸した後 国境を越え新羅(シルラ)に入るでしょう
国境付近で待ち伏せれば 奴を捕まえられるかと』

 

ひと足先に徐羅伐(ソラボル)に到着したナンスンは
チュンチュが チャビと共に百済(ペクチェ)の地に上陸すると報告する

 

すぐにも父を出迎えに行くというボムミンだが ユシンはそれを許さない
ボムミンが兵を率いて国境に向かえば あまりに目立ってしまう
ナンスンは チュンチュが大王へ宛てた親書を持参していた

 

“大王陛下 私は大王陛下が君主の威厳で
ピダムが画策した和白(ファベク)会議を霧散させたと信じます
危機に瀕した国運を救うためには 大義名分のある太子を立てるべきです
私は王座に就く気はありません
陛下 真骨(チンゴル)の私が王維を継げば 他の真骨(チンゴル)の者らも王座を狙い
新羅(シルラ)は 王位争いで国難に陥ることでしょう

大王陛下 聖骨(ソンゴル)のスンマン宮主を太子に立て
ピダムの逆心をくじき 民心を収拾してください”

 

※真骨(チンゴル):父母のどちらかが王族に属する者
※聖骨(ソンゴル):父母共に王族に属する者

 

スンマン宮主は ククパン葛文王とウォルミョン夫人の娘であり
聖骨(ソンゴル)と記録されている
父である葛文王の骨品を継いで 聖骨(ソンゴル)になったのか
善徳(ソンドク)女王が 葛文王と結婚したことで
善徳(ソンドク)女王の娘の資格で聖骨(ソンゴル)になったのかは定かではないが
当時 善徳(ソンドク)女王の王位を継げる 唯一の聖骨(ソンゴル)であった

 

※スンマン宮主:後の真徳(チンドク)女王

 

倭国からの船に チュンチュが乗っていないとの報告に ピダムは苛立つ!
ヨナが チュンチュは百済(ペクチェ)の地に上陸したやもと進言し
参謀ヨムジョンも あり得ることだとうなずく

 

『チュンチュが徐羅伐(ソラボル)に戻らねば 大王は誰に王位を継がせるのやら
実に気がかりだ! フハハハ…』

 

百済(ペクチェ)の海岸では

 

ナンスンとフムスンが 今にもチュンチュを乗せた船が上陸しはしないかと
窪地に身を隠して 水平線の向こうを監視している
するとそこへ 百済(ペクチェ)の兵士が現れ 続いて将軍ケベクが…!!!

 

ナンスンは 戦おうとするフムスンを止め ひとまず退却をと説得する
ケベクの強さは 倭国の地で思い知っているナンスンだった
ここで全滅しては チュンチュを守ることが出来なくなると…!

 

ケベクは 退却するフムスンたちを追おうとはしない
いずれにせよ チュンチュを救おうとして再び現れれば 対峙することになるのだと

 

この両者の動きを すでに上陸したチュンチュが眺めていた
同行するのは チャビと参謀カンス そして次男インムンである

 

新羅(シルラ)の王宮では

 

チュンチュが到着しないまま 仏塔が完成し
善徳(ソンドク)女王が 太子を誰にするか宣布するという

 

『聖骨(ソンゴル)だけが王位を継げるという律令に従い
ククパン葛文王の娘である スンマン宮主を太子に立てる』

 

『大王陛下! 本気で仰せですか!!!』

 

激昂し 声を荒げるピダム
貴族たちの間にも 予想だにしなかった太子の宣布にどよめきが起こる

 

『吉日を選んで神宮に告げ スンマン宮主の立太子礼を行う
上大等(サンデドゥン)も 従ってくれると信じる』

 

『治世の道理も学んでおらぬスンマン宮主に! 王位を継がせるのですか!!!』

 

『何だと?! ならば上大等(サンデドゥン)は 治世の道理を学んだというのか!
朝廷は 君主の意思に従うのが道理だ!
なぜ臣下が 君主の資質を量ろうとする!!!』

 

『またも女人が王座に就けば 新羅(シルラ)に男はおらぬのかと嘲笑されます!
唐の皇帝に受けた恥辱を もうお忘れですか!!!
新羅(シルラ)の兵は 百済(ペクチェ)や高句麗(コグリョ)と堂々と戦えぬでしょう!』

 

朝廷において あからさまに女王を侮蔑する不敬な言葉を吐くピダム!
閼川(アルチョン)が それを諭すように口を挟んだ

 

『大王が 聖骨(ソンゴル)のスンマン宮主を 太子に決められたのは
朝廷の反目と民心の離反を避けるための ご英断だ! なぜそれが分からぬ!』

 

『いっそ案山子に王座をつけよ!!! スンマン宮主はあり得ぬ!
私と朝廷は 大王陛下の意思に従えません!!!』

 

どよめきが起こる!

 

キム・ユシンが ピダムの発言に言及し 陛下の命令に背く気かと怒鳴りつける!
ピダムは閼川(アルチョン)に対し 国事に疎い宮主を王座に就け
朝廷を牛耳りたいのかと叫ぶ! そして怒りの矛先はユシンへ!!!

 

『ユシン公! チュンチュが戻るまで 宮主を盾に朝廷の反発を抑え
チュンチュを即位させようとの お前の魂胆はお見通しだ!!!』

 

『ピダム! 王命に従おうとする衷情を侮辱するな!!!』

 

『やめよ! すでに太子は決まった!
余の意思に背く者は朝廷から退け!!!』

 

それでもピダムは引かず 善徳(ソンドク)女王に対し食って掛かる!
乱臣賊子ばかりを側に置き 君主が誤った判断をすれば国が傾くと言い切った!!!

 

参謀ヨムジョンは ユシンと閼川(アルチョン)が陛下を煽ったのだという
考えもしなかった聖骨(ソンゴル)の太子擁立に ピダムは憤然とするのだった…!
そして 自らの歪んだ野心を 独自の論理で正当化させていく!

 

『暴君を打倒し政事を正すことは! 反逆ではなく革命だ!!!
国運を立て直し!苦しむ民を救えるのなら! 私が革命を起こし…!!!
暴君を 王座から引きずり降ろしてやる!!!!!』

 

善徳(ソンドク)女王とて スンマン宮主を適任と考えているわけではない
すべてはチュンチュが 親書にしたためていた通りにしたまでである
真骨(チンゴル)のチュンチュが太子になれば 王座争いで国難になるというチュンチュ
しかしこのままでは スンマン宮主を推挙したことで争いが起きかねなかった

 

不安に苛まれる善徳(ソンドク)女王に対し 閼川(アルチョン)が進言する

 

『上大等(サンデドゥン)は 王座を狙っていた乱臣賊子です!
この機会にピダムを退かせ 朝廷を刷新すべきかと』

 

退けと言ってピダムが退くなら 何も苦労はないのだ
クムガンとヨムジャンは 臣僚らを説得してみると言い出した

 

『ピダムに嫌気がさしている臣僚も多いゆえ ご心配なく』

 

こうした動きを察知してか ピダムは 直ちに兵力を確認する
徐羅伐(ソラボル)の兵5千 鉄騎兵1万 訓練中の者を兵に加えれば3万!
それに辺境の兵士を呼び寄せれば 5万を超える兵力が確保できる

 

『スンマン宮主の立太子礼の日に 徐羅伐(ソラボル)に集結させよ!
私が王座に就けるなら 辺境の城など 敵の手に渡ろうが構うものか!
大王! 天命と民心に見放された君主に 王座を守る資格はない!!!
私が大王を 王座から引きずり下ろし 民心が誰にあるかを見せてやる!!!』

 

突然 太子にすると言われ 戸惑うスンマン宮主
スンマンは かつて大王の夫だったククパン葛文王の 先妻の子になり
善徳(ソンドク)女王にとっては 義理の娘にあたる

 

『陛下 私は怖いのです… 怖くてなりません!』

 

『余が腹を痛め産んだ子ではないが ククパン葛文王の子ゆえ お前は私の娘だ
お前が 聖骨(ソンゴル)の責務を果たしてくれると信じる』

 

『…私は微力ながら 全身全霊を捧げ 大王陛下をお支えします…!
一日も早く快復され 末永く王座をお守りください!』

 

こうして チュンチュの消息が分からないまま
スンマン宮主の立太子礼が執り行われるのだった

 

ピダムは兵を集結させ 善徳(ソンドク)女王を討つべく奮起していた

 

『天よ! 暴君徳曼(トンマン)は! 女人の身で王座に就き!天地の理に逆らい!
民の血と涙で仏塔を建て!先王の偉業を汚しました!
このピダムは!暴君を廃して国運を立て直す!革命を起こす所存です!!!』

 

一方 ボムミンは 妓楼のヨナに会い 再び縁を結びたいと申し出ていた

 

王命を 伯父ユシンに伝えたことで ヨナがピダムの怒りを買っていると聞き
再びヨナに 心を動かされたボムミンであった
ヨナはそれには耳を貸さず 今日は何の日か知っているかと問う…!
ボムミンには 立太子礼の日だとしか思い浮かばない

 

『今日 ピダムが反乱を起こします!
ピダムに追従する反乱軍が 徐羅伐(ソラボル)に進撃を…!』

 

『何だと? まことか?!!!』

 

『ボムミン様は国運の危機に知らぬフリをして 私と火田を耕して暮らせますか?!』
『……ヨナ! 大王陛下に報告してからまた来る!!!』

 

去って行くボムミンの背中を見送り ヨナは悲し気に微笑む
シノが 本当にこれでよいのかと問うが…
いよいよ ピダムとチュンチュの戦いが始まるというのに ヨナは空しかった
筋書き通りに事が進むというのに その胸は 広がる空虚感に包まれていた…

 

神宮では

 

儀式を終えた善徳(ソンドク)女王が 臣僚たちを前にして
スンマン宮主が 晴れて太子となったことを宣明する
そこへボムミンが駆けつけ ピダムが反乱を起こしたと報告する!!!

 

『ついにピダムが謀反を起こしたか!!!』

 

閼川(アルチョン)の先導で 王宮へ戻る善徳(ソンドク)女王とスンマン宮主!
ユシンは神宮に残り ピダムの軍勢を迎え撃つこととなった!!!

 

『大王陛下の忠義深い兵士たちよ!
逆徒を斬り!王室と朝廷を守れ!!!』

 

『暴君を惨殺せよ!!!』

 

ピダムの軍勢は 明括山城に布陣している
ユシンは 神宮に攻め入った敵兵を撃退し 直ちに王宮へ駆けつけた

 

『戦乱の渦中に 朝廷の領袖が反逆を起こすとは…
君主として 恥ずかしくてならぬ! すべては 余の不徳の致すところだ…!』

 

その夜

 

ピダムは 王宮へ攻め入る前の士気を高めるため
兵士たちに檄を飛ばす…!

 

『誉れ高き新羅(シルラ)の兵士たちよ!
私は天命に従い 国運を失墜させた暴君を処断し!
国を立て直すために挙兵した!!!
暴君 徳曼(トンマン)は 民の血と涙で 皇龍寺に仏塔を積み上げ!
民生を破綻させた!
そして戦乱の渦中にも! 放蕩の限りを尽くし! 天の怒りを買った!
その上 君主の資質の無いスンマン宮主を太子に立て!
新羅(シルラ)王室の権威を失墜させる 許しがたい蛮行を犯した!!!

 

女王不能善理!!! 女王は善政を施すことが出来ぬ!!!

 

女人の身で王座に就き! 天地の理に逆らった者が!
なぜまたも雌鶏(めんどり)に その座を譲ろうとする!!!
私は徳曼(トンマン)の暴政を止め! 国運を立て直す!
そして 民の苦しみと悲しみを洗い流す!

 

聖骨(ソンゴル)だけが王位に就ける旧態を覆し!
新羅(シルラ)に新しい世を開く!!!
お前たちは 新羅(シルラ)再興のために! 私に大義に従うか!!!』

 

『ピダム公 万歳!!!』
『新羅(シルラ)再興 万歳!!!』

 

この光景を偵察していたボムミンたちが 慌ててユシンのもとへ戻る!
ピダム率いる反乱軍の数は 2万を超える大軍だったのだ!!!

 

『辺境の兵が続々と集まっているゆえ 数は更に増えましょう!
反乱軍と戦うには 伯父上の鉄騎兵が必要です!!!』

 

大王陛下は 辺境の兵を呼び寄せる許可は出していないという閼川(アルチョン)
ここで反乱軍を制圧出来ねば 民心は反乱軍側に傾くというヨムジャン…!

 

『早く手を打たねば! 逆徒に王宮を奪われます!!!』

 

クムガンの焦りに ユシンが声を荒げる!

 

『奴らは名分なき逆徒に過ぎぬ!!!
決して逆徒などに王宮を渡してはならぬ!』

 

2万の兵で布陣しながら ピダムは すぐに王宮を攻めようとはしなかった
ピダムが望むのは 大王とユシンがひざまずき降伏し 命乞いすることであった
果たしてそれが実現するのか…!

 

ボムミンは 一心に祈り続ける母ムニの姿を見て 自らの決心を固めていく
ひとり 敵陣に攻め入るというボムミンに対し どうしても行くのかというサムグァン

 

『私がピダムの首を斬るのは 戦功が欲しいからでも ヨナのためでもない
不義に妥協せず 大義を守ろうとする 父上と伯父上の意思に従うためだ
今の兵力では ピダムと戦っても勝算がない
頭目の ピダムの首を斬れば 反乱軍の気勢はくじけるだろう』

 

自分も共に行くというチョングァム…!

 

『私が失敗したらお前が続け!
チョングァムが失敗したら次の者が続き
ピダムの首を斬るまで 1人ずつ後に続け!』

 

ボムミンは ピダムの寝所に忍び込み 信じがたい光景を目にする
ピダムの横には ヨナが寄り添っていたのである…!

 

『私の首を斬りに来たのか?』

 

ボムミンは 怒りと共に剣を振り上げる!!!
その怒りが何だったのか…! ボムミン自身にも説明がつかなかった
王命を 伯父ユシンに伝え ピダムの反乱をも教えてくれたヨナが
なぜピダムと…!!!

 

あっけなく取り押さえられたボムミン…!
ピダムは ボムミンを夜明けとともに処刑し
その首を大王とユシンに送りつけろと命じる!!!

 

『ピダム!!! 必ずこの手でお前を斬ってやる!!!!!』

 

キム・フムスンは ピダムの反乱を知り 今すぐ出陣するといきり立つ!
しかし 大将軍ユシンの命令が無ければ 動くことは出来ないのだ

 

『命令を待っていて王宮が陥落したら!責任を取れるのか!!!』

 

止める部下たちを怒鳴りつけ 今にも飛び出して行こうとするフムスン!
そこへ チュンチュに同行し倭国に行っていた インムンが現れる

 

『父上は 国境付近まで来ているはずです!』

 

それを知らせようと インムンだけがいち早く帰還したのだ
チュンチュと参謀カンス そしてチャビの3人は 国境へ続く平原をひた走っていた!

 

『この先が 新羅(シルラ)です!』
『主君! 急ぎましょう!!!』

 

チャビが指し示す平原の向こうに ようやく道が見え始めた
今は 国境を目指して走り続けるしかない3人だった…!

 

しかし!!!

 

行く手を塞いで兵士が現れ 続いてファシが現れる!
そこへ馬を駆り 将軍ケベクが…!!!

 

『チュンチュ公 どこへ行く』
『……』
『お前を泗沘(サビ)城へ連れて行き
大王陛下と百済(ペクチェ)朝廷を欺いた罪を問う…!』

 

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